青春白書12







精神的に落ち着いたティエリアに、アレルヤはマリーと再び会わせた。
それが引き金だった。
また、ティエリアが不安定になりだした。
アレルヤは自分の軽率な行動を悔やんだ。

熱を出して、保健室に運び込まれたティエリア。
ニールはティエリアに事情を聞く。ティエリアは素直に答える。
「まだ、アレルヤが好きなの。マリーって人を見ると、自分のものじゃないんだって再確認させられて・・・・なんか思考がぐるぐるして・・・・」
ニールは、ティエリアの右手首をみる。
リストカットしたあとはない。
「リストカットしたいと思った?アレルヤの気を引きたいって思った?」
「リストカットしないってあなたと約束した」
「うん、偉いな」
「アレルヤの気を引きたいかは・・・分からない。引いても、結局アレルヤは僕のものにならない」
「そうか」
ティエリアは、眠ってしまった。
熱は下がらず、結局早退となる。
週末、ニールはいつものようにティエリアの家に泊まりにいったが、アレルヤとなんだかぎくしゃくしているようだった。
「ケンカでもしたのか?」
「違う。僕が避けてるの」
「そうか」
あまり、深いことは聞かない。
これはアレルヤとティエリアの問題であって、ニールが介入する余地はない。

「ニールは、僕のものでいてくれる?ずっと僕の傍にいてくれる?」
「ああ。約束するよ」
「本当に?」
「本当だとも。そもそも、アレルヤからその心を奪ってみせてといったのはティエリアだぞ。俺はアレルヤからお前の心を奪うために必死になってる。今でも必死だ」
「うん」
「眠いか?一緒にまた寝ようか」
「うん」
ニールは、ティエリアのベッドで一緒に横になると、ティエリアを抱きしめてその夜を過ごす。
ティエリアはじっと、眠ったニールの顔を見ていた。
「どうした?見惚れるくらいにかっこいいって?」
「バカ」
「はははは」
ニールは優しくエメラルドの瞳を細めると、ティエリアを抱きしめて、髪を指で梳く。
「卒業したら、結婚しよう」
「え」
「俺は本気。ティエリアは大学に進むんだろう?」
「うん。進む」
「もう結婚しても大丈夫な年齢だ、お互い。ティエリアが嫌じゃなかったら、ティエリアが卒業したら結婚しよう。そして一緒に暮らそう。家族になろう」
「家族に?」
「うん。毎日一緒にいられる」
「結婚。僕だけの人でいてくれるの?」
「ずっと前から決めてた。お前に、アレルヤから心を奪ってみせろっていわれた頃にはもう決めてた。結婚しよう。おれの家に遊びにきたことはあっても、流石に泊まらせることはできないからな。一応生徒と教師だし。俺が泊まりにくるのは、まぁアレルヤの了解があるからだけど。お前を泊まらせることはアレルヤがNGだしてるから」
「アレルヤが」
「そう。大切なティエリアに万が一のことがあったら困るって」
「・・・・・・そう」
ティエリアは、少し哀しそうに目を伏せて、そのままニールの胸に顔を埋めてしまった。
「答え、急がなくていいから。今みたいな関係でいたいなら、それでもいいし。俺たち、付き合ってるだろう?」
「・・・・・・・・・これって、付き合ってるの?」
腕のなかのティエリアが首を傾げる。
「バカ。知らなかったのか。デートとか、付き合ってるからするんだろ」
「そうなの」
どこまでも真っ白なティエリア。
愛しいと思う。
生涯をかけて愛したいと思う。

「答え。来週、泊まりにきたとき答える」
「急がなくてもいいぞ。まだまだお前は子供なんだから。アレルヤの傍にいたいなら、この関係を続けてもいいし。ああ、おれは婿さんとしてこの家にくるってのもありだなぁ。今の親は怒るだろうけど」


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