それぞれ下駄箱をあけると、ファンレターがどさどさと落ちてくる。 最も多いのがリジェネとティエリアで、ついで刹那、ライルとニール、アレルヤの順だ。 ライルにはアニューという彼女がいるし、アレルヤにもマリーという彼女がいる。刹那にも、彼女っぽいフェルトという学級委員長がいる。 ニールとティエリアは正式に付き合っており、この中で唯一フリーといえばリジェネだろう。 リジェネはティエリア命なので、ファンレターなどすぐにゴミ箱に捨てた。ガンダムマイスターである分、彼女がいようと学園内ではアイドルのような存在なので、ファンレターは尽きない。 刹那、ライル、ニール、アレルヤは一応は鞄の中にしまう。 ティエリアの分は、リジェネがゴミ箱に捨てた。 そのまま、皆で揃って2年OO組に入る。 ガンダムマイスターである皆は、同じクラスだった。 「おはよう、刹那」 刹那の隣の席のフェルトが、綺麗にラッピングされた包みを取り出して、刹那に渡した。 「昨日焼いたクッキーなの。良かったら、食べて」 「ありがとう、フェルト」 刹那は珍しく笑顔を零す。 それに、フェルトも明るく笑って答えた。 ライル、ニール、アレルヤは席につく。 ニールの隣はティエリアだ。そのティエリアの隣はなぜかジャボテンダーが座っていた。 ティエリアの前の席はリジェネで、クラスでもガンダムマイスターである彼らの席は固まっていた。 「ジャボテンダーさんに合うブレザーを早く作ってもらわないと」 ティエリアは、隣に座ったジャボテンダー(凭せ掛けてる?)を見て、ため息を零す。 「皆さん、おはようございます」 朝礼に入ってきたのはOO組の担任であるマリナ先生だった。 控えめで優しく、綺麗な先生なので男子生徒にも女子生徒にも好かれている。 マリナ先生は朝礼をして、出席をとったあと、職員室に戻ってしまった。 「ははははは。1時間目から会えるとは嬉しいぞ、少年!」 1時間目から、グラハム先生の現代国語だった。 刹那は、リジェネから渡された釘バットで、抱きついてきたグラハム先生をホームランにした。窓は割れる前に、窓際にいた生徒がすかさず窓をあけておいた。 クラスならではの連携プレーだ。 学級委員長であるフェルトが、黒板にチョークででかでかと自習という文字を書く。 だが、10分もするとグラハム先生は全身に包帯を巻いた姿で戻ってきた。 「少年、愛し合おうではないか・・・・む美少年、その足は罪だああああ!!」 刹那に襲い掛かろうとしていたグラハム先生が、紺色の半ズボンをはいていたティエリアに向き直った。 「え?」 ティエリアは、理解できなかった。 いつもより、半ズボンが短めでいろんな意味でギリギリだった。紺のニーソを穿いていたが、それもまたグラハム先生のツボだったらしい。 「ツインテールがかわいいぞ美少年!」 グラハム先生は、刹那よりも先にティエリアに襲い掛かった。 「うわあああああ!」 ティエリアは、向かってくるグラハム先生を投げ飛ばした。綺麗に弧を描いて投げ飛ばされたグラハム先生は、黒板にぶつかっていつものように鼻血を舞い散らして床に倒れた。 「ティエリアに何をするつもりだったんだ、この変態教師!」 リジェネが、立ち上がってグラハム先生を靴底で踏み潰す。 「ああ、美少年・・・・もっと踏んでくれ・・・・むちゅー」 グラハム先生の唇が、リジェネの唇に迫る。 間一髪のところで、ニールがリジェネを抱き上げた。 「大丈夫か?」 「あ、ああ・・・・」 「むちゅー!」 グラハム先生の唇は、ニールの頬に吸い付いた。 「ぎゃああああああああああああああああ」 「兄さん!」 「ニール!」 ティエリアとライルが悲鳴をあげる。 げしげし二人で蹴っても、グラハム先生の唇は蛸の吸盤よりも強くニールの頬に吸い付いて離れない。 「どけ、ティエリア、ライル、リジェネ」 「刹那!!」 刹那は、銃を片手に、何のためらいもなしにグラハム先生の眉間を撃ち抜いた。 パン! 銃声が響き、グラハム先生は血まみれになったが、なぜか死なない。 「頼む、アレルヤ」 「うん」 アレルヤが、気を失ったグラハム先生の襟首を掴んで、窓の外に放り投げた。 グラハム先生は、お星様になった。 NEXT |