血と聖水V「夜の秘密」







18禁注意・長編の18禁は裏にいかないので注意。
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「ふあああ?」
ティエリアは完全に酔っていた。
アルコールが体にまわって、火照っている。
ふわふわと、まるで宙に漂っているような感触を感じていた。ロックオンがとった宿はダブルベッドの部屋。宿の持ち主は気を利かせたつもりだったが、ティエリアにいわせれば余計なお世話、というものだろうか。

「ほれ、水」
「どうも」
水を受け取って、それを飲み干す。
でも、まだ体があつい。
アルコールになれていないティエリアには、ワインでもきついようだった。

「参ったな」
こんなことになるとは思っていなかった。ティエリアにアルコールを勧めたのははじめてなロックオン。このまま明朝に出発というのに、二日酔いでダウンなんてしたら、刹那が怒ってビームサーベルで切りかかってきそうだ。
刹那とロックオンの仲は悪い。
鷹と水銀と呼ばれる二人は、それぞれ敵対関係にある。鷹の刹那は生まれつきのイノベイターではない。西の帝国を滅ぼしたといわれる鷹のロードヴァンパイア、それが刹那だ。対するロックオンは南の三つの王国を滅ぼした水銀のヴァンパイアマスター。
ヴァンパイアハンターとなった刹那には、自分の過去などどうでもいいが、ロックオンは排除対象のようであった。もっとも、ティエリアのパートナーでいる限り、実際に刹那がハンターとして狩りにくることはないが。

上の服を脱ぎ始めたティエリアに、ロックオンは血が騒ぐのを覚えた。
そのまま、ティエリアをベッドに押し倒す。
「ロックオン?」
普段はエメラルド色に光る優しい瞳が、ヴァンパイアの証である真紅に戻っていた。
普段はない牙が伸びる。
そのまま、ロックオンはティエリアの上の服を脱がせて、首筋に噛み付いた。
「ああう!」
痛みを感じることはない。
吸血行為はSEXに似いている。倒錯感を感じる暇もなく、吸血される。
血を吸い上げられていく感触を感じながら、ティエリアはロックオンの服を脱がした。
ティエリアもヴァンパイア。瞳は金色のままで、牙が伸びた。
そのままロックオンの腕に噛み付き、血を吸った。

「ティエリア、煽ったのお前だからな」
「何・・・・」
「互いに吸血するのは、OKのサインだ」
ロックオンの牙がさらに深く伸びて、動脈にまで達する。血しぶきは魔法によって流れない。
大量の血を吸われ、ティエリアはぐったりしていた。
ロックオンは荷物から人工血液製剤を取り出すと、噛み砕いて乱暴にティエリアに与えた。
まだ瞳は真紅のままだ。背中にはエターナルの証である白い翼が見える。
「ロックオ・・・・」
唇をあわせると、カチリと伸びた牙同士がぶつかった。
ロックオンは、真紅の瞳のまま、ティエリアを愛撫する。
首筋から胸にかけ舌をはわせ、体のラインを確かめるように手を伸ばす。小さな胸をもんだあと、そこにも牙をたてた。
「ううう・・・・」
血を吸われる。
下肢に舌が伸びる。手が秘所をまさぐり、指が追加される。
内側を何度も出入りする指が引き抜かれたあと、舌が舐めとった。
ピチャピチャと舐める音がした。
ふとももにも牙を立てられ、血を吸われた。
「あああ」
ティエリアは首を横に振った。
生理的に浮かんだ涙が零れ落ちる。
「ロックオン・・・・」
手を伸ばすと、ロックオンはその手を自分の背中にまわさせる。エターナルの証である真っ白な翼が伸びて、そして消えた。
「いあーーー!」
熱い熱が、ティエリアの内側を犯していく。
乱暴に揺さぶられ、後ろから貫かれた。
「あ、あ、ああああ」
ベッドの上で乱れるティエリア。ロックオンはまたティエリアの首筋に噛み付いて、血を吸った。
「ひう」
SEXと一緒の吸血は、最高の麻薬。そう教え込まれた。
呼吸が止まる。
大きく喘ぐと、ティエリアはまた貫かれた。
何度も最奥をえぐられ、犯され、貫かれる。
水のなるような淫靡な音と、二人の乱れた荒い呼吸だけが室内を満たす。
「ああ・・・・く」
何度目かも分からないほどに、貫かれる。
ティエリアは足を開けて、自分からロックオンを迎え入れる。
体勢が変わって、ティエリアが上になった。
「ひっ」
自分の体重でズルズルと奥までのみこんでいく。
「あー」
ロックオンは下からティエリアの体を持ち上げて、最奥にまでたたきつけたあと、押し倒した。
えぐる角度がかわって、ティエリアは叫ぶ。
「あああああああ!!」
舌をだして、絡み合わせる二人。
飲み込めなかった唾液が顎を伝わって落ちていく。
ロックオンがティエリアの中で放ったとき、ティエリアはロックオンの首筋に噛み付いて吸血した。

SEXと一緒の吸血は、最高の麻薬。

「ぐ・・・うううう」
ロックオンが苦しげにうめいて、二人して気を失った。

目が覚めた時、とっくに太陽は昇っていた。
ティエリアは焦って、隣で眠っているロックオンを起こす。
「ロックオン、朝です!」
「あー・・・・最高だった」
キスをしてくるロックオンに真っ赤になって、ティエリアはシーツで裸身を隠す。
「何隠してるんだよ。何度も見てきたのに」
「いいから、あなたは早くお風呂へ!」
ロックオンはティエリアの額にキスをすると、ティエリアを抱き上げる。太ももから、ロックオンの放った白い体液が流れ出てくる。
「久しぶりだったかなぁ。たまってたな。いやぁ、濃いわ。赤ちゃんできちゃう?」
「バカなことを!僕は男でも女でもない!」
「中性の無性だからなぁ。でもこんなSEXできるんだから、ある意味お得」
「バカなことを!」
無性にも、男性的無性と女性的無性の二つが存在する。ティエリアは女性化しているため、後者に当たる。昔は男性的無性、本当になにもなかった。女性器も男性器も今も存在しないが、秘所などその頃はなかった。
ある程度年齢を重ねると、無性は男性よりか女性よりのどちらかになる。
傾きかけていた頃に、ロックオンに襲われ、体の関係まで持ってしまったために、女性化は進み、女性的無性のカテゴリに位置されるようになった。

身を清めて急いで身支度をする二人。

「ティエリアー。ハートのパンツ忘れてるぞ」
「うわあああああ!!!」
ロックオンの手から、ハートのかわいい下着をひったくる。昨日脱がされたものだ。
「フェンリル!」
「はいにゃ!」
ティエリアはフェンリルを召還して、パートナーであり恋人であるロックオンの頭をかじらせた。
「がじがじがじ・・・おいしくないにゃ」
「かじるなかじるな」
頭から血を垂らしながら、ロックオンはフェンリルをつまみあげる。そして、荷物を背負い、二人で刹那の待つホームに戻った。



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