聖棺の中で眠れ「守護天使になるよ」







大規模戦闘訓練をした後だった。
ロックオンはティエリアに呼ばれた。
そこに立っていたティエリアは、彼が愛したティエリアでないとすぐに分かった。
「ティエリア!?」
駆け寄って、うなじを確かめるとNO7の数字が刻まれていた。
「ティエリアは、ティエリアはどこにいった!」
「寿命だ」
「ばかなことをいうな」
「私以外のNOたちは短命だ。フィフスに会いたいのだろう・・・・私の後についてくるがいい」

ロックオンは、黙って愛しいティエリアと同じ姿をしたティエリアの後をついて歩く。

そこは、施設の地下にあった。
咲き乱れる白い花の空間の真ん中に、ロックオンが愛したティエリアが横渡っていた。
「起きろよ、ティエリア!!」
乱暴に揺さぶると、反応があった。
「ん・・・・センブス?」
「違う、俺だ!」
「ロックオン・・・・ありがとう、セブンス。苦しいだろうに、力をくれたんだね」
セブンスティエリアは、去っていった。

「ロックオン・・・・セブンスが言った通り、僕は寿命なんです。NOたちはNO7のセブンス以外、寿命が極端に短い。ファーストもセカンドもサードも・・・この世界に生れて、10年もしないうちに死んでしまった。私は活動してもう12年になる・・・・限界なんです」
「ティエリア!」
ロックオンは涙を流していた。
「ああ、やっとこれであなたの守護天使になれる」
エーテルをまとって、ティエリアの背中に六枚の金色の翼が現れた。
「エーテル、神の領域の存在。僕らは、そこに還っていく」
ロックオンが、ティエリアをかき抱く。
「いくな、死ぬな!!」
「いきとしいけるものは、みな天の主の下に魂は戻り・・・それから、廻る輪の中に入る。僕の魂は人工のもの・・・きっと天の主の下へはいけないけれど・・・・セブンスは、明日からの僕になります。魂の継承・・・それが、NO交代」
ふわりと、エーテルの光になって、ティエリアを構成していた有機物質が溶けていく。
ふわふわと、まるで羽のように。

「ロックオン・・・愛してる。あなたの守護天使になるんだ、僕は」
「ティエリア!いくな、置いていくな!!」
ロックオンは絶叫して、その淡い光をつかむが、もうティエリアは物質世界から精神世界へと移行していた。
「聖棺の中で眠れ・・・あなたのことを、いつでも見守っている」

カランカラン。
ティエリアのしていたペアリングが、白い花が咲き乱れる空間の中央に落ちた。
「ティエリアーーー!!」

何度叫んでも、もう還ってこない。
エーテルの光となって、あの天使は天の主の元へと帰ってしまった。

「ティエリア、俺は・・・・」
指からペアリングをぬいて、祈るように天を仰ぐ。
「お前がいれば、それだけでよかったのに・・・」
涙は、もうあの天使にも届かない。

「ティエリア・・・・」
 


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