コールドスリープされていたその施設の中で、ニールは目覚めた。 一足先に、世界に戻ったのだ。 隣では、金色の羊水の中をティエリアの新しい肉体と、その隣のはリジェネの肉体が丸くなって眠っていた。 「帰っておいで。さぁ、ティエリア、リジェネ」 ニールは、施設の中で着替えると、教えられていたトレミーの通信回線に通信をする。 「よー」 「誰だ?」 対応に出たのは、刹那のようだった。 「俺だよ、俺」 「俺では分からない」 「兄貴さ!」 「サブか?」 「そうそう、サブ兄貴・・・って、ちがーう!!」 クスクスクスと、回線ごしに笑う刹那の明るい声がした。 「変わらないな。あいかわず、からかわれるとのりやすい」 「お前もな。帰ってきたっていうのに、からかうなよ」 トレミーは、すぐにその施設にやってきた。 みんな、ニールの帰還を喜んだ。 すでに、一度コールドスリープ状態のニールと会っていたし、ティエリアを通してニールの魂がその傍にあることも、肉体に魂が宿っていないだけで、一緒にヴェーダの中にいるという報告も受けていた。 「兄さん!!」 「よおライル。大きくなったなぁ」 ずっとあっていなかった双子の兄弟は、抱擁しあう。 「兄さんだ、兄さんだ、本当に兄さんだ!!」 ライルは泣いて兄を確認する。 「泣くなよ。俺より年上だろ?」 「だって、俺は普通に年重ねてたから」 「いい男になったなぁ、ライル。まぁ、俺の方が上だけどなぁ」 「ニール!!」 アレルヤが、後ろからタックルをかけるようにニールに抱きつく。 「うおお、首絞まる絞まる!!アレルヤも、元気そうだなぁ」 「ニール!」 フェルトが号泣して、ニールに抱きつく。 「ニール・・・・・お帰り」 刹那は微笑んだ。 「刹那・・・・成長したなぁ。お兄さんびっくり。あんなやんちゃなガキが、こんなかっこよくなるとは」 「俺は、あんたの意思をついで変わったんだ」 「ああ。世界を変えてくれてありがとな、刹那。俺の言葉、ちゃんと届いていたんだな」 「届いていた。時折、あんたの姿にもあった。魂は、ティエリアと俺の傍にあったんだな」 「ああ。そうだぜ。ずっと、お前とティエリアと仲間たちを見守っていた」 みなで泣いて再会を祝った後は、眠り続けるティエリアとリジェネを待つことになった。 「さぁ、眠り姫二人。帰っておいで。この世界が、お前たちの生きる世界だ。ヴェーダと融合はいつだってできる。まだまだ時間はあるんだ。みんなで、世界を見守りながら歩こう」 ニールが、金色の羊水で眠り続けるティエリアとリジェネを見つめる。 「さぁ、帰っておいで。ティエリア、リジェネ。俺の眠り姫たち」 ニールは、ティエリアとリジェネの服を用意する。 皆、ずっと待っていた。 何時間も何時間も。 食事もとらず、休憩もせず。 ただ、ひらすら二人が目覚めるのを待っていた。 やがて、金色の羊水の中でゆっくりとティエリアの瞳が開く。 ティエリアは、カプセルの中でニールを見つめる。 二人は、カプセルごしにキスをする。 「おいおい、見せつけるのは後にしてくれ」 「いや、懐かしくてなぁ。お帰り、ティエリア」 ティエリアのカプセルが開き、金色の羊水が排泄口に流れていく。 「ただいま、みんな」 「おかえり」 たくさんの仲間から、おかえりと言葉をかけられた。 ティエリアは、用意されていたバスタオルで体をふくと、ニールに隔離されて用意されていた制服に着替えた。 「裸みんな!ティエリアの裸みていいのは俺だけだー!!」 「見飽きた」 刹那がぽつり。 「あー俺も」 「僕も」 「なにー!?」 「だって、ティエリアってば、アクセスして意識体で現れるときいっつも裸なんだもの」 アレルヤの言葉に、ニールが眉を顰める。 「こら、ティエリア!あれほど、ちゃんと服きて出かけないっていっただろう」 ニールに怒られながらも、ティエリアは懐かしい制服に腕を通して嬉しそうだった。 NEXT |