次の日、ティエリアは欠席した。 携帯に電話を入れると、かわりにアレルヤが出た。 「アレルヤ?」 「ああ、ごめんね。ティエリア、熱また出しちゃって。最近は体調も良かったんだけど。なんか、学校でいざこざ起こしたんだってね。迷惑かけてごめんね」 「いや、いいよ。・・・・・アレルヤ、気づいてたんだ?」 「そりゃね。携帯電話でまでやりとりしてるし、メールの交換もしてるし、家ではニールのことも話すし。多分始めてなんじゃないのかな、あの子が誰かに恋をするの。僕からもお願いするよ。ティエリアを大切にしてあげて」 「本気か?俺は教師でティエリアは生徒だぞ」 「うん。問題は多いだろうけど・・・君になら、ティエリアを任せられると思う」 「そうか。・・・・・・なぁ、アレルヤ」 「どうしたの?」 「この鈍感バカ!」 そう言って、ニールは携帯を切った。 あの子が恋をするのは始めてじゃないかな。 ティエリアはあんなにもアレルヤを慕い、恋をしているのに。 本人は気づいてもくれない。それで諦めれるならいいだろうが、ティエリアはアレルヤにかなり依存している。 同じ屋根の下に住んでいる以上、顔を合わさないわけにはいかない。 ティエリアはきっと、とても苦しんでいる。 「どうしたもんかね・・・・」 アレルヤに信頼されるのは嬉しいが。 「奪いきれるなら、簡単なんだけどな」 当のティエリア本人は、ニールという存在を認めて、悩み事打ち明けたり、他愛もない会話をしたり、挨拶のメールをくれたりするけど、それはあくまで対等である者としてみているからだろう。 「やべぇな・・・・俺本気かよ。24歳の男が、17歳の女の子に本気って。しかも教師と生徒。うわぁ、犯罪すぎる・・・・」 ニールは、保健室のデスクに肘をついてもんもんと悩んでいた。 次の日、ティエリアはいつもの3時間目にやってきた。 手にはまだ包帯を巻いたままだ。 「ティエリア」 「何?」 「少しは俺のこと好きになってくれた?教師としてとか友人としてとかじゃなくって、異性として」 「・・・・・わからない」 ティエリアは困ったように視線を彷徨わせている。 「アレルヤがすきなのも、依存してるのも分かるし、そこに俺が入る隙なんてないのかもしれない。でも、俺ティエリアのこと好きだ。恋してる」 ああ、ついに言っちゃった。 隠しておく気もなかったし。 「僕のことが好きなの」 「そうだ」 「同情ではなく?」 「同情じゃない。家に戻ってもティエリアのことが気になって、いつもティエリアのこと考えてる。たまに見せてくれる笑顔に心がこうキュンキュンとな。やべぇ、俺乙女だ。どうしようティエリア。俺、乙女になっちまった・・・」 「本当に僕のことが好き?」 「好きだ」 「じゃあ。じゃあ奪ってみてよ。僕の心を、アレルヤから奪ってみて。僕はアレルヤに恋してる。アレルヤが大好き。そこから僕の心をさらっていってよ」 「あーもう、お前さんは難題ばっかりふっかけるなぁ」 「あなたのことは嫌いではない」 ニールは、ティエリアの髪に、髪飾りを留めた。 「これは?」 「俺からのプレゼント」 ティエリアがアレルヤから貰ったものと同じものだった。 「・・・・・・・・・・ありがとう」 「なぁ、キスしていい?」 「いつも勝手にするくせに」 ニールはティエリアの細すぎる腰に手を回して、唇に唇を重ねた。 ただ触れるだけのキス。 少しの間抱きしめた後、ティエリアは逃げるように教室にもどっていった。 頬が赤かった。 可能性がないわけではない。 「よーし、略奪愛ね。いいとも、奪ってみせようじゃないか」 ニールも覚悟を決めた。 次の週末、ニールはティエリアをデートに誘った。 ティエリアは、誘いに乗ってくれた。 NEXT |