ちょり〜す警察署24時2







泣きながら去っていくアレルヤの後を追う者は誰もいない。いつもあんなかんじなので、みんな放置だ。
放置プレイとは、アレルヤのためだけにあるような言葉であった。

ジリーンジリーン。
電話がなった。
「はい、こちらちょり〜す警察署
ロックオンが電話にでる。
「はい?ああ、山田さんか。へぇ、それで山田さんは川村さんとちょりーすっごっこして、負けたのか。あははは、まぁがんばれ」
チン。
電話をロックオンは切った。
「誰からだ、ロックオン?」
ティエリアが尋ねると、ロックオンはリジェネを引っぺがしてティエリアに抱きついた。
「んー。ただの間違い電話」
「何、間違い電話で変な会話してるんだ!ちょりーっすごっこって何!?」
ライルがツッコむが、ロックオンは気にしない。
このちょち〜す警察署はいつでもこんなかんじだ。確かに24時間忙しい警察署であるはずのだが。確かに、設定ではそうなっているのだが。

ジリーンジリーン。
「はい、こちらちょり〜すコスプレ風俗所
電話に出たライルの頭に、皆がハリセンを叩き込む。
「ひど!俺の扱いも酷い!」

ライルは訴えるが、みんな聞く耳を持たない。
「はい、こちらちょり〜す警察署。火事ですか、それとも救急ですか
「ロックオン、それは消防署での電話の出方だ」
ティエリアは真面目に、ロックオンに間違いを指摘する。
「あ、いけね。昨日までおれ、消防署員だったから
何気ない爆弾発言をするロックオン。
確かに、昨日までロックオンはちょり〜す警察署にいなかった。
3ヶ月前にふらりといなくなったと思ったら、ロックオンは消防署員をしていた。その前は地方公務員。その前は囚人で、その前はお笑い芸能人、さらにその前はスーパーのレジ係りをしていた。
ロックオンは放浪癖があるので、居ない時に代用としてライルが採用されたというのは、ライルには内緒である。
「ロックオン。僕が戻ってきたのですから、放浪はほどほどにしてください」
「うん、ごめんな」
ティエリアの頭を撫でるロックオン。ロックオンとティエリアは恋人同士。リジェネは二人の傍で、ソファーに座って昼寝をしだした。

本当に働いてるのか、この警官たち・・・・。

「代用でライルを採用したけれど、帰ってきたから・・・ライル、警察辞めていいよ
あっさりと言ってはいけない言葉をだしたティエリア。
「ティエリア、酷すぎ!!」
ライルは泣きながら飛び出していった。
「夕飯までには戻ってこいよー」
ロックオンはライルの背中に投げかけた。

電話口で、何か叫んでいる声がする。
刹那が電話に出て対応する。
「はい、こちらちょり〜す警察署。事件か?」
電話口では、二丁目のビルで自殺しそうな男がいるとの話だった。
「2丁目で、ふんどしに仮面をした怪しい男がビルの屋上から自殺しようとしているそうだ!皆、出動だ!!」
話を聞いたティエリアが、バサリと上着をはおる。警察官なのに、ふわふわのミンクのケープだった。マフラーをして、耳宛もふわふわのをして、白一色でまとめる。まるで、冬の精霊のようだ。
季節は冬。かわいいからと、ティエリアはそんな格好を皆にさせられるので、自分から白のケープを羽織ってマフラーや耳宛もする。
隣では、起きたリジェネがティエリアと同じ格好をしている。色だけが黒一色で、二人ならんでもすぐに分かる。
ティエリアは白の天使、リジェネは黒の悪魔とも呼ばれていた。性格が、リジェネは小悪魔的なせいだ。
刹那とロックオン、それに泣きながら帰ってきたアレルヤとなだめているライルも揃って、皆上着を着て出動した。

現場。

ビュウウウウウウウウウ。
ビルの屋上の風は冷たい。冬であるのだから、それだけでも寒いのに。
「あ”あ”あ・・・・・・」
屋上で、ふんどし一丁の姿の彼はガチガチと寒さに震えていた。

「そこまでだ!」
ビルの屋上にやってきた刹那は、ホルダーから銃を抜き取るといきなり自殺しかけている人間に向かって発砲する。
「ちょ、刹那いきなりそれはまずい!」
「駆逐する!」
「すでに駆逐モードに入っているな。まぁ、いつものことだ」
「そんなでいいのか、ティエリア!?」
ライルがつっこむ。
「そこの人〜。人生、きっといいこと・・・・・うん、あったら、いいな。何かいいことあったら・・・いいなぁ。ああ、みんな酷いんだよハレルヤ。今日出勤したら、僕のデスクと椅子がね、廊下に出されてたんだ・・・これってイジメかなぁ・・・イジメだよねぇ・・・・あはははは
涙を流しながら空を仰ぐアレルヤのかけた言葉は、自殺を止める説得にもなっていなかった。
 



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