血と聖水X「血の掟」







「ブラッディイーターだっけ?おいでよ」
子供は甘い誘惑をしかけた。
「うわあああああ!!」
リジェネの血が暴れる。
「この、ブラッディイーター、暴れるな!」
だが、リジェネの言葉も虚しく、リジェネは大量の血を口から吐いた。

その血は、刃となって刹那とティエリアに襲い掛かる。
「ぐ!」
刹那がビームサーベルで切るが、元は血だ、切っても切ってもきりがない。
「フェンリル!」
「はいにゃああ!!」
フェンリルがブレスで凍りつかせる。パキリと、すぐに氷を割ってブラッディーイーターは、主であるリジェネを飲み込んだ。
「リジェネ!!」
ロックオンが、ブラッディイーターに炎のブレスを吐く。
血まみれになったリジェネを抱きかかえ、ロックオンはブラッディイーターを長く伸びた爪で切り裂くと、それはただの血となってリジェネの中に還っていった。
「リジェネ、リジェネ!!」
ティエリアが、涙を零す。リジェネは、ブラッディイーターに飲み込まれてボロボロだった。
「再生を促す」
ロックオンが、数滴の血を与えた。
再生しなかったリジェネの傷が癒えていく。

「我はネイである。血よ従え!」
子供は甲高く叫んで、血の剣を作り出すと、刹那を貫いた。
「ぐあ!」
「刹那!」
刹那の元に駆け寄るティエリアの前に、子供が降りてきた。
「ふーん。マスターの血族かぁ。欲しいな」
「どけ!」
ビームサーベルで切りつけるが、子供は蝙蝠になって背後に移ると、長く伸びた牙でティエリアの喉にかみついた。
「きゃああああ!!」
「ティエリア!!」
血を吸われたのではなく、与えられた。
「こっちも」
肺をを貫かれ、吐血を繰り返ていた刹那の喉に噛み付く。
そして、ロックオンの腕の中にいたリジェネはロックオンの首を締め上げていた。
「リジェネ!?」
「無理だよ。そのおにいちゃんにもさっき血を与えた。みんなで殺しあっちゃえ。あは!」
楽しそうに、本当に楽しそうに笑う。

血を上位のものに与えられる、その血族となる。
もしくは、操り人形に。
血には抗えない。それは人工ヴァンパイアイノベイターでも変わらない。

「ロックオ・・・いやああ、殺して、殺して!!」
「ロックオン・・・・」
刹那とティエリアは、目を真紅に変えて、ロックオンに襲いかかる。
聖水を取り出し、自分の肉を焦がせながらロックオンに振り掛けるティエリアは泣いていた。
意識はそのままなのだ。なのに、肉体のいうことがきかない。制御できない。
「くそ、なんとからないのか僕は!」
リジェネがビームサーベルでロックオンに切りかかりながら叫ぶ。
「嫌だ、僕はロックオンを殺したくない、いやだ、いやだ」
ティエリアは首を振る。だが、両手は銀の二丁の拳銃をとりだして、ロックオンの額と心臓をうちぬいた。
「とどめだ、エンシェントフェニックス!・・・・・・ロックオンさけろおおお!!!」
刹那が、フェニックスよりも更に上位のエンシェントフェニックス・・・・精霊王だ。フェニックスの精霊王を刹那は呼び出していた。
「主の御心のままに、汝を滅ぼさん」
物質界では鳳凰の化身をとるフェニックスの王は、鳳凰の姿のまま、ロックオンの心臓の傷を炎で貫いた。
「ロックオーーーン!!」
「ロックオン!」
「ロックオン!!!」
三人の悲鳴は、同時に響いていた。




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