世界でたった一つの楽園8







完成した写真を、ティエリアと一緒に見た。
「また、行きたいです」
「ああ、また連れてってやるよ」
ロックオンは、そう約束した。ロックオンの部屋で、ティエリアは生活をしだす。
ジャボテンダーをいつも抱きしめて、時にはぶんぶん振り回して、おもしろおかしいティエリアはいつの間にかトレミーの人気者になっていた。
最初に出あった頃のことが嘘のようだ。

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「ねぇ。また、神の庭にいけるかな?」
ティエリアは、ロックオンのベッドで一緒に横になりながらロックオンに話しかける。
「行けるさ。大丈夫、連れて行く」
「うん・・・・・」
「だから、泣くなって」
戦闘で、ティエリアを庇ったロックオンは右目を負傷した。
ティエリアはつきっきりで看病したが、ロックオンは再生治療を断り、痛みと熱にうなされることになる。鎮痛剤を噛み砕くロックオンに、ティエリアは涙を流す。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「だから、おれがしたくてやったことだから。謝るな」
「だって、あなたが居なくなってしまうかと思った」
泣きじゃくるティエリアに、ロックオンは涙をはらって何度も優しいキスをする。
「俺が、お前を守るんだ。戦いが終わったら、また神の庭にいこう」
「うん。行こう。約束です、ロックオン」
「ああ、約束だ」

ロックオンは、眼帯をするようになった。
傍には、いつもティエリアがいた。
二人は、いつも一緒にいた。

戦闘は熾烈を極める。ヴェーダを失ったティエリアは、最後のよりどころのようにロックオンばかりを見つめていた。
「大丈夫だから」
「うん」
ロックオンは、ティエリアを抱き上げると、くるくるとまわってベッドにダイブする。
「ほら、元気だせよ」
「はい。大好きです、ロックオン!」
抱きついてきたティエリアを、優しく抱きしめ返すロックオン。
ロックオンは、神の庭でとった写真を取り出しては、ティエリアに見せて元気をださせる。写真にうつっているのは、花だけではない。

笑顔で笑っているティエリアが、写真の中にいた。

「な、この写真みたいに笑って」
「うん」
ティエリアはロックオンにすりよりながら、小さな微笑を零す。
それは幸せの証。
ロックオンからもらった麦の穂は、しおりにした。
いつも読む本に、大切にはさまっている。
写真の中のティエリアは綺麗に微笑んでいた。花の雨を受けて、笑うティエリア。
日常生活の中で、やっとティエリアが微笑みを取り戻した。
ロックオンは毎日ティエリアと一緒に眠る。そしてくせのように、ティエリアを抱き上げてはくるくると回ってベッドにダイブする。そうするのがロックオンは好きだった。そうされるのがティエリアも好きだった。
二人の指には、ペアリングが光っていた。

そう、エメラルドとガーネットの、対となるペアリング。

世界でたった一つの楽園。
神の庭。
そこでティエリアとロックオンが願ったのは、一緒にいられること。
そんな小さな願いを、運命は引き裂いていく。


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