血と聖水Y「フェンリルの夜」







「にゃーにゃにゃにゃにゃ♪主とお風呂〜」
「なにー!ずるいぞ、フェンリル!!」
「ネイ様、どいて」
ドンと、皇帝はロックオンを突き飛ばした。
「な、なんだぁ!こら、皇帝!」
「はい?」
「はいじゃないだろう!なんか、最近俺の扱い粗雑になってないか!」
「だって、私ネイ様に興味ない。ティエリア様愛してる」
「ティエリアは俺のもんだああああ!!」
地団駄を踏むロックオンを無視して、皇帝は豪奢な衣装を脱ぎ捨てる。
「フェンリル?皇帝?先入ってるよ〜。早くおいで〜」
「今いくのにゃvvV」
「今行く」
皇帝はれっきとした女性だが、ティエリアはまるで娘ができたようにかわいがっている。皇帝は、何故か帝国を出た時に小さくなった。一応、身をアサシンから守るために、敵を欺くためだそうだが、どう見ても皇帝がただの子供になっただけで。
皇帝はこのホームにきて、自分で髪を洗ったり、体を洗うことをはじめて覚えた。
いろんなことを学んでいる。

「いいお湯だね」
皇帝は、真っ裸でティエリアも真っ裸。ティエリアは中性なので、皇帝と何かがあるということはないが。
「にゃー、いいお湯だにゃ」
シャンプーハットをしたフェンリルは、皇帝に頭を洗ってもらっていた。
「ティエリア様、今日はどっちで寝る?ネイ様と?私と?」
「んー。ロックオンが客室にベッド用意したんだけど、どうする?」
「私、ティエリア様と寝たいな」
「じゃあ決まり〜」
「にゃにゃ。僕も主と一緒に寝るにゃ!」

ぐーぐーと寝るフェンリルを、じっとロックオンは睨む。
ティエリアと皇帝は、今日も同じベッドで眠る。
「ううう・・・おかしい。皇帝は普通、こんな生活耐えれないはずなのに」
「ネイ様、寝れない?」
「あー。寝れない」
「焼餅で?」
「そうそうって分かってるならティエリアよこせー!がるるる!!!」
「ネイ様。ネイ様って呼ぶのやめた。パパって今日から呼ぶ」
「はい!?」
「ティエリア様が、そう呼んでくれたら嬉しいっていった。ティエリア様はママ。皇帝は、二人の娘」
皇帝は、楽しそうに笑う。

「なんか・・・・いいな」
ロックオンはほんわかととけてしまった。

「パパ。忘れないで。私は皇帝であることを嫌になって帝国を出たのではない。あなたがネイであるように、私は皇帝である自分を誇りに思う。パパ?鼻血垂れてる・・・・」
ティッシュをロックオンの鼻に詰め込む皇帝。
こんな姿を家臣や女官が見たら、ロックオンを責めるだろう。

手塩にかけて育てられた皇帝が、庶民化していく。
しかも、ちょっと変態なパパあり。



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