リジェネは、美しい貴族の衣装をまとっていた。 そのまま、金色の翼で空を飛ぶ。 ティエリアは、血の刃をリジェネに向かって投げる。 リジェネは、余裕の表情でそれを素手で叩き落した。 「バカが!こんな攻撃が僕にきくものか!」 リジェネの姿、声、形。 他のヴァンパイアに支配されれば、すぐに分かる。濃い血の匂いがするし、瞳が真紅に濁る。 だが、今のリジェネは金色の瞳をしているし、金色の翼だってだせる。完全なイノベイターの覚醒者のままだ。 月光が三人を照らす。 「待て!!」 ティエリアも、容赦しないことにした。 銀の銃をもちだして、リジェネにむかってうつ。 それはリジェネの体に穴をあけたが、イノベイター、人工ヴァンパイア特有の再生力の速さで傷はすぐに塞がった。 「リジェネを返せ!!」 「・・・・・・・・・・返せだにゃ!!」 リジェネの行く手を、ロックオンが阻む。 「お前・・・・・・・もしかして、寄生型ヴァンパイア「ヴェルゴール」か?サクリファイス(犠牲者)にリジェネを選んだのか!!」 ピタリと、リジェネの体が動きを止める。 「へぇ・・・・僕のこと、知ってるんだ?僕はでも、もうリジェネ・レジェッタだよ」 リジェネは月光の下で微笑んだ。 ロックオンが、血の渦となった。 「リジェネは俺の家族だ!返してもらう!」 「ロックオン!!」 ティエリアが、ビームサーベルを取り出す。 それに、真っ赤な血液となって、ロックオンは纏いつく。 「ヴェルゴールは、寄生型ゆえに数が少ない。あまり存在も知られていない」 ロックオンの言葉に、リジェネに寄生したヴェルゴールはペロリとリジェネの唇を舐めた。 「僕はリジェネ・レジェッタだってばぁ」 「リジェネを犯したというのは本当か!?」 ティエリアは、今までになく激怒していた。 リジェネは男性よりの中性。ティエリアを同じ、神子になれるタイプの中性。中性は、ヴァンパイアの男に犯されると精神崩壊を起こす可能性が高い。 「ああ、犯したとも!泣いて喜んでたよ?男と違って、中性タイプはいいね!味がいい。普通のヴァンパイアは犯されたくらいじゃなんともならないのに。精神がすぐに粉々になって・・・・あはははは!!!」 ティエリアは、ビームサーベルを手にすると、迷いもなくリジェネの心臓の突き立てる。 「あれ、いいのかな?死んじゃうよ、僕?」 「リジェネ、起きろ!リジェネ、いつまで寝ている!!僕のツインだろう!!」 ティエリアは、必死になって叫んだ。 「リジェネ、起きろ!!」 心臓の傷はすぐに再生した。 ティエリアは、ビームサーベルでリジェネの翼を切り取ると、リジェネの首にビームサーベルをあてる。 「ロックオン、いって!」 血の渦になっていたロックオンが、リジェネの内部に侵入する。 「くそおおおお、僕の体からでていけえええ!!!」 水銀は猛毒。 リジェネは、地上にむかって落下する。 その体を、ティエリアが抱きとめる。 「ティエ・・・・殺して・・・・・いや、こんなのいや・・・・ティエ・・・・・殺し・・・・」 金色の瞳で、ティエリアに向かって手を伸ばすリジェネ。 その手を握り締めて、ティエリアは祈る。 ぽつぽつと、リジェネの頬にティエリアの涙がいくつも零れ落ちた。 「リジェネ、起きて。だめ、諦めてはだめ」 NEXT |