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しばらくティータイムを楽しんで、それからいざヴァンパイア退治へ。
なんかすっごい気がぬけてるけど。
リジェネなんてもう遠足気分だ。
5Fにあがると、ソンビやグールがいた。
「く・・・・・臭っ!!」
リジェネもティエリアもその異臭に顔を顰める。
「臭い・・・・たまらないなこれは」
刹那も眉を寄せている。
ヴァンパイアの下僕はたいていアンデット系なのだが。さっきのケルベロスは論外だろう。だって飼われてた・・・ペットだったというし。
アレルヤもニールもライルも、鼻がひん曲がりそうな悪臭に耐えている。

アレルヤはたまらず、聖書を開く。
「嗚呼、アーメン、ラーメン、ソーメン。神にラーメンあれ!とんこつ味の次は味噌味で!コショウともやし大目でお願いします!ターンアンデット!(不死消滅福音)」
リジェネも同じ魔法を唱える。
「ターンアンデット!(不死消滅福音)」
完全に詠唱を放棄した。ハイプリーストの魔法だが、リジェネも使える。前に一度ハイプリーストの職についたことがあるからだ。
ティエリアも無論使えるが。
それをいうと、ニールも使える。
唯一人魔法が使えないライルは、また魔法執行書をとりだして、木の枝で適当に開いたページの呪文をなぞる。
「クィーンエリザベド(女王魅了」

わらわらと、上級のモンスターにも利く魅了魔法にかかったグールやゾンビがライルのほうに向かっていく。
「ぎゃああああああ!臭い!こっちくんなー!」
グールもゾンビもみんな目がハートになっている。
「アホだな、ライル」
「アホだね」
「使う前に、ティエリアか僕に何の魔法かきけばいいのに」
リジェネは呆れている。

「炎よ燃やし尽くせ!」
ティエリアが、ゾンビもグールもまとめて焼き払う。
アレルヤとリジェネ、それにニールまでがターンアンデットの魔法を使い、5Fは綺麗に浄化された。
そのまま6Fに進む。6Fは迷路になっており、スケルトンが襲い掛かってくる。
それもターンアンデットの魔法で浄化する。
それから、迷路なんてめんどくさいし、トラップもあるので、刹那が魔剣ソウルオブドラゴンを覚醒させた。
「魔剣ソウルオブドラゴン、解放!」
カッと、光が満ちる。
刹那は蒼いマントを翻し、壁という壁を切りまくって、強引に7Fに続く階段へとたどり着く。

7Fには、いよいよボスがいた。古城の主だ。
その姿をみた皆は、顔を蒼白にさせた。
だって、バスローブでソファにすわり、優雅にワイングラスを傾けているのはいいのだが、周囲にいる下僕たちがみんなムキムキマッチョの男で、ビキニパンツだけという姿だったからだ。
「ボンジュールみなさん。ミーの城にゆうこそ。でも、みなさん勘違いしてマース。ここら近隣を荒らしているヴァンパイアはわたくしじゃありまセーン」
「どこに証拠が!」
「死んだのは皆若い女性ばかりだとか。ミーはムキムキのワイルドな男性にしか興味ありまセーン
バチコーンと、ヴァンパイアのウィンクがアレルヤに飛んでいく。
みんな後退した。
「え、ええと・・・」
アレルヤは硬直した。
「ミーはこれでも、ヴァンパイアマスター。しかも、妖魔王の一人デース」
「妖魔王・・・・そんな大物がなぜ人間界に」
「それはもちろん、理想のムキムキな男性を見つけるためデース。血を与えて伴侶にするのデース」
バチコーン。バチコーン。
妖魔王ヴァンパイアマスターは、アルゼフと名乗った。
「特にそちらの聖職者・・・・とてもミーの好みなのですが」
アレルヤを、皆でして匿う。
妖魔王に手を出せば、他の妖魔王が黙ってはいないだろう。戦闘は避けたい。
この目の前の妖魔王に勝てるかどうかは分からない。不死の妖魔王。倒しても倒しても、魔界にある核を破壊しない限り相手は完全に死なない。一時的に沈黙させることはできるが、時間が経てば復活するだろう。
いかにティエリアとリジェネといえど、妖魔王に簡単に手を出すようなことはしない。ある意味、魔王よりも厄介である。

「で、ミーも冒険者の皆さんがその男性をミーの伴侶にくれないことくらいわかってマース。なので、取引をしましょーウ」

「取引?」
 



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