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アルテイジアは、暗殺されたということになった。
もっとも、ネイであったロックオンたちが殺したのだが。
教皇が反逆罪で殺されるなど、国が乱れるという理由から皇帝メザーリアが暗殺で処理したのだ。
帰りも長い船旅になった。
ブラッド帝国からは、船しか出ていない。
空間転移は使えない。精霊で空を飛ぶこともできない。
一種の鎖国である。
やっとホームにもどったロックオンは、フェンリルに頭をかじられながら、幸せそうにしていた。
「あなた、美しいな」
ティエリアにもってきた違う皇帝の衣装をきせて喜んでいたメザーリアは、ロックオンよりもティエリアに興味があるようだった。
「でさ。何でお前がいるんだ、メザーリア!?」
「ティエリア様が好きになった。もっと一緒にいたい」
ティエリアは照れている。
女皇帝メザーリアは、代理皇帝を立てて、見たこともない外の世界へ、遊学へと出たのだ。
「外の世界をもっと知りたい。きっと、帝国のためになる」
「いってることはまともだけどよ・・・・皇帝が外でたらいかんだろ」
「少しくらいいいんじゃないですか?」
「ティエリア様、私、帝国で皇族として厳しく育てられた。こんな旅はじめて。嬉しいな。ティエリア様、好きだ」
皇帝がキスを迫るが、ベリっとロックオンがひっぺがした。
「ネイ様?焼餅?」
「あーそうだよ、焼餅だ、焼餅」
「ネイ様、ティエリア様、血族に目覚めたまま戻らないけどいいの?」
ティエリアは、翼を広げると、六枚の白い翼があった。
「んー。因子はすべて吸い取ったけど、一度めざめちまったものは仕方ないな」
「にゃああ!!!」
フェンリルが、バリバリとロックオンの顔をひっかく。
「いてええええ!!!」
フェンリルを皇帝に投げるロックオン。
皇帝は、フェンリルを抱いて笑顔になった。
「あなた、かわいいな」
「主のほうがかわいいにゃ!!」
「ティエリア様もかわいい。そう、フェンリルのいってたあいすくりいむなるものが食べたい」
皇帝がそういうと、ティエリアは冷蔵庫をのぞき見るが、アイスのかいおきはなかった。
「ないね。天気もいいし、食べにいこうか」
「ティエリア様とデート!私、嬉しいな。皇帝は、嬉しいな」
皇帝は、皇帝の姿のまま外にでる。どうにも、地味な服に着替えるという考えはないようだった。
フェンリルがふりふり尻尾をふって先をあるく。
「人間世界。優しいな。帝国は、鎖国を解くべきかもしれない。もっと、人間世界と交わるべきだな」
皇帝は、ティエリアの後ろをついて歩く。
ティエリアは、フェンリルの後ろを歩く。
「にゃーにゃにゃにゃーあるはれた日の午後〜だにゃ!」
ロックオンはお留守番だ。
「これがあいすくりいむ。おいしい」
「おいしいにゃ?この世界には、もっとおいしいものがあるにゃ!」
「私、人工血液製剤が血しか口にしたことない」
「そんなのもったいないにゃ!」
「あ、これ食べる?クレープっていうんだけど」
「食べる」
「食べるにゃ!!」
皇帝は、おいしそうにアイスクリームもクレープも食べてしまった。
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