変態が駆逐された。平和な学園。 皆で雪像の見学会が催された。 生徒たちが自分で、それぞれ好きだと思う雪像に票をいれ、それが一番多かったクラブの勝ちである。 「ティエリア、ジャボテンダー作りすぎじゃない?」 「ジャボテンダーさんは僕の親友だから!」 リジェネの問いに、ジャボテンダー空間と化したティエリアの作品はかわいいと評判が良かった。 かわってリジェネの作品も神秘的だとかなり評判が高い。 アレルヤのいるサッカー部の作品も、素人だけが作ったにして成功度が高いと評判がいい。 「ニールのこれは・・・・なんだろうねぇ」 リジェネは、歪んだ変な物体の雪像が並ぶ空間を見て笑っている。 「あれじゃない、ウルトラマン!」 アレルヤの答えは、でも正解じゃない。 「確かにこれはウルトラマンに見える」 刹那が、「ドラえもん」を指差す。皆同意している。 「いや、兄さん・・・・そんな落ち込むなよ」 ズーンと真っ暗になったニール。ティエリアを抱きしめて「どうせ俺はどうせ」とか沈んでいる。 「ニール、ドラえもんでしょう?これ」 一人、わかってくれたティエリアに、ニールはぱぁぁぁと明るくなった。 「じゃあ、これはハロだね」 ティエリアが指差したのは、ライルの作った「バスケットボール」 「あ、ああそうなんだ、ハロなんだ」 ライルは作品のタイトルをバスケットボールから無理やりハロに変えた。 「刹那のとこは凄いな。ガンダム勢ぞろいか」 一番評判のいいのは、刹那たちガンダム部が作ったガンダムの雪像。 マイスターズたちのガンダム5機が、細部にまで丁寧に作られている。無論、生徒たちの票も集まった。 結果、一位はダントツでガンダム部が票を集めた。リジェネの作品が2位。3位がアレルヤのサッカー部の作品で、4位がティエリアの「ジャボテンダーさんと私」ということになった。 ちなみに、僅差で156位がニール、154位がライルだった。 雪像はそのまましばらく保存され、週末には一般公開もされる。保護者たちと笑いあいながら、雪像を見ることができる。 「ふ、ふふふふ・・・・・」 かぼちゃぱんつに白タイツという時代錯誤な王子様スタイルで、流石に粒子ビームはきいたのか、学校を二日にわたって欠席したグラハム先生は口に薔薇を咥えて、刹那の作品が一位に輝いたのを祝福しに現れた。 刹那とて、流石に逃げられない。 だって、一位の勲章を与えるのがグラハム先生と、教師たちのくじ引きで、正当に決まったのだ。 「少年よ・・・・・ガンダム部の雪像、見事だった。ここに、一位のトロフィーと・・・・」 「刹那、我慢だ我慢!」 「一瞬で終わるから、我慢」 ライルとニールが根気よく刹那にいい聞かす。それに刹那は頷いて、自分に暗示をかけるようにずっと呟いていた。 「我慢我慢我慢我慢我慢我慢」 刹那は何度も繰り返した。目の前にいるグラハム先生からトロフィーをガンダム部の代表として受け取る。 手が触れた。ねちっこく何度も触ってくる。口に咥えていた薔薇を持たされた。 だめだ、我慢だ我慢。 「そして、このグラハムスペシャルを!」 脱ぎ脱ぎ。 グラハム先生はカボチャパンツも白タイツも脱ぎだした。 他の先生たちは、見てもいつもの行動なので何もいわない。どうなってるんだ、この学園。そもそも、なんでこんな変態を教師にして放置しておくんだ。誰だ、このグラハム先生に教師の免許与えたの。誰だ、この教師雇ったの。 現代国語教師っていうけど、今まで授業が成り立ったことなんて一度もないぞ。いつも自習だ。 「我慢我慢我慢我慢我慢我慢」 「少年よ、一位おめでとう!さぁ、愛という名の海に旅立とう!いざ一つに!」 グラハムスペシャルは豪勢に飾り立てられている。周囲が。なんか薔薇のタトゥーみたいなのがはられてる。お花がいっぱい咲いている中に聳え立つ、グラハムスペシャルという名のピー。 「我慢我慢我慢我慢我慢我慢・・・・ごめん、我慢無理」 刹那は、トロフィーでグラハムスペシャルをポキっと折った。 「あぎゃああああああああ!!!」 飛び跳ねるグラハム先生。飛び降りた先にいた生徒は、なんとリジェネ。 「何汚いもん見せてんだよ!」 リジェネはグラハムスペシャルを蹴り上げた。 「おぎゃあああああ!」 蹴り上げた先にいた生徒はティエリア。というか、ジャボテンダーさんに抱きつこうとしている。 「うわああああああああ!!!」 ティエリアはジャボテンダーさんを必死に非難させて(隣にいたニールに持たせた)、グラハム先生を投げ飛ばした。投げ飛ばした先にいたのはライル。 「こっちくんなあああ!!!」 ライルはグラハム先生を何故かもっていたバスケットボールでボコボコにする。 よろめいたグラハム先生が辿りついた先には、アレルヤ。 「ああん?なんだてめぇ。ケンカうってんのかぁ?」 ハレルヤと交代したアレルヤにボコボコにされるグラハム先生。 NEXT |