威嚇射撃を行ったあと、相手が両手をあげたので、ティエリアは銃を構えながら相手に近づいた。 「ヘルメットを外して、両膝をつけ。手は後ろだ」 相手は、言葉通りにヘルメットを外す。 光にすけて、金髪かと思った。 茶色の髪だった。くせのある、ウェーブがかかった。大分長い。後ろで一つに括っている。 相手は、いきなり隠しもっていた銃を発砲した。 それはティエリアの銃にあたり、銃が手から弾き飛ぶ。 「くそ!」 肉弾戦を想定して、手刀を相手に叩き込もうとして、ティエリアの手が止まった。 「いたずらな子猫ちゃん」 頭を撫でられる。 その感触は、とても懐かしい。 ああ、夢だこれは。 茶色の髪が、風に流れる。 眼帯をしていた。黒い眼帯。隻眼の瞳はエメラルド。 ティエリアの手袋のしたにはめたままの、ペアリングにはまった石のようなエメラルド。 綺麗な、そう、彼と同じ色の瞳。 「神の庭をずっと探して、毎日訪れて。約束しただろ?ずっと一緒にいるって。再会には、神の庭でって」 「嘘だ!」 ティエリアは首を振った。 涙が溢れる。 「こんな迷いを、夢を僕に与えるな。消えろ!」 ティエリアは、目の前の人物の鳩尾に拳を入れようとして、その手を掴まれた。 そのまま、ひきよせられる。 唇が重なる。 「あなたは、いない」 「いるよ、ここに」 「嘘ばかり。僕をおいていった」 「おいていってない。ここにいる」 「嘘ばっかり!」 ティエリアは泣き崩れた。 ドンドンと、目の前の人物の胸を叩く。 「どうして、僕にこんな夢を与える!あなたの死を乗り越えようとしているのに、どうして!!」 「再会は、神の庭でって言ったろ?」 「言った」 「夢でもいい。おかえりなさい!」 ティエリアは、ロックオンに抱きついて、花畑に転がった。 もう限界だった。思考が麻痺している。 「このまま、僕も連れて行って」 そう、昔歌った部族の唄のように。精霊に連れて行かれた人間のように、どうか僕も連れて行って。 あなたのもとに。 ただ、愛してるから。 NEXT |