青春白書15 







ティエリアは、そのままニールと付き合いながら高校三年になった。
それから季節は過ぎていく。
学校側は、ティエリアとニールを受け入れた。正式に婚約あり、体の関係はなしという方向で。
自分たちから、正式に婚約をして付き合っているといいだしたティエリアとニール。無論、問題にはなった。保護者であるアレルヤが呼び出されもした。
教師と生徒なのだから、仕方ないことかもしれないが。
だが、昨今では体の関係などすでにあって、何もいわずに退学して結婚するケースもある中で、二人の毅然とした態度と約束は目を見張るものがあった。
すでに、この年齢で結婚の約束なしで付き合っている教師と生徒というケースはごまんとある。過去にこの学校でもあった。その中で、あえて自分たちから言い出し、約束を決めてそれを守るという姿勢を理事長も了承し、二人は学校でも公認のカップルとなった。
高校3年にもなると、もう公認でティエリアはニールの家に住むようになっていた。

ティエリアとニールの結婚式は、それはそれは華やかなものだった。
何せ、学校の教師全員に同じ学年の者たちが祝いに出たのだから。他にも旧知の友人の招待などもあったが、とにかくめでたくゴールインした二人を祝おうを学校で特別文化祭まであったほどに二人は祝福された。
「おめでとう!」
「おめでとう!!」
純白のウェディングドレスを着たティエリアと、タキシードをきたニール。
「ティエリアああああ!お父さんはあああああ!うううう」
「落ち着け、アレルヤ。鼻水でてるぞ」
お父さんはお父さんはと泣きまくるアレルヤも、次の年にはマリーと結婚することになる。
刹那が、アレルヤの鼻水を拭く。
ティエリアは笑顔でアレルヤに「今までありがとう、大好きですアレルヤ」といって、ニールと並んだ。
アレルヤの泣きようはそれはもう凄いもので、鼻水の量も凄かった。一緒に出席したマリーも驚いたくらいに。
保護者であったアレルヤは、確かにティエリアの父でもあったのだ。年齢は3つしかかわらなかったけれど。
ブーケを投げると、それを受け止めたのはマリーだった。
マリーとティエリアは友人になった。
リジェネと、そしてその両親も結婚式に出てくれた。ティエリアは、虐待していた両親を許した。両親は、長いこと悔やんでいたのだという。リジェネと似ているのに、ティエリアは出来がよくてそれが虐待に繋がった。当時母親は愛人もいて、そのせいで父親は精神的に不安定になって職も休んでいたし、ティエリアを襲ったのも本意ではなかったことらしい。覚せい剤をしていたらしい、当時。
荒れに荒れた場所から逃げたティエリアは、新しい出会いを生み、そしてそこからニールと出会うことになる。
ニールの最初の両親も結婚式にきていた。ニールも二人を許した。
長いこと、手紙で謝罪がきていた。実際にあって許そうと思ったのは、ティエリアのお陰かもしれない。
二人の両親は、泣いて謝罪して、そして幸せになった二人を心から祝った。
不良グループの頃の友人もきていた。当時世話になった警察官やおまわりさんまできていた。もう大所帯すぎて、とにかくにぎやかだった。

新婚旅行はニュージーランド。
新婚旅行なのに、二人は羊と戯れて、牧場で体験生活をしていたという。

ティエリアは、結婚した後ニールとそのまま一緒に住みながら、希望の大学に進んだ。

名前は変わっていない。ティリア・アーデのままだ。唯一、死んだ両親がくれたその名前を変えることはティエリアにはできなかった。ニールも同意してくれた。
二人はいつでも新婚バカップルだった。

刹那とリジェネも同じ大学に進んだ。
大学2年の夏、3ヶ月大学を休学した。

新しい命が、二人の愛の結晶として産み落とされたからだ。

はじめ、ティエリアは怖がっていた。自分が親に虐待されていたせいで、子供を虐待するのではないかと。けれど、ニールと二人で歩んでニールはいつでも相談に乗ってくれたし、子供は素直に愛しいと思えた。ティエリアはニールに支えられながら、育児と家事とそれに学業まですることになる。家事はニールが全部引き受けてくれたり、アレルヤとマリーがが子守をしにきてくれたりと、とにかくやっていけそうだとティエリアは思った。
一人で子供のことに関して悩むことはなかった。初産の母親は育児ノイローゼになりがちだが、ティエリアは周囲がとにかくこれでもか!ってくらいに世話をしにきてくれた。
特にアレルヤが。あと刹那とリジェネ。



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