静かなる海「ただいま」








ヴェーダのシステムルームにやってきた刹那は、天井を見上げた。
「ヴェーダをトレミー内に運びこむそうだ」
「はぁ?」
間抜けなティエリアの声が帰ってきた。
「だってそうだろう。お前が帰ってこないのであれば、強制的に帰還させるだけだ」
「ヴェーダは、巨大だ。トレミーなどに積めるはずが」
「巨大空母を作って、トレミーと隣接させるそうだ。そこにヴェーダを積み込む」
「なんて強引な」
「強引だろうがなんだろうが、皆で決めたことだ」
「そうか・・・・刹那」
「なんだ?」
ふっと、ヴェーダのシステムルームに透けた裸のティエリアが現れた。

「ありがとう」

そのまま、刹那を抱きしめる。
透けているけれど、抱きしめれる。
イノベイター同士だからだろうか。

「会えた・・・・のか?」
「うん」
ティエリアは、刹那の頬にキスをする。
「この世界で、いつか必ずどんな未来かは分からないしどんな姿かは分からない・・・・けれど、出会うんだ。魂で、僕とロックオンは繋がっている。僕も、歩もう。未来へ」
刹那が顔をあげる。
「それじゃあ、トレミーへ」
「しばらくは、意識体のままだぞ。スペアの肉体を覚醒させるのは時間がかかる」
「十分だ」
刹那は笑った。そう、彼も嬉しい時はとても可愛い顔で微笑む。

それから、本当にすぐにティエリアは「帰還」した。
意識体の透けた体に、一同があんぐりと口をあけている中、ライルが赤面して一言。
「あのさ。肉体がないから透けてるのは仕方ないとして、とりあえず服きてくんない?服だよ服!まさかずっと、予備の体が覚醒するまで裸でうろちょろいるつもりかぁ!?」
「別に裸でもなんの問題もないだろう」
「おおありなんだよ!ほら、アレルヤ鼻血垂れてるし!刹那、なんとか言ってくれ」
「お帰り、ティエリア」
「そうじゃないだろおお!?」
「おかえりなさい、ティエリア」
「おかえりですう、アーデさん!アーデさんが裸でもすけすけでも私は気にしないですぅ!こうして会えて会話できるだけで十分なのですう!」

ティエリアは、ライルをからかうようにしばらく裸で過ごしたが、他のクルーたちがまともに仕事をしないというミス・スメラギからの苦情の一言で仕方なく制服姿になった。

「最初から、服がイメージで着れるならその姿でこればよかっただろうに」
「意識体は裸が普通だから、イメージし忘れただけだ」
そんなティエリアと刹那の会話が交わされていたという。


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