「信じよう。僕は刹那の言葉を信じよう。何せ、ジャボテンダー仲間だからな。君がジャボテンダー殺人事件の犯人のはずがない」 「俺のジャボテンダーはちゃんとここにいる」 ベッドの下から、刹那は自分のジャボテンダーを出してティエリアに見せる。 刹那とティエリアはジャボテンダー仲間だ。一緒に、ジャボテンダーを購入した仲だ。刹那がこれがかわいいと、ティエリアに勧め、ティエリアはお陰でジャボテンダーの虜、ジャボテンダー中毒症だ。 「真犯人は別にいる!」 ロックオンの耳に、刹那がこっそりと子悪魔のように囁く。 「あまり放置して一人で地球に降りてばかりだと、ティエリアはもらうぞ」 その時の刹那は、子供ではなく大人の表情をしていた。 最近、ロックオンは昔の飲み仲間と遊んでいて、ティエリアを放置しがちだ。ロックオンは肝に命じた。無駄に飲み仲間と遊ぶのはもうやめようと。 「刹那、お前には渡さない」 「上等」 刹那は、無表情だった。 そういえば、最近ティエリアからの話題も刹那のものが多くなっている。ティエリアは浮気をするようなタイプではないが、刹那とは年が近いせいで警戒心というものがない。ロックオンがいなくて寂しいときは、ティエリアは自然と年の近い刹那の傍にいるようになっていた。 これは、刹那からの警告メッセージ。 「刹那、疑ってすまない」 「いい」 刹那は、ティエリアの頬に触れるだけのキスをした。 「こらああ、刹那!」 刹那は舌を出していた。 ロックオンをからかって遊ぶ子供の刹那。でも、ティエリアのことに関しては本気かもしれない。 ロックオンは、ティエリアを抱き上げると刹那の部屋を後にした。 「ロックオン?」 「ごめんな。最近お前放置して遊んでばっかだった」 「はい・・・・寂しかった」 ティエリアは、ロックオンに抱きついた。ティエリアは安堵した。 最近のロックオンは、2週間トレミーを空けるのも当たり前で、帰ってきてもまたすぐにいなくなってしまった。でも、ティエリアは責められない。ロックオンのことを愛しているから。 もっと傍にいて欲しいと願っていても、「傍にいて」と囁いても、最近のロックオンはすぐに地球に降りてしまっていた。普通なら、浮気していると疑われても仕方ない。 ティエリアはロックオンを信じている。それがティエリアの愛。ひたすらにロックオンを愛し、信じ、そしていない時は一人で寂しくジャボテンダーを抱きしめて時には涙さえ零した。 刹那が、「ちゃんと帰ってくる」といつも励まして、傍にいてくれた。 「全く、世話のかかる二人だ」 刹那は、部屋の中で一人でため息をついていた。 「さて、真犯人を探そう」 ロックオンの腕から解放されたティエリアは、ターバンを広げる。 そこには、ミス・スメラギと名前が書いてあった。 「名前が!犯人はミス・スメラギか!」 ティエリアとロックオンは、ミス・スメラギの部屋に押しかける。 「ミス・スメラギ、あなたがジャボテンダー殺人事件の真犯人か!?」 部屋の中に入ると、ミス・スメラギは酒を昨日飲んで、服を脱いだ姿のまま寝ていた。 「うわあああ、なんて格好してるんだ!」 ロックオンが、ミス・スメラギに毛布をかける。 「あらぁ、ティエリア、ロックオン、いらっしゃい」 酒臭い。 ミス・スメラギは毛布を落として立ち上がると、ティエリアを押し倒した。 「前回の戦術プラン、役にたったわ。またお願いね」 「了解し・・・た・・・・あ、あ」 「やっぱティエリアかわいいわねぇ。食べちゃいたいわ。あら、少し胸大きくなった?」 「そ、そんなことは・・・・」 ミス・スメラギは無性であるティエリアを少女とカテゴリしている。同性だと、遠慮もなしにティエリアの胸を触ってもみしだく。 「女はボインが一番よお?」 ドーンとブラジャーに包まれたボインすぎる胸を見せ付けるミス・スメラギ。 「ロ、ロックオン、やっぱり、胸は大きいほうが好きですか?」 不安そうに、ロックオンを見上げるティエリア。 「いいや、俺は胸はないほうが好きだ!」 きっぱりと言い放つロックオン。だって、ティエリアの胸は小さいから。女性化した無性体の胸なんて、本当に服をきても分からないくらいのまな板ぶりだ。そこへ、ちょうど、フェルトが入ってきた。 「ないほうが好き・・・・やっぱり、ロリコン。しかもマニアック」 ズーンと、フェルトが沈んだ。フェルトは14歳という年齢に似合わないボインだ。ロックオンのことを密かに慕っている。 ロックオンは、人生が終わった気がした。 「きゃはははは、ロックオン、やっぱりロリコンね」 「ティエリア、行くぞ!」 なんとかミス・スメラギの魔の手からティエリアを助け出し、また抱えあげるとロックオンは去っていった。 「ロックオン、ロリコンか」 「いや、違うから!」 ティエリアは、ロックオンの首に手を回す。 「あなたがロリコンでも変態でも僕は構わない。あなたを愛しているから」 NEXT |