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パシャン、ピシャン。
水音が弾ける、プールの授業。
みんな、準備運動をしてから、各自200メートル泳ぐというノルマをこなしていく。
女生徒は何人か欠席している。月のものと、風邪が数名。
男子生徒は・・・・刹那とリジェネが欠席していた。
「あの・・・・ほんとに、こっちの授業でいいんですか?」
ティエリアが首を傾げる。
「あー、ティエリア君は男子生徒と一緒にと理事長から言われているので・・・・にしてもかわいいねー。着替えは女子と一緒で身体能力が男性並みなので授業が男子生徒と一緒・・・でも、流石にプールは問題があるかなぁ」
ラッセ体育教師は、とてもかわいいティエリアの姿にちょっと心配になった。
狼の中に、羊を泳がせるようなものかもしれないと。
ティエリアが着ていたのはビキニタイプの水着で、学校指定のものではない。上はフリルとレースとリボンがいっぱい、下もフリルとレースとリボン。胸のなさをカバーできるデザイン。男子生徒がみな、ちらちらと盗み見るように、他のスタイルのいい女子生徒を見ながら、こっちを時折覗き見る。
ジャボテンダー柄の浮き輪をして、ジャボテンダーの浮き輪を抱きしめている。本物のジャボテンダーさんは、ベンチに腰掛けている。日傘をさしている。
男子生徒たちの、鼻の下の伸びた視線は、ティエリアに注がれている。
「とりあえず、泳ぎます!!」
えいっと、男子生徒が泳いでいる中に飛び込むティエリア。
浮き輪でプカプカ浮いて、必死で泳いでいるが前に進まない。それがかわいいったらありゃしない。
「きゃ!?」
「あ、ごめんあたちゃった」
「うん、気をつけてね」
ティエリアは場所を移動して、男子生徒の中に紛れて泳ぎだす。
「わう!?」
「あ、ごめん!わざとじゃないんだ!信じて」
「うん、気をつけてね・・・・って、胸触ったの誰!?」
ティエリアはついに泣きそうになった。
ニールが、ティエリアを抱き上げて、胸やらティエリアをわざと触った男子生徒に制裁を加えて、プール際に寄せる。
「ニール、やだよおお。普通に泳ぎたいだけなのに」
ティエリアは泣きながら、ニールにしがみつく。
「おい、よく聞けよお前ら!ティエリアにこれ以上触ったりしたら・・・・・殺す」
見学者のベンチの席で、リジェネがドスをきかせる。リジェネは切れていた。
それに、慌てて男子生徒たちが視線をティエリアから外す。
「僕らも?」
アレルヤが指で自分をさす。マイスターたちは、いつもティエリアと一緒にいて、リジェネも何も言わない。
「マイスターは特別。ティエリアかなづちで泳げないんだ。遊んであげて。ティエリア、ニールとライルとアレルヤが遊んでくれるってさ」
ティエリアのところまで移動して、リジェネは泣き出してしまったティエリアをなだめる。
「ほんと?遊んでくれる?」
「先生、いいですか?」
「うーん。これは仕方ないなぁ。こっちから、他の男子は入ってこないように!!入ってきたら、減点だ!」
男子生徒のブーイングが響くも、ギロリと睨んだリジェネの目線に沈黙した。
「ティエリア君、明日からは女子と一緒に泳いで貰えるかな?」
ラッセ先生も困っている。
「はい。明日からは、女子と一緒に泳ぎます」
「そうしなよ、ティエリアちゃん」
「そうだよ、ティエちゃん女の子なんだから!!」
女子が全員賛同して、手を振ってくる。
「ありがとー、みんな!」
ティエリアは、女の子にも人気が高かった。容姿は美しいのに、ボーイッシュで、他の女の子にとても優しい。リジェネはそういった部分が少ないので、双子でリジェネも女の子に人気が高いが、女の子の友人が圧倒的に多いのはティエリアの方だった。宿題を見せてあげたり、勉強を見てあげたり、女の子同士の輪に自然にティエリアは溶け込んでいることが多い。マイスターと一緒にいない時は、ティエリアは女の子の友人と話をしていたりする。
「リジェネ、生理か?」
ニールがからかい半分に、ベンチで座っているリジェネを見る。
「そうだよ。昨日からね」
「え、まじで」
「兄さん、からかわれてるから」
ライルがため息をつく。
刹那はあれだ。
リジェネはただ単に肌を露出したくないだけである。日焼けはしないが、男共の目の前で水着姿になんてなれない。ティエリアとマイスター、それに女子だけなら問題はないのだが。リジェネをそういった目でみる男子生徒が少なからず数人いるのだ。
「少年よ!何故泳がないのだ!!」
そして、グラハム先生登場。
「決まっている。お前がいるからだ。お前の前で、水着姿になんてなれるか!!」
刹那が声を荒げた。
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