「ティエリアー、風呂わいたぞー」 「はい」 ロックオンの部屋で、ベッドの上でごろごろしていたティエリアは、ロックオンの声でパジャマと下着とバスタオルをもって浴槽の脱衣所にくると、衣服を全て脱いでバスルームに入った。 中に入ると、ロックオンが頭にタオルを乗せて浴槽の中の湯に入っていた。 「また裸か。バスタオルくらい巻いたらどうだ」 「どうせ体を洗うときにとるのだから、裸のほうが便利です」 「まぁそれもそうだけど」 ティエリアは脱ぎっぷりがいい。それはそれは爽快に。 男女のどちらでもない無性のティエリアは、よくロックオンとお風呂に入る。眠る時も一緒だし、食事のときだってとにかく一日中ロックオンの傍にいて離れることがない。 浴槽には、ジャボテンダーさんもすでに入っていた。 息子のジャボリーくんもプカプカ浴槽を漂っている。 ティエリアはざっと体に湯をかけて、ロックオンの隣に入る。 あ〜ジャボテンダージャボテンダー 親子と一緒にお風呂お風呂お風呂 親子どんぶりみたいだね〜 親子仲良くお風呂にはいろ〜 ジャボテンダージャボテンダー 今日もいっぱい光合成しましたよ 明日も光合成しまくろう〜 あ〜あ〜〜〜らららら〜〜 じゃぼてんだ〜いい湯だな〜針万本〜♪ ティエリアの愉快な歌声が、バスルームに響く。 最近になってお風呂に入る時はいるもその歌を歌うので、一緒にロックオンまで歌っていた。 「いい湯だな〜針万本〜♪」 ロックオンとティエリアは身体を洗って髪も洗って、ティエリアはリンスにトリートメントまでしてから、全部流してまた浴槽に入る。 二人でまた同じ歌を歌う。 「ああ、そうだ、忘れてた。新しい入浴剤入れないと」 バスルームの棚に置いてあった入浴剤をとりだして、ロックオンは封を切って中身をお湯に溶かす。 ティエリアは桃の湯が大好きで、甘い香りのする桃色の湯が大好きでいつもはそれを使っているのだが、各地の温泉の元を入れたりと、ロックオンはちょっとした温泉好きな人である。 今日入れたのは、温泉の元などではなく、ただの入浴剤。 緑色に、浴槽の湯が染まっていく。 そう、緑色。 桃の湯のように乳白色に濁っておらず、緑色に澄んだお湯と、いい匂いがバスルームに広がる。柑橘系の香りだろうか、すっきりしている。 入浴剤の後ろをみると、ゆずとかかれており、ゆずの湯かぁとロックオンは顔を和ませた。 本当のゆずの湯はゆずを浮かべなければならないのだが、ティエリアが嫌がるだろう。ティエリアは桃かミルクの入浴剤が大好きだ。この前すきとおったピンク色の桜の入浴剤というのを入れてやったら、それもとても喜んでくれた。 「こ、これはもしかして!!」 ティエリアが浴槽の中で固まった。 さっきまで変な歌を歌っていたのに。 入浴剤は入ったお湯を手で何度もすくいあげて、パシャパシャと音をたてる。 「間違いない、これはジャボテンダーさんの煮汁!!」 「はぁ?」 「ロックオン、大変だ、ジャボテンダーさんが煮汁になって入浴剤になっている」 「いや、これは普通の入浴剤だって」 「この緑色がジャボテンダーさんの煮汁の何よりの証拠!」 「ティエリア〜」 「いけません、このままではジャボテンダーさんたちが煮汁で完全に色がぬけてしまう!」 ティエリアはざばっと風呂からあがると、水を吸って重くなったジャボテンダーをしぼって乾燥機にかけ、ミニジャボテンダーは耐水性なのでそのままタオルでふきとって一人でバスルームを出て行ってしまった。 「煮汁ときた」 ロックオンは、そういわれてみればジャボテンダーの煮汁のような気がしてきて、身震いする。 「今度から、この入浴剤は止めとこう・・・・」 NEXT |