ドクター・モレノの日常VSティエリア4







とりあえず、ティエリアを落ち着かせてベッドに座らせた。
「むー」
ティエリアはジャボテンダーを抱きしめて、臍を曲げている。
ぎゅっと抱きしめられたジャボテンダーに、今日はロックオンの趣味なのか、いつもの私服ではないユニセックスな服をきた上に、髪は二つにくくられて、ブルートパーズの忘れ名草の髪飾りをしている。
どこか外出してきて帰ってきたところなのだろう。そんな姿だ。
ふてくされて足をぶらぶらさせているティエリアは、ドクター・モレノから見ても、こんなかわいい生き物がいていいのかと思うくらいにかわいい。かわいいんだから仕方ない。
「まぁそんなすねるなって」
「じゃあキスしてください」
そんなことを平然といってのけるティエリア。
「はいはい」
それを平然と受けるロックオン。
ティエリアの前髪を掻き分けて、おでこにちゅーをする。
それだけで、ティエリアは機嫌が直ってしまった。まったく、このバカップルは。

「で、一体なんの用事できたのか思い出したか?」
「思い出した」
ティエリアは、持っていた袋を取り出した。そこから出された品に、ドクター・モレノは絶句する。
ジャボテンダー柄がプリントされた白衣だった。
そういえば、白衣の残りがなくなったと思ったら。こんなところに束となって積み上げられた。
ああ、俺の神聖なる白衣が。
これもう白衣じゃないじゃないか。白衣とは、白いから白衣であって、柄があっては白衣ではない、しかし目の前のこれはジャボテンダー柄の白衣なので一応白衣なの白衣、おい白衣、聞いてるか白衣、答えろ白衣こんちくしょう!(ドクター・モレノ混乱中)

ぜぇぜぇ。
ちょ、まじで簡便してください。
目の前には、にっこり笑顔な魔王のティエリア。
「かわいいでしょう?ドクター・モレノの白衣、ジャボテンダー柄にしてもらった
いや、確かにかわいいです。はい。かわいいです。
でも、これきて働けってのか!これ来て、戦場のような流血沙汰に立ち向かえと!シュールですよシュール。
ジャボテンダー柄のマグカップをティエリアからもらったことはあった。何気に診察室のスリッパはジャボテンダー柄だ。
シーツと枕カバーまでもらったけど、流石に使う気はおこらずに保管したままだ。
ジャボテンダー・モレノ。今日からそう名乗るといい」
なんかわけのわからない名前きました!
ジャボテンダー・モレノ。
ジャボテンダーの一種ですか?

「おいこらロックオン、こうなる前に止めなかったのか!」
「いや、止めたってば。それに、これ洗えば落ちるから」
そうなの。あら、意外。洗えば落ちるのか。ならいいや。

ドクター・モレノの思考は常に前向きである。
(ドクター・モレノと接した人々談)

「さぁさぁ、着てみて」
ずいずいと、ジャボテンダー柄の白衣を持って迫ってくる魔王ティエリア。こんなかわいい魔王がいていいのか。ジャボテンダー柄の白衣を持って迫ってきながらも、両手が塞がっている時もジャボテンダーと接することができるようにと、背中にジャボテンダーをくくりつけている。くくりつけるか、普通。いや、ティエリアならするな。
「ジャボテンダーさんも似合うっていっている。大丈夫だ」

ドクター・モレノ、改名してジャボテンダー・モレノになりました。

「ジャボテンダー・モレノ。似合っているぞ」
「あいよ」
「大将、ばっちりだな。ジャボテンダー・モレノ、ここに生まれる」
いや、生まれたくなかったです、はい。
ジャボテンダー柄のスリッパをはいて、ジャボテンダーの白衣をきたジャボテンダー・モレノ。
主食はあれですか、やっぱりメロンソーダ?それとも水?それで光合成するんだよね。日光に当たらないとだめだな。あ、でも俺の体の中に、期待しても葉緑体はないぞ



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