「うー腹へった」 ぐるるるとお腹のなるロックオンは、桜を見ながらビニールシートの上で寝そべっていた。 さっきの奥様連中はすでに立ち去ってしまった。 ティエリアは、ロックオンたちを残してどこかに行ってしまった。 それに、ロックオンが立ち上がる。 「ティエリア、変なとこでたまに方向音痴だからな」 ティエリアの跡を追いかける。 「いいじゃん。一緒に花見しようよ」 「そんな暇はない」 その頃、ティエリアはその美貌ゆえに花見にきていた少年グループにナンパされていた。 「すっげー美人。なぁ、いいじゃんか」 「桜でもナンパしていろ」 そっけない態度のティエリア。 一人の男の手が伸びて、ターバンを刹那に返し、黒のストールを肩にかけたティエリアの、ストールを奪い取った。 「ほらほら。これ返して欲しければ、一緒にこいよ」 「それは!!」 黒の絹でできた最高級のストールは、ロックオンが買ってくれたものだ。 「返せ!」 ティエリアは叫んだ。 桜の花が、舞い散る。 次の瞬間には、ストールを持っていた少年はティエリアに蹴り飛ばされて、桜の木に抱きついていた。 ストールを取り戻し、ティエリアは安堵する。そのストールはとても気に入っているのだ。 「こんにゃろ」 安堵していたせいで、気をぬいてしまった。 後ろから羽交い絞めにされる。 「離せ」 「うわー、すげーいいにおい」 男が後ろから、ティエリアの肌を触る。それにティエリアは叫び声をあげそうになった。 右手にもった荷物のせいで、うまく立ち回りができない。 突然、ティエリアは自由になった。 羽交い絞めしていた少年は、殴り飛ばされて地面に伸びていた。 「ロックオン!」 ロックオンの手が、ティエリアを抱き寄せる。 「俺の恋人に何か用か?」 明らかに腕がたつという風貌のロックオンに、少年たちは逃げ出した。残されたのは、地面に伸びた少年くらいだ。ティエリアに蹴られた少年はも逃げ出している。 「だめだろ、勝手にいなくなったりしちゃ」 「ごめんなさい。でも、あなたはほとんど何も食べていなかったから。お腹がすいているだろうと思って」 ティエリアの右手には、屋台のイカ焼きと焼きそばの入ったビニール袋があった。 「わざわざ買いに行ってくれたのか。ありがとな」 「いいえ」 二人は手をつないでアレルヤと刹那の元に帰った。 ロックオンは、ティエリアが買ってきてくれたイカ焼きと焼きそばを食べた。 刹那、アレルヤ、ティエリアにも分ける。 「おいしい」 ティエリアは、食べてそう零した。 「屋台の食べ物も、けっこう美味いもんだぜ?」 ロックオンの言葉通り、屋台でかったイカ焼きと焼きそばは美味しかった。 NEXT |