ティエリアは、とうとう覚悟を決めた。アレルヤの部屋に入る。アレルヤは課題をしていた。 「アレルヤ」 「どうしたの、ティエリア」 「好き」 「僕もティエリアのこと大好きだよ」 「好き」 「僕も好きだよ」 ティエリアは、じっとアレルヤを見つめていた。そして首を振る。 「そういう好きじゃないの。僕、ずっとずっと、アレルヤのことを異性として好きだった。だからマリーって人を見ると不安定になった。アレルヤは僕のものじゃないんだ、僕のものにはならないんだって」 「え。僕のことを、異性として?」 「そう。僕は、アレルヤを女の子として好きなんだ」 「ティエリア」 「正直に答えて。アレルヤは僕のものになってくれる?マリーって人と別れて、僕の傍にいてずっと僕を見て僕を愛してくれる?」 「ごめんね。ティエリア、気づかなくてごめんね。ずっと苦しませてごめんね」 アレルヤは泣き出した。 つられてティエリアも泣き出した。 「いいから、答えて」 伸ばされた腕に抱きしめられて、ティエリアは必死になってアレルヤの背中にしがみつく。 「僕はマリーを愛しているんだ。ティエリアのことも大好きだよ。でも、マリーと別れることはできない。いつか、マリーと結婚して家庭をもつと思う。君が嫌でなければ一緒に暮らそうと思ってた」 「そんなの嫌。僕はアレルヤが好き」 「僕も好きだよ、ティエリア。でも、それ以上にマリーのことが好きなんだ。ティエリアのことも大切だよ。大好きだよ」 「うん、ありがとう」 ティエリアは、とんとアレルヤを突き飛ばした。 「ティエリア!!」 そのまま、ティエリアは家を飛び出した。追いかけようとしたが、ティエリアは足が早くて玄関のところでまかれてしまった。 「ティエリア、ティエリア、ティエリア!!」 もしも、ティエリアの身に何かあったら、全部僕のせいだ。 「そうだ、ニール!」 アレルヤは、ティエリアがおきっぱなしの携帯でニールに電話をする。 だけど、最悪なことに外出中で留守電になっていた。 「ああ、どうしよう」 そこに刹那が帰宅した。 「どうしたんだ、アレルヤ」 「刹那。どうしよう、どうしよう・・・」 アレルヤをなんとか説得して、刹那がティエリアを探すことにした。万が一帰ってくるときのために、もしくは連絡があるときのためにアレルヤは待機させる。 気が動転したアレルヤに、外出させるのもある意味危険だと刹那は判断した。 外は雨が降っていた。 しとしとと振り続ける雨の中、刹那は傘をさしてティエリアを探す。 ニールは、昔の友人と飲み歩いていた。 「あー、もうこんな時間か」 「いいじゃんか。もっと飲もうぜ」 「いや、終電に遅れる」 「けちくせー」 「はははは。また今度な」 ニールは酔ってはいるが、足元はしっかりしている。そのまま電車に乗って帰宅すると、家の前に人影があった。 「ティエリア?」 びしょぬれになったティエリアが、蹲っていた。 ティエリアは泣いていた。 「どうしたんだ、ティエリア。何かあったのか」 「うん」 「こんなびしょぬれで。うわ、つめて!何時間ここにいたんだ」 「わかんない・・・・気づいたら、ニールの家の前にいた」 「いいから、中に入れ!」 ティエリアを家の中にあがらせると、熱いシャワーを浴びさせて着替えさせた。ポタポタと髪から水を滴らせたままのティエリアの髪をふく。 ティエリアはずっと泣いていた。 「大丈夫か?」 「大丈夫じゃない。・・・・・・・・ねぇ。抱いて」 「ティエリア」 ニールはティエリアを抱きしめた。 「そういう意味じゃない。僕を抱いて」 ニールはティエリアを抱きしめて、唇を重ねる。 「何もかも、忘れたい」 ニールは、ティエリアを抱きしめてベッドに連れて行ったが、ただ抱きしめるだけだった。 「ニール?」 「もっと体を大事にしなさい」 「僕には魅力ない?」 「そういう意味じゃない。アレルヤと何かあったんだな?」 「・・・・・・・・うん」 ティエリアは泣きじゃくった。ニールはティエリアを抱きしめて、ティエリアが泣き疲れて眠ると、毛布を被せてティエリアの家に、きっと待っているであろうアレルヤに連絡を入れる。 NEXT |