そこはロックオンの部屋だった。 「へ?なんで俺の部屋・・・・」 「真犯人は君だな!逮捕します、ハロさん!」 「ちょっとまてええええ!!」 「シンハンニン、シンハンニン」 ハロは、嬉しそうにティエリアの周りを跳ねる。 「なんで犯人がハロなんだ!」 「だって、ハロさんはよく一緒にミス・スメラギと飲んでいる。それにかわいいものが好きだ。熊のぬいぐるみなんかによく話しかけている」 ロックオンは、ハロを匿った。 「どいてください!シンハンニンとハロさんも自分で言っているではありませんか!逮捕する!」 「いや、こいつはただのAIだから!しかもこれでも俺の相棒だから!言葉を真似するのは、AI独自の機能だって!」 「は、ということはロックオンは共犯者!?僕を騙していたのだな!?」 さっと、ロックオンから離れるティエリア。 ロックオンは、ハロを抱えてついでに頭も抱えた。 「ハロは、確かにミス・スメラギが飲むとき勝手にもっていくけどさ。しかも熊のぬいぐるみとか特にぬいぐるみ系に話しかける変なくせがあるけど、ハロはジャボテンダーの友人だぞ?殺すわけないだろう」 「言われてみれば、それもそうだ・・・・」 ティエリアは首をひねる。 「ならば、真犯人は・・・・・」 「俺、もう分かってるから。ついてこい」 「流石ワトソン君。僕の助手だけあるな」 「こらこら、誰がワトソン君だ。勝手に名前変えるな」 ロックオンは苦笑しつつ、ハロとジャボリー君を持ったティエリアを伴って、アレルヤの部屋にきた。 ロックはかかっていない。 「入るぞ、アレルヤ」 「どうぞ」 アレルヤは、にこにこしていた。 「アレルヤ、なんでこんな子供みたいな真似したんだ。お陰でティエリアが真犯人見つけるって騒ぎだして、今までトレミーのいろんな人と会話してたんだぞ」 「そう、それは良かったね」 「アレルヤ?」 ロックオンがいぶかしむ。 「楽しめたかな?僕のティエリアとロックオンを仲直り作戦。ロックオンは最近ずっとティエリアを放置しっぱなしだったじゃないか。ティエリアは、僕の部屋にも、一緒に眠りにきたよ?僕は怒ったさ。ティエリアは、一緒のベッドの中で、ロックオンと寝言で名前を呼んで泣いていたんだもの」 「・・・・・・・・・」 アレルヤは、ティエリアを抱き寄せると、ベッドに座らせた。 「恋人が寂しがっているのに、あなたは地上の昔の人間と飲み歩いて。帰ってきた時にはアルコールと女の臭いをさせて・・・・どれだけ、ティエリアが影で泣いていたか分かるかい?」 「それ、は」 「ティエリアは、一途だから。ロックオン、君を責めたりはしなかっただろう?ティエリアは、君に「傍にいて」といったそうじゃないか。でも、次の日にはまた数週間ティエリアに何も言わずにトレミーからいなくなって。いくら恋人同士でも、何も言わずに急にいなくなられると不安になるものだよ。ティエリアは、僕や刹那の部屋にきては一緒のベッドで眠って寂しさを紛らわして。君がいるときは、僕や刹那の部屋に遊びにきても、泊まるなんてこと皆無だったよ。「寂しいかい?」って聞いたら、ティエリアは素直に「ロックオンがいなくて寂しくて苦しい」って答えたよ。恋人として、あんまりじゃないかなって思って、刹那、ミス・スメラギ、それにラッセたちと協力してこんな子供みたいな真似をしたんだ。僕を責めるかい?」 「いいや・・・・・」 ロックオンは、首を振った。 「じゃあ、誓って。もう、ティエリアをこんな風に扱わないって。じゃないと、本気で僕か刹那がティエリアを奪うよ」 「誓う。もう、こんなバカな真似はしない」 「それでいいよ。ロックオン」 アレルヤは、優しい笑みをロックオンに向けた。 「アレルヤ・・・・フグ中毒でジャボリー君は死んで・・・でもロックオンが生き返らせてくれた。お願い、ロックオンを責めないで・・・悪いのは、全部僕だから・・・責めないで、お願い・・・悪いのは全部僕なの・・・ロックオンは悪くないの、ロックオンを責めないで」 ティエリアは、ついには泣き出してしまった。 「ごめんね、ティエリア。いい子だから、泣かないで」 「うん」 アレルヤに優しく抱きしめられる。それでも、一度流れた涙は止まらない。 「ほら、王子様が待ってるよ」 「ロックオン・・・・」 「ごめんな、ティエリア。俺を許してくれ。もう、寂しい思いはさせないから。だから、泣き止んでくれ」 「はい・・・傍に、いてください。何も言わずに、僕の傍から急にいなくならないで」 「真犯人は、僕だよ、ティエリア。逮捕してね」 「逮捕する」 ティエリアは、手錠をアレルヤにかけた。 でも、二人ともとても嬉しそうだった。 NEXT |