「やっぱり、雪像はジャボテンダーさんだ!」 「いやいや、普通にバスケットボールだろ!」 「兄さん、バスケットボールなんて雪で作っても面白くないだろ。やっぱここは、何かインパクトのあるものにしないと。課題は自由だし」 ティエリアはこの前バスケ部に入部した。 ニールとライルと一緒に何の雪像を作るか相談している。 クラブごとに一つというわけでなく、複数の作品を作ることが可能であった。 「そうだな、じゃあおれドラえもん作るわ」 「兄さん・・・・」 遠い目になる弟のライル。 ニールは本気でドラえもんの雪像を作り出した。 その隣では、すでにティエリアがジャボテンダーの雪像を作り始めている。なんか建設作業員が呼ばれたりしてえらい大げさなことになっている。 流石アーデ家というのかなんというのか。お遊びにも気をぬかない。金もかける。 「俺は・・・普通の雪だるま・・・」 「ライル、お前は俺と共同制作でドラえもん作りだ」 「まじで!?」 「もう作品の申し込みにドラえもんって兄弟で作るって申し込んできたから、変更不可!」 ニールはドラえもんの土台を作りながら、弟にシャベルをほうりなげる。 「あーもうまたアニューに笑われちまう」 こうしてニールとライルは本気でドラえもんを作り出した。 サッカー部のアレルヤは、雪像というよりアミューズメントパークのようなものを皆と協力してつくっている。 そして、コンピュータ部のリジェネはというと。 「3Dギャルだ!」 ようはゲームの登場人物を、これも建設作業員を指導しながら作っていく。 最後に、刹那はというと。 ガンダム部なるおたく臭いクラブに入っているだけのことはある。 皆で(といっても部員は1年〜3年で四人しかいないけど)刹那の機体のダブルオーライザーを作っていた。建設作業員なんて使っていないので、実大サイズなんて作れるわけなく、ちょうど雪だるまくらいの大きさのダブルオーライザーを皆で本当に器用に、細部までこだわって作っていく。 まわりには、何故かガンプラが置かれている。 ある意味、味深い。リジェネの3Dギャルとどっちがオタクっぽいのかいい勝負だ。 クラブに入っていない生徒は、普通にグループで固まったり、一人でだったりで申し込みをして雪像をつくっていく。どのクラブもみんなかわいい雪だるまや雪うさぎだ。 人数が多いクラブは、すでに学園に待機していた技術者の指導のもとに、いろんな雪像を作り上げていく。 雪像を作り始めること5時間経過。 すでにほとんどのクラブは完成している。 リジェネのコンピュータ部の、3Dギャルは氷の精霊だった。わりとまともだ。周囲に同じような精霊を何体か作って、仕上がった。 タイトルは「雪の女王と精霊たち」 女王にされた精霊はピカピカと電灯がともされ、雪像というよりは氷像のように美しい。 サッカー部のアミューズメントパークも完成した。 滑り台をメインに、小さなテーマパークを作った。 刹那のいるガンダム部もすでに完成している。 ダブルオーライザーだけでなく、エクシアも作り上げた。細部にまでの細かい作り具合は、技術者もうならせたほどだ。やっぱり、周囲はガンプラで多い尽くされている。 そして刹那は、ガンダムオタクたちと輪になってもそもそとガンダムの話で盛り上がっていた(見た目はただ暗く話しをしているようにしか見えないが) ライルとニールのドラえもんも完成。横にのび太?みたいな生物も作った。他にも登場キャラ?らしきものの物体を作っている。 「ジャイアン、ジャイアン」 「違うだろハロ、これはノビ太でこっちはしずかちゃんだ」 どうみても、ただの雪の塊だった。 ライルは一人、バスケットボールを作った。 あまりに恥ずかしかったので、後から申しこみの変更をして、自分の作品をつくることにしたのだ。 ドラえもんが大好きな兄さん。かわいいんだけど、アホだ。 最後になって、ようやくティエリアのジャボテンダーができあがる。 「ああ、なんて可憐な姿」 ティエリアは雪像のジャボテンダーに酔っている。 タイトルは「ジャボテンダーと私」 ジャボテンダーとサボテンダーを無数につくりあげ、その真ん中にティエリア自作の「私」を作り上げる。 その「私」というのがこれまたニールのしずかちゃんとタメをはれる出来栄えだ。人間に見えない。宇宙生物だろうか。それとも他の何か・・・。 NEXT |