世界でたった一つの楽園9







ロックオンは、結局トレミーに戻ってこなかった。大破したデュナメスからは擬似太陽路はトレミーに戻されており、ロックオンの生存は絶望だった。
それでも、ティエリアは戦う。最後まで。

エメラルド色の光に包まれて、ティエリアは血まみれで意識を失った。
「あなたと、ずっと一緒にいると誓った。一緒にいく・・・・」
そっと、見える地球に手を伸ばす。
最後に、ロックオンもきっと地球に向かって手を伸ばすたはずだ。確信できる。それが何故なのかは分からないが、ロックオンはそうしたはずだ。
大破したバーチェは宇宙を漂う。

そのまま、同じく大破したトレミーになんとか収容されて、ティエリアは治療カプセルに入れられて目を覚ました。

「ロックオン?」
目を覚ましたティエリアの手を握っていたのは、フェルトだった。
「ロックオンはいないの。刹那も、アレルヤも・・・」
フェルトは泣いていた。
「そう、か」
彼の元にいきたいと思った。
でも、残った仲間を守るのは自分の使命。ロックオンが命をかけて守ってくれたのは僕の命。
世界を、変えなければ。

ティエリアは歩き出す。仲間と共に。
いつも、麦の穂のしおりを持っていた。

トレミーの修理が終わり、ティエリアの新しい機体セラヴィも完成し、収容された。他の3つのガンダムも。
ティエリアは制服をCBに導入に、自ら率先してそれを着て、リーダーとして歩みながら、CBを再建していく。
ティエリアは何度も泣いたし、挫折した。でも、麦の穂のしおりを握り締めてまた立ちあがる。

ティエリアは、ついに決心した。
彼と、お別れをしようと。
セラヴィで地球に降りた。刹那とアレルヤの行方は以前と分からないが、ロックオンの死はすでに確認されている。いつまでも、逃げてばかりいられない。
ティエリアは、アイルランドに降りた。
そして真っ白な薔薇を携えて、ディランディ家の墓に花束を捧げる。
「あなたと、ずっと一緒にいたかった。もう一度、神の庭に行きたかった」
花束を捧げて、冥福を祈る。
そして、ずっと大切にしていたしおりを、そっと墓の前に置いた。そのまま去ろうとしたが、やっぱり戻ってティエリアはしおりを胸に、膝を折る。
麦の穂のしおり。
愛しているという言葉と一緒に渡されたもの。ある部族で、プロポーズと一緒に渡すというもの。

「世界でたった一つの楽園・・・・・・・・・・」

別れ別れになったら、もう一度神の庭で会おう。
ティエリアは、セラヴィに乗って、空をかける。


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