金色の眠り「おかえり、リジェネ」







「帰っておいで、リジェネ」
ティエリアが、着替え終わったあと、瞳を金色にかえてリジェネにシンクロする。
リジェネは、まだ金色の海を漂っていた。
本当に、ヴェーダとの融合を一度といて、もう一度世界に戻っていいのか逡巡していた。
でも、ティエリアの声が届いた。
「みんな待ってるよ。ニールも僕も、他のみんなも。さぁ、おいで。怖がることはなにもないよ。怖いものがあったら、その全てから僕が守ってあげる。愛してるよ、リジェネ。僕は、君のツインであって良かった」
「ティエリア・・・・」

リジェネの体を、優しい手がすくいあげる。
指の間から零れ落ちることもなく、リジェネの意識体はそのまま肉体に宿る。
金色の瞳で、ゆっくりとリジェネがカプセルの中で目をあける。
「おかえり」
ゴポポポポ・・・・。
金色の液体の中で、リジェネはティエリアを手をカプセルごしにあわせると、ニールとしたのと同じようにキスをする。
カプセルのハッチが開く。
リジェネは裸体のまま、皆が見つめる中、もう一度世界に誕生した。
「・・・・・・ティエリア、愛してる」
リジェネは、ニールにバスローブでくるまられながらも、ティエリアを抱き寄せる。
そのまま、舌が絡むくらいの深いキスをする。
「んん・・・・あ」
ティエリアの喘ぎ声に、ニールはリジェネの頭をバスタオルでごしごしと髪を拭きながら、顔色一つ変えない。
リジェネは、用意されていたティエリアと同じ紫の制服を着た。

「ニール・・・・あ、だめ、だめだって・・・みんなみてる」
ニールはティエリアを抱き寄せると、唇を重ねて衣服の下に手を這わせてゴソゴソしている。
「あ、ああう」
「はい、そこまでだこのエロニール!」
リジェネが、ニールの頭をはたいた。
「僕のティエリアに何するのさ!」
「恋人同士だから」
「でも、僕のものなの!!」
子供が駄々をこねるように、リジェネは言い放つ。
「僕は、二人のものだよ」
ティエリアは衣服を整えながら、リジェネの隣に立って、皆に紹介した。

「新しく仲間になる僕のツイン・・・・リジェネ」
「リジェネ・レジェッタ。ティエリアと同じイノベイターでイノベイド。塩基配列パターンが同じなので、容姿は同じ。髪は天然パーマ。ちなみに眼鏡をかけるけど、裸眼が光に弱いだけで目は悪くないよ」
リジェネはみんなの顔を見回してから・・・・さっと、ティエリアの背中に隠れた。
「大丈夫、みんないい人ばかりだから。怖くないよ、リジェネ」
「本当に?」
怯えた小鹿みたいにふるふる震えている。

「ようこそ、CBへ」
「・・・・・・・・ありがとう」
刹那の手を握り、握手する。
みな、拍手した。
リジェネを歓迎しているのだ。
「今日から、お前の仲間になるみんなだ。何か問題があれば、最初はティエリアかニールを頼ればいい」
「うん」
リジェネは、ティエリアの手を握り締めながら、皆を見回す。

「・・・・・・・・・はじめまして、よろしく」
「おかえり」
「おかえり」
「おかえりー」
「おかえりーですぅ!レジェッタさんって呼んでいいですか?」
ミレイナが身を乗り出して、リジェネに近づく。
リジェネはこくりと頷いた。
「おっしゃああああ!燃えるですうう!!アーデさんには振られましたが、レジェッタさんをものにしてやる、ですう!!」
「おいこらミレイナ!!」
父親のイアンが、また娘の悪い癖がはじまったと頭を抱えていた。


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