天使の鎖「この世界でもう一度」







刹那は、それから正妃を娶ることなく、東の王として復帰した。
一度は退位したロックオンも、まだ年若い王太子から王の称号を返してもらい、北の王として復活した。
西に、もう王はいない。
西の王は空席のままだ。
天王ライルは、西に新しい王族を派遣することを決めたが、刹那とロックオンが拒否した。
そのまま、西の王は空席のまま時間が流れる。

「待ちなさい、ティエリア!!」
ロックオンが、下着姿で逃げる女の子を追っていた。
「いや!その服嫌い!!」
「こら、ティエリア!!女の子だろう!ちゃんとドレスを着なさい!!」
「王の服なら着てあげてもいいよ!」
「こらーーー!!!」

後ろで、正妃が笑っている。
王太子も姉のはずの妹のかわいさにノックアウトされて、もうメロメロだ。
「ティエリアちゃん、王の衣服つくったのよ。着てみましょうね」
正妃が、抱きついてきたティエリアを腕に抱き上げた。
「母上大好き!おにいちゃんも、一緒に着替えようよ!」
「いや、僕は・・・・」
ずっと孵化しなかった、正妃がロックオンとの間に産んだ卵が孵化したのだ。
医師の診立て通り、女の子で12枚の黒い翼を持っていた。もう今の天界に黒い翼を持つから奴隷だ、堕天使だという偏見はない。
ティエリアとロックオンが名づけた王女は、奴隷王女ではなく普通の王女として母である正妃と、他のたくさんの義理の母である妃、側室の愛に囲まれて育っている。北の王を継ぐのはもう王太子と決まっているので、昔のような暗殺などの血みどろな争いもない。それは、ロックオンが正妃のほかの妃もそして側室にもちゃんとした地位をつけ、生れてきた子供を平等に愛しているからだろう。

その北の王は、最近やっと卵から孵化した天使にメロメロ、夢中である。
ティエリアと名づけられた12枚の黒い翼をもつ天使は、紫紺の髪に石榴の瞳をしていて、右足に金銀細工の天使の鎖をもっていた。

「ロックオン、どう、似合う?」
小さな王の衣装を正妃に着せてもらい、ロックオンの前でくるりと廻るティエリアに、正妃は髪飾りをつけたり耳飾りをつけたり大忙しだ。女官にさせるよりも、自分でしたいのだ。始めてうんだ子だ。愛情も募る。
「母上、首飾りは母上とお揃いがいい!」
「ティエリアちゃん。これ、そこの女官、宝物個にいって、これとお揃いの首飾りを至急もってきなさい」
「かしこまりました、正妃様」
「ティエリア〜。そんなに父上困らせて楽しいか、ええ?」

「王へ、只今東の王、ティエリア様の夫がご帰還なされました」
「くそ、刹那のヤツはやいな!」
「ティエリア、1ヶ月ぶりだな。元気にしていたか?」
「勿論だ刹那。浮気はしていないだろうな?」
「正妃のお前がいるのに、浮気などするはずがないだろう」
「それでこそ僕の刹那だ」
ティエリアを正妃から受け取った刹那は、ティエリアに口付けをして抱きかかえた。
王の衣装を着た小さなティエリアは、東の王の正妃に娶られた。まだ、人間の年であれば10歳だが。卵の中で成長したのだ。生まれた時は8歳の姿をしていた。あと数十年もすれば立派なレディになる。
もっとも、性格が男っぽいのは仕方ないことかもしれない。

なぜなら、名前だけでなく、魂も、記憶すらも、そして外見すらも神に召されたルシフェルのティエリアと一緒。
「この世界でもう一度出会いましょう」という言葉は、すぐに果たされたのだ。
たとえ、天界のどこに生れても必ず見つけ出すと誓っていた刹那とロックオンは驚いた。
「くそ、刹那、お前に娘を嫁に出す父の気持ちが分かるか!?」
「あなた!東の王の正妃はまたとない幸運ですのよ!貴族に娶られるかもしれないのが、東の王にだなんて、王女として最高の誉れですわ。ティエリアの未来を邪魔しないでくださいまし」
「正妃まで〜〜!!あーなんで俺はティエリアの父親なんだー!ティエリアと結婚できないいい!!」

刹那の腕の中で、ティエリアはクスリと笑った。
「刹那もロックオンも愛しているよ」
「あら、私は?」
「もちろん、母上も兄上も、みんなみんな愛している」

「流石、天使の鎖をもつ我が子!東の王のハートを射止めただけでなく、天王から西の王の位まで授けられることはありますわ。ほーっほっほっほ!!」
正妃は高笑いして、娘の明るい未来を喜んだ。

もう、この世界に奴隷はいない。黒い翼であろうが平等。偏見も蔑みもない。
初代ルシフェルは、こんな世界を夢見て反乱を起こして殺された。2代目ルシフェルは初代ルシフェルの夢を叶えて神に召された。
三代目ルシフェルの名を継いだティエリアは、天使の鎖を神からもらったとき、それは愛の鎖であると言われた。皆に愛される証である天使の鎖だと。

刹那は、この数百年後、成人した正妃ティエリアとの間に王子と王女をもうけ、西の国も安泰したという。
何百年たっても、父のロックオンは娘のティエリアが恋しくて恋しくて、よくティエリアと刹那がいる西の国に家出を繰り返す王として有名となった。


               天使の鎖 The End
                                     Presented by Masaya Touha





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うーんけっこういいかんじに仕上がったかもしれない天使ぱろ。
祈りの数だけをかいてて、天使ファンタジーを書こうと思って。
天使の鎖はゆんさんのアーシアンから。
かなり内容は違いますけどね。オリジナルですから。
題名だけもらったってかんじですね。

今からイメージイラストかいて終わり。また明日には明日の長編。
すごいかもしれないこの執筆速度。

っていってらイメージイラスト終了。黒い翼が汚くてでも加工しまくって翼じゃなくなった意味ないねん。

男性の友人に読んでもらってちょっと感想をもらった。
普通に面白い、だそうだ。オリジナルでいけるってそりゃパロだしねぇ。オリジナル設定だし。
ティエリアどんだけ愛してるか分かるっていわれた。
OOの話をできる(スカイプで夜いつもチャットしてる)男性の友達はとても貴重だと思う。
ロクティエも平気だし。こんな友達、そうそういないよ。



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