「ったくよお。俺のクローンやらコピーやら。俺もなめられたもんだなぁ」 ロックオンは、血の刃をアルザールに向けて放つが、それはアルザールの中に吸い込まれた。 「無駄だよ。僕は父様が作り出した人工ネイ。クローンネイとは比べ物にならない。数十万の人間の霊子エナジーを凝縮して生まれたきた。初代ネイならともかく、何度も転生した五代目ネイであるあなたなんかに負けない」 「ロックオン、勝てそうか?」 「勝てるに決まってるだろ。俺を誰だと思っている。ネイだぜ?腐ってもネイだ。転生して五代目、初代のように凄まじい力はなくともネイであることに変わりはない」 「血と聖水の名においてアーメン!」 ティエリアが、二丁の拳銃をホルダーから取り出して、アルザールに向けて発砲する。 それを音速でよけるアルザール。 ティエリアは、買ったばかりの銀のロッドを取り出す。 「シルフよ切り裂け、ウィンドエッジ!!」 シルフの精霊を召還して、風の刃をいくつもつくりだしてアルザールに向けて放つが、アルザールは余裕でそれを交わす。 「君・・・・ネイの血族なんだね。いいね。欲しい」 ゾクリ。 ティエリアは、肌が粟立つ感触を覚えた。 「あんな五代目ネイなんかには勿体無いよ・・・・ねぇ、僕のものになりなよ。一緒にエタナエル王国を治めよう」 「誰が、君なんかと!」 ティエリアは跳躍すると、銀の短剣を相手に向けて投げる。 「ヘルブレス!!」 アルザールは、炎のブレスで、銀の短剣を溶かしてしまった。 凄まじい炎は、ティエリアにも迫る。 「ヘルブレス!!」 ロックオンが、絶対零度の氷のブレスを吐き出して、さっと横からティエリアを抱き上げて飛び退る。 「エンシェントフェニックス、燃やし尽くせ!!」 刹那がエンシェントフェニックスの精霊王を呼び出し、鳳凰をアルザールに向ける。 その炎に包まれて、アルザールの体が燃えていく。だが、再生スピードが速い。 「イフリール、溶かしちまえ!!」 リフリールの精霊王イフリエルを呼び出し、刹那の鳳凰の中に、炎の魔人を叩き込む。 二人は、炎を跳ね返されて、衝撃に壁に体をめり込ませた。 「・・・・っち。ブラッドイフリールかよ」 ロックオンが、切った口の中の血を吐き捨てる。 刹那は、ビームサーベルで接近戦に出た。ダメージは受けているが、まだまだ戦える。 炎に身を包んだアルザール。 ゆっくりと、ロックオンと刹那の攻撃を無視して、ティエリアに近づいていく。 ティエリアは、フェンリルで氷のブレスを吐かせて攻撃するが、相手にはきいていない。 「くるな!くるな!」 ティエリアは後退る。 本能が告げていた。この存在は危険だと。 聖女マリナは、結界の中で呪文の詠唱に入る。 神聖魔法。神を信仰することによって生まれる魔法だ。 「神よ、どうか迷える子羊たちに癒しの手を!ヒールサンクチュアリ!!」 神聖魔法が、ロックオンと刹那の傷を癒す。 刹那はビームサーベルで、アルザールの肩から心臓に向けて深く切り裂いた。 アルザールは悲鳴もあげない。 その全身にまとった炎で、刹那を包み込む。 「うわああああ」 「刹那!!」 ティエリアは、刹那に駆け寄ろうとするが、足ががくがく笑って動けない。 「ヒールサンクチュアリ!」 すぐに、聖女マリナの魔法が刹那の傷を癒す。 それに、アルザールがピクリと眉を動かした。 「しつこいよ。生贄風情が!」 風の精霊ジルフェで、アルザールは衝撃を飛ばす。それだけで、聖女マリナは自分がはったホーリーシールドの結界も、刹那の結界も崩れて、壁にたたきつけたれ、頭から血を流して意識を失った。 「く・・・・・・・・」 ティエリアは、震える体を叱咤して、ビームサーベルを取り出すとかけだす。 それで、接近戦で銀の短剣を投げながら距離を測り、相手と切り結ぶ。 「ネイの血族に目覚めた者。主を書き換えることもできる。同じネイという霊子エナジーを凝縮して作られた存在なら」 アルザールは、ティエリアのビームサーベルを血の刃で受け止めると、ティエリアにキスをした。 「な!!」 全身が、震えそうなほどの屈辱。 ロックオンが見ている前で。 NEXT |