血と聖水外伝「ティエリアとロックオンの出会い」2







教育はそのまま続行され、リジェネと刹那は七つ星のヴァンパイアハンターとなった。
ティエリアも、七つ星を与えられた。

霊子学研究所は、そのまま閉鎖された。女王の遺言であった。
「ママ・・・ママ・・・・」
ティエリアは、いつも幼くあどけなかった。とてもヴァンパイアハンターとしてやっていける性格ではないし、強さも忍耐力もなっかったが、女王の遺言にティエリア・アーデに七つ星を与えろというものがあったので、ティエリアにも七つ星が与えれた。
ティエリアは、女王の墓で、防腐処理を施され、まるで眠っているような女王に何度も会いにいく。
リジェネと刹那には人間として感情は与えられていなかったが、ティエリアには人間の感情が色濃く残っていた。
「ママ・・・起きないの。ママ・・・・」
女王は、美しい姿のまま永眠していた。

女王の霊子を感じて、ティエリアは女王の墓の奥にいく。
「きなさい、ティエリア。私の愛しい子よ」
「ママ」
女王の魂は、ティエリアに言葉を残した。
「あなたは、私の死んだ子の生まれ変わりなのだろう。人間のようなティエリア。リジェネと刹那がいつまでもあなたを守ってくれるわけではありません。一人で生きていくのです」
「ママ・・・・どうして、僕を作ったの。僕、ゴミなのに」
「あなたはゴミではありません。わざと、私があなたに人間の感情を与えました。だから、リジェネや刹那に比べれば、あなたは弱い。強く生きなさい。女王ティエルマリアの名に恥じぬように生きなさい」
「ティエルマリア」
人間世界の30%を領土にするティエル王国の女王ティエルマリア、享年32歳。子一人いたがすぐに死んでしまった。女王ティエルマリアは、素晴らしい女王だった。
何人かのイノベイターを自分の霊子エナジーと細胞から作り出して、ヴァンパイアハンターとして教育し、人類の最大の敵であるヴァンパイアを駆逐するために、生きた。
女王ティエルマリアの死は、イノベイターたちに霊子エナジーを与えたせいであった。神の領域を侵す霊子学は、ティエルマリアの死により、再び封印された。

「女王ティエルマリア。僕のママ・・・・」
ティエルマリアの死が、ティエリアを変えた。
契約は続行している。彼女だけが、ティエリアのマスターであり、主である。

ティエリアも、女王の言葉通りに人工ヴァンパイア、イノベイターとして生きる。
幼い性格はやがて消え、一人でヴァンパイアを退治するヴァンパイアハンターとしていきだした。

女王ティエルマリアは、イノベイターたちを奴隷と呼んでいたが、自分の子として愛していた。何人ものイノベイターが女王を裏切った。絶対に裏切らないイノベイターをつくるために、女王は死んだ子の霊子エナジーを含めさせたティエリアを誕生させた。裏切らない、かわいい子供。
だが、女王は霊子エナジーを与えイノベイターを作り続けたことで、死んだ。神の罰が下ったのだ。

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「ティエルマリア、どうか僕に力を」
ただ一人の主の名を叫び、ティエリアは走り続けた。
七つ星であったティエリアは、実力がないということで3つ星に落とされた。
それでも、ヴァンパイアハンターとして、同胞のハンターたちに笑われながらもティエリアは必死で生きてきた。いつか、ティエルマリアに恥じぬヴァンパイアハンターになるのだと。

「いい加減にしないかね、君」
血の海が、ティエリアを追い越して前に広がっていた。
血はそのまま渦となり、ひとりのヴァンパイアを形どる。
「血と聖水の名において、アーメン!!」
ホルダーから二丁の拳銃を取り出して、ティエリアはそのヴァンパイアに銀の弾丸を浴びせる。
あたった場所は灰になったが、すぐに再生した。
ティエリアの三つ星では、最高Cランクのヴァンパイアを殲滅するのがやっと。
このヴァンパイアはAランクのヴァンパイアだった。
殲滅対象として協会から指令を受けたわけではない。人間の少女を襲っている場面に遭遇し、ティエリアは協会の、ハンターの掟にのっとって殲滅しようとした。
だが、力が違いすぎた。

「泣け、喚け!命ごいをしろ!」
「誰が!!」
ビームサーベルを取り出して、無謀にも切りかかる。
ティエリアは、光の名もない精霊を召還してヴァンパイアの目を光で覆うと、ビームサーベルでその体を貫いた。



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