精神的に落ち着いたティエリアに、アレルヤはマリーと再び会わせた。 それが引き金だった。 また、ティエリアが不安定になりだした。 アレルヤは自分の軽率な行動を悔やんだ。 熱を出して、保健室に運び込まれたティエリア。 ニールはティエリアに事情を聞く。ティエリアは素直に答える。 「まだ、アレルヤが好きなの。マリーって人を見ると、自分のものじゃないんだって再確認させられて・・・・なんか思考がぐるぐるして・・・・」 ニールは、ティエリアの右手首をみる。 リストカットしたあとはない。 「リストカットしたいと思った?アレルヤの気を引きたいって思った?」 「リストカットしないってあなたと約束した」 「うん、偉いな」 「アレルヤの気を引きたいかは・・・分からない。引いても、結局アレルヤは僕のものにならない」 「そうか」 ティエリアは、眠ってしまった。 熱は下がらず、結局早退となる。 週末、ニールはいつものようにティエリアの家に泊まりにいったが、アレルヤとなんだかぎくしゃくしているようだった。 「ケンカでもしたのか?」 「違う。僕が避けてるの」 「そうか」 あまり、深いことは聞かない。 これはアレルヤとティエリアの問題であって、ニールが介入する余地はない。 「ニールは、僕のものでいてくれる?ずっと僕の傍にいてくれる?」 「ああ。約束するよ」 「本当に?」 「本当だとも。そもそも、アレルヤからその心を奪ってみせてといったのはティエリアだぞ。俺はアレルヤからお前の心を奪うために必死になってる。今でも必死だ」 「うん」 「眠いか?一緒にまた寝ようか」 「うん」 ニールは、ティエリアのベッドで一緒に横になると、ティエリアを抱きしめてその夜を過ごす。 ティエリアはじっと、眠ったニールの顔を見ていた。 「どうした?見惚れるくらいにかっこいいって?」 「バカ」 「はははは」 ニールは優しくエメラルドの瞳を細めると、ティエリアを抱きしめて、髪を指で梳く。 「卒業したら、結婚しよう」 「え」 「俺は本気。ティエリアは大学に進むんだろう?」 「うん。進む」 「もう結婚しても大丈夫な年齢だ、お互い。ティエリアが嫌じゃなかったら、ティエリアが卒業したら結婚しよう。そして一緒に暮らそう。家族になろう」 「家族に?」 「うん。毎日一緒にいられる」 「結婚。僕だけの人でいてくれるの?」 「ずっと前から決めてた。お前に、アレルヤから心を奪ってみせろっていわれた頃にはもう決めてた。結婚しよう。おれの家に遊びにきたことはあっても、流石に泊まらせることはできないからな。一応生徒と教師だし。俺が泊まりにくるのは、まぁアレルヤの了解があるからだけど。お前を泊まらせることはアレルヤがNGだしてるから」 「アレルヤが」 「そう。大切なティエリアに万が一のことがあったら困るって」 「・・・・・・そう」 ティエリアは、少し哀しそうに目を伏せて、そのままニールの胸に顔を埋めてしまった。 「答え、急がなくていいから。今みたいな関係でいたいなら、それでもいいし。俺たち、付き合ってるだろう?」 「・・・・・・・・・これって、付き合ってるの?」 腕のなかのティエリアが首を傾げる。 「バカ。知らなかったのか。デートとか、付き合ってるからするんだろ」 「そうなの」 どこまでも真っ白なティエリア。 愛しいと思う。 生涯をかけて愛したいと思う。 「答え。来週、泊まりにきたとき答える」 「急がなくてもいいぞ。まだまだお前は子供なんだから。アレルヤの傍にいたいなら、この関係を続けてもいいし。ああ、おれは婿さんとしてこの家にくるってのもありだなぁ。今の親は怒るだろうけど」 NEXT |