こんな高揚感ははじめてだった。 ティエリアも、リジェネも、刹那も、三人は一つになったように素晴らしい連携を決める。 いつもは、三人攻撃をしかけても、どこかバランスが悪いのだが、今回は本当に最高だ。 「いけええええええええええ!!!」 刹那が吼える。 ソウルイーターを、エンシェントフェニックスの精霊王はその傷から教皇の体の内部を沸騰させる。 「ぐああああああ!!」 「吸い尽くせ!!」 ブラッディイーターは、再生させないように傷を広げて、サラに深く心臓に食い込んでいく。 「くらえ!!」 ティエリアは何度もソウルイーターを銃でうち、さらに深く深く心臓へソウルイーターを食い込ませる。 ダンシングガンスリンガーのように、踊るように身を翻し、風をきって、銃をはなち、敵の攻撃を避けて跳躍しては、銀の短剣を投げる。 一箇所では傷がつけなかった場所も、何度も何度も銀の短剣を同じ場所に投げることで傷ができあがる。 「血と聖水の名においてアーメン!!」 ティエリアは、皇帝の衣装のまま空を翔る。 六枚の翼で飛翔し、同じく飛んだアルテイジアと対峙して、アルテイジアが血の刃を両手にとると、ティエリアも血で両手に刃をつくりだした。 そんなことをしたのははじめてだった。 だが、今ならできると核心があった。 血の刃で何度も切り結びあう。 刹那は何度も風や炎の違う精霊王を召還し、そのたびに攻撃をしかける。それはうまくティエリアをよけて、アルテイジアだけを追い詰めた。 リジェネはビームサーベルを取り出し、背中に金の六枚の翼を取り出すと、ティエリアと対となって、ティエリアにふってくる血の刃を打ち落とし、鳥の羽毛の形をした血の雨をアルテイジアが降らせると、蒼のビームサーベルを回転させ、ティエリアを庇う。 「フェンリル、ブレスを!」 「はいにゃ!オオオオオーン」 三メートルはある巨大な狼になったフェンリルは、氷のブレスをアルテイジアにむけて何度も放つ。 それにより、アルテイジアの左手が氷ついた。すかさず、ティエリアは、銀の銃で左手を砕いた。 粉々になっていく左手に、アルテイジアが叫んだ。 「何故だ!!俺はネイの血を取り入れたのに、何故覚醒しない!!何故、血の神になれない!?」 自分の体を見る。ソウルイーターはもう背中まで食い込んでいた。 「神よ汝に祝福あれ・・・・・ネイ様、核を傷つけますが、我慢してください」 「さっさとしやがれ、アレルヤ!」 アレルヤは、ロックオンがはりつけられた十字架のコードを全て切り、そして外に戒められたネイのコア(核)を銀の短剣で切り取ると、それを血に戻してロックオンの中に吸収させる。 「くそ・・・・血が抜かれまくったせいで力が出ないぜ・・・・アルテイジアめ・・・。俺の血を取り入れたみたいだが、そう簡単にいかせるかってんだ」 ふらふらと、アレルヤに肩をかされてロックオンは宙をとんだ。 「ティエリア!来い!」 「ロックオン!」 ティエリアの代わりにアレルヤが教皇と剣を向け合う。 「お前は、俺のもんだ。分かってるな?」 「あなは、僕のものです。分かってますよね?」 二人は、互いの首に牙をたてる。 ティエリアは吸血ではなく、自分のエナジーをロックオンに与える。 ロックオンは、ティエリアの血を吸って、そしてティエリアにある神の血を取り入れる。 バサリと、ロックオンの背中に白い六枚の翼が復活する。 「ネイ!俺のネイ!!」 「残念ながら、俺はね、ティエリアが大好きなの。ティエリアしか愛さない。お前みたいオカマはゴメンだね!」 教皇、アルテイジアは女ではなく男だった。 初代ネイの妻は両性具有であった。 このアルテイジアも両性具有である。だから教皇になれたのだ。 両性具有に嫌悪感のないロックオンだったが、アルテイジアだけはゴメンだった。 自分が血の神となり、ブラッド帝国を支配することしか考えていない男なんて、血族にできるわけがない。同時に女でもあるアルテイジアだが、性格も男。だからこそ、欲を出しすぎたのかもしれない。教皇の座に大人くついていればいいものを。 NEXT |