ジャボテンダー殺人事件ファイル4







「信じよう。僕は刹那の言葉を信じよう。何せ、ジャボテンダー仲間だからな。君がジャボテンダー殺人事件の犯人のはずがない」
「俺のジャボテンダーはちゃんとここにいる」
ベッドの下から、刹那は自分のジャボテンダーを出してティエリアに見せる。
刹那とティエリアはジャボテンダー仲間だ。一緒に、ジャボテンダーを購入した仲だ。刹那がこれがかわいいと、ティエリアに勧め、ティエリアはお陰でジャボテンダーの虜、ジャボテンダー中毒症だ。

「真犯人は別にいる!」
ロックオンの耳に、刹那がこっそりと子悪魔のように囁く。
「あまり放置して一人で地球に降りてばかりだと、ティエリアはもらうぞ」
その時の刹那は、子供ではなく大人の表情をしていた。
最近、ロックオンは昔の飲み仲間と遊んでいて、ティエリアを放置しがちだ。ロックオンは肝に命じた。無駄に飲み仲間と遊ぶのはもうやめようと。
「刹那、お前には渡さない」
「上等」
刹那は、無表情だった。
そういえば、最近ティエリアからの話題も刹那のものが多くなっている。ティエリアは浮気をするようなタイプではないが、刹那とは年が近いせいで警戒心というものがない。ロックオンがいなくて寂しいときは、ティエリアは自然と年の近い刹那の傍にいるようになっていた。
これは、刹那からの警告メッセージ。

「刹那、疑ってすまない」
「いい」
刹那は、ティエリアの頬に触れるだけのキスをした。
「こらああ、刹那!」
刹那は舌を出していた。
ロックオンをからかって遊ぶ子供の刹那。でも、ティエリアのことに関しては本気かもしれない。
ロックオンは、ティエリアを抱き上げると刹那の部屋を後にした。

「ロックオン?」
「ごめんな。最近お前放置して遊んでばっかだった」
「はい・・・・寂しかった」
ティエリアは、ロックオンに抱きついた。ティエリアは安堵した。
最近のロックオンは、2週間トレミーを空けるのも当たり前で、帰ってきてもまたすぐにいなくなってしまった。でも、ティエリアは責められない。ロックオンのことを愛しているから。
もっと傍にいて欲しいと願っていても、「傍にいて」と囁いても、最近のロックオンはすぐに地球に降りてしまっていた。普通なら、浮気していると疑われても仕方ない。
ティエリアはロックオンを信じている。それがティエリアの愛。ひたすらにロックオンを愛し、信じ、そしていない時は一人で寂しくジャボテンダーを抱きしめて時には涙さえ零した。
刹那が、「ちゃんと帰ってくる」といつも励まして、傍にいてくれた。


「全く、世話のかかる二人だ」
刹那は、部屋の中で一人でため息をついていた。


「さて、真犯人を探そう」
ロックオンの腕から解放されたティエリアは、ターバンを広げる。
そこには、ミス・スメラギと名前が書いてあった。
「名前が!犯人はミス・スメラギか!」
ティエリアとロックオンは、ミス・スメラギの部屋に押しかける。
「ミス・スメラギ、あなたがジャボテンダー殺人事件の真犯人か!?」
部屋の中に入ると、ミス・スメラギは酒を昨日飲んで、服を脱いだ姿のまま寝ていた。
「うわあああ、なんて格好してるんだ!」
ロックオンが、ミス・スメラギに毛布をかける。
「あらぁ、ティエリア、ロックオン、いらっしゃい」
酒臭い。
ミス・スメラギは毛布を落として立ち上がると、ティエリアを押し倒した。
「前回の戦術プラン、役にたったわ。またお願いね」
「了解し・・・た・・・・あ、あ」
「やっぱティエリアかわいいわねぇ。食べちゃいたいわ。あら、少し胸大きくなった?」
「そ、そんなことは・・・・」
ミス・スメラギは無性であるティエリアを少女とカテゴリしている。同性だと、遠慮もなしにティエリアの胸を触ってもみしだく。
「女はボインが一番よお?」
ドーンとブラジャーに包まれたボインすぎる胸を見せ付けるミス・スメラギ。
「ロ、ロックオン、やっぱり、胸は大きいほうが好きですか?」
不安そうに、ロックオンを見上げるティエリア。
「いいや、俺は胸はないほうが好きだ!」
きっぱりと言い放つロックオン。だって、ティエリアの胸は小さいから。女性化した無性体の胸なんて、本当に服をきても分からないくらいのまな板ぶりだ。そこへ、ちょうど、フェルトが入ってきた。
「ないほうが好き・・・・やっぱり、ロリコン。しかもマニアック」
ズーンと、フェルトが沈んだ。フェルトは14歳という年齢に似合わないボインだ。ロックオンのことを密かに慕っている。
ロックオンは、人生が終わった気がした。
「きゃはははは、ロックオン、やっぱりロリコンね」
「ティエリア、行くぞ!」
なんとかミス・スメラギの魔の手からティエリアを助け出し、また抱えあげるとロックオンは去っていった。
「ロックオン、ロリコンか」
「いや、違うから!」
ティエリアは、ロックオンの首に手を回す。
「あなたがロリコンでも変態でも僕は構わない。あなたを愛しているから」




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