「ぶはっ!死ぬかと思ったよ針万本」 こんな時でも、語尾に針万本をつけるアレルヤ。もう、本当に身も心もジャボテンダーになっているのかもしれない。いや、流石にそれはないか。 「ジャボンさん、すっきりしましたか?」 「あ、ああ、死に掛けたよ針万本」 「そうですか、それは良かった」 「おいおい、殺すなよ、ティエリア」 「流石に殺人事件は困るぞ」 ロックオンと刹那は、また楽しむ側に戻っている。 アレルヤは涙を流した。確かにくじで負けたのもあるけど、もうちょっと助け舟出してくれてもいいのに。 「では、食堂に戻りましょう。僕の手料理をご馳走しますね」 その言葉に、ロックオンと刹那は青ざめた。 「ひいいい、ティエリアの手料理!」 「ティエリア、本気でアレルヤをヤル気だ」 ティエリアの手料理の音痴さといえば、食った人間はドクター・モレノの世話になり、治療カプセルに入らなければいけないほどだ。 それを承知のアレルヤも青ざめた。 「お、お腹はすいてないよ針万本」 「さぁさぁ、遠慮なさらずに」 こうして、一同は食堂に集まる。 ティエリアはクッキーを焼いた。一応はロックオンが作り方を教えて、材料もちゃんとチェックしているが。 焼きあがったクッキーは、かわいくジャボテンダーの形をしていた。 「はい、どうぞ」 「まともだ」 刹那が驚く。 アレルヤも安心して、クッキーの一つを口にした。 「あの。これ、鮭の味がするんだけど針万本」 「僕の特技は、普通に調理してもいろんな味になるというものです」 いや、それは特技ではないから。いや、ある意味特技だろうか。 「飲み物はコーラで」 ドン!と、また巨大ジョッキに一リットルのコーラが入れられている。 「ひいいいい、針万本!」 アレルヤは巨大ジョッキに怯えている。 「ジャボテンダー、ちゃんと胃薬は用意してあるからな」 ロックオンはとても朗らかに笑っていた。 「ありがとう針万本」 次のクッキーを食べる。ピーマンの味がした。 ちゃんと、ロックオンが材料から作り方まで見ていたというのに、何故にピーマンの味なのかはアレルヤだけでなく、ティエリア以外の皆が分からなかった。いや、作った本人のティエリアでさえ、何がどの味なのか分からない。ここまでくると、ティエリアの手料理は神業だ。 次を食べる。納豆の味。 アレルヤは納豆があまり好きではなかった。仕方なく、巨大ジョッキのコーラを飲んで、口の中の味を消す。 まだまだクッキーはある。 「き、君も食べないかい針万本」 「いえ、これはジャボンさんのために僕が心から作ったものなので遠慮しておきます」 次を食べる。グリーンピースの味。次は味噌汁の味。その次はバナナ・オレの味。 「い、以外と美味しい針万本」 「そうですか、それは良かった」 アレルヤはほっとした。もっと壮絶な味を予感していたのだが、味はいろんな食べ物の味で凄いことになっているが、食べれないことはない。 次を食べる。腐った牛乳の味だった。そんなもの味わったことのないアレルヤは、それが腐った牛乳であると分からなかったが、凄く不味いのだけは分かった。 そろそろ、ティエリアの本領発揮だ。 腐った食べ物シリーズの味がしだすと、終盤を迎える。 次を食べる。めっちゃすっぱい梅干の味。 「す、すっぱい針万本」 アレルヤは顔をすっぱそうにしながらも、次を食べた。 アレルヤは、顔をすっぱそうにしたまま目を見開いて固まった。 きた。 ロックオンも刹那も思った。 爆弾を引いたのだろう。 アレルヤはそのまま動かなかった。 「ジャボンさん?そんなに感動していただけるなんて、嬉しいです」 ティエリアは一人嬉しそうに、感動していた。 NEXT |