血と聖水Z「リジェネの器を使う者」







「いいえ。間違いではありません。ハンター協会で照合しましたが、リジェネ・レジェッタでした」
「そんなばなか!僕のツインがそんなことするはずがない!リジェネは立派なヴァンパイアハンターだ!」
「すでに、家臣の者も何人が犠牲に。吸血された者はヴァンピールにならず、人間に化けます」
「へー。だから、騎士の中にヴァンパイアが混じってたわけだ」
そこで、ロックオンが割って入ってきた。

「このお方は?」
「僕のパートナーで、マスターです」
「そうですか。お願いします。どうか、ティエル王国のためにもリジェネを討伐してください。私も・・・・この通り」
女王ティエルマリア二世は、その細い首を見せる。
そこには、ヴァンパイアに吸血されたあとがあった。
「私はイノベイターとのハーフなので、ヴァンパイア化は防げました。今、聖職者の方に治療を受けている最中です。ですが、毎夜毎夜、リジェネは私の元を訪れ吸血していきます。ヴァンパイアハンターたちは、みな返り討ちにあって・・・・・」
ティエリアは、石榴色の瞳を金色に変えた。
「女王ティエル。あなたの寝室に、今日は僕がとまります」
「え!」
「本当に、リジェネがどうか見極める必要がある」
「確かにそうだな」
ロックオンも、リジェネがそんなことをする人物だとは思っていない。

「ですが、私がいなくては・・・・リジェネは訪れません」
「女王様、悪いがあんたはエサになっていただく」
「ごめんなさい、ロックオンは傲慢な性格で・・・人間社会の王や皇帝に頭を下げないんです。一応、これでもヴァンパイアマスターのエターナルなので」
「まぁ。マスターのエターナルとは!なんと位の高い!貴族ですか?」
「いーや、皇帝。ネイっていって、ブラッド帝国の裏の皇帝だ」
「話には・・・聞いたことがあります。ネイ様、どうかお力をおかし下さい」
ティエリアの顔でお願いされて、ロックオンも断れるはずもない。
「分かった。あんたの分も俺が護衛する」
「僕も護衛するのだにゃん」
フェンリルが尻尾を振って、女王の腕に飛び込んでくる。
「まぁ。かわいらしい」
「フェンリルっていいます。僕の精霊です」

こうして、ティエリアとロックオンとフェンリルは、女王の部屋で夜を待った。

騎士たちに護衛されても、意味がないので女王の部屋は誰も護衛していない。
深夜0時。
夜を知らせる鐘が鳴る中、ギイイと、女王の寝室の窓が開いた。

「こんばんば、ティエル。さぁ、今日も僕に血をおくれ」
進入してきたヴァンパイアは、寝室で眠る身代わりのティエリアの首に牙をたて、血を啜った。
「ぐあああああああああ!?」
ヴァンパイアが喉をおさえて苦しむ。
ティエリアの血には、水銀が含まれている。ヴァンパイアにとっては猛毒だ。
「お前、女王ではないな!!」
その声も姿形も、すべてリジェネだった。
「リジェネ!!君は何をしているんだ!目を覚ませ!!」
「はーん。この体の持ち主の知り合い?だが遅い、リジェネ・レジェッタは僕がもらった。僕が犯したら、あっけなく体を譲ってくれた」
「貴様!!リジェネになんてことを!出て来い!!」
リジェネは闇夜に金色の六枚の翼を広げて描けていく。
そのあとを、ティエリアとロックオン、フェンリルが追う。
それそれ、二人は六枚の白い翼をだし、フェンリルは宙を走る。

「待て、逃がすか!!」

「はははは、できるのかな?君に、リジェネを傷つけることが!!」
リジェネは宙を飛びながら、銀の短剣を二人に投げる。



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