「旅行」C







次の日、こびりついた精液をバスルームで洗い流して、あきらはぼーっとしていた。
「どうした、あきら?」
「昨日凄かった・・・・・ザーメンアクメって、あんなかんじ?子宮キュウキュウいって、いきまくったかんじ」
夜流は、もっていた歯ブラシごと壁にめりこんだ。
「そういう言いかたやめい!卑猥じゃ!」
「あー。まだ頭がぼーっとする」
「刺激、強すぎた」
「うん、ちょっと・・・・」

二人は、最低限の荷物をもって、電車に乗った。
そのままずっと広がる大地を窓から見ながら、ある駅に辿りつく。

じゃがいも畑。が、すぐ近くに広がっていた。
「あ、どうぞよろしくお願いします」
「まぁまぁ、若いカップルやね。とりあえず、そんな衣服じゃやりにくいだろうから、服かすから着替えてね。靴もかすから」
畑の持ち主に、あきらと夜流はペコリとお辞儀する。
それから、すぐ近くの小屋で二人に用意されていた作業用の衣服と、長靴にはきかえて、じゃがいも畑を足で踏みしめる。
「ここらあたり、まだほってないからね」
といわれても、広大な面積があった。
「あ、全部は無理です」
「無理でし」
あきらは、額に手をあてて、遠くまで続く畑を見ていた。

「あ、お姉ちゃん、長い髪大丈夫かい?」
「あ、はい。なれてますんで」
背中を過ぎる長い明るい茶色の髪は、今日もツインテールに結われ、新しく夜流が買ってくれたピンク色のリボンを結んでいた。

「よーしほるぞお。あきら!」
「うっし!」
「牛?」
「ちがうー!うっすって意味だもん!」
「そうだ、これほり終わったら近くの酪農家で牛の乳搾りも体験するかー」
どこまでも、北海道を楽しむつもりだ、夜流は。
あきらといちゃいちゃの二人旅行というより、まるで修学旅行だ。
「牛の乳搾り〜。アイスあるかな?」
「あるんじゃないか?とりあえず、ほってほりまくるぞおー!」
「おー!」
二人は、手袋をはめた手で地面をほりだす。農家の人は機械をつかってジャガイモをほるのだけど、じゃがいもほりはやはり素手に限る。
「おーでっかい!」
あきらが、大きな拳よりもでかいじゃがいもをほりあてて、それを夜流に見せる」
「こっちは小さいのが多いな」

二人は次々と土を掘り返していく。

「お、これはー!!」
「どうした!」

「チンコイモー!」
夜流はひっくり返った。
あきらは掘り当てたじゃがいもは、たしかにチンコの形に似ていた。
「わーい、ちんこいもー!ナイトのちんこだー」
「失礼な!俺のはもっとダイナマイトだ!」
二人はぎゃーぎゃー騒ぎながら、土まみれになってたくさんのじゃがいもを掘り出した。掘り出した分は、土を綺麗にある程度とって、農家の人が夏樹家に郵送してくれる手はずになっている。

「あーほったほった」
「がんばったねぇ、二人とも」
「はい、がんばりました」
あきらも、ほった量のじゃがいもを見て感嘆している。自分で自分に。
「全部郵送するからね」
「お願いしまーす」
「ほれ、できたてのジャガバターだよ」
農家の人は、近くの自分の家でジャガイモをバターで焼いて味付けしたものを紙皿に盛って、車で移動して二人にもってきてくれた。

「あ、ありがとうございます」
「ありがとー」
二人はホクホクのジャガバターをほうばる。
「おいしー」
「水筒はここにおいてくからね」
「何から何まですみません」
二人は、どこまでも続く畑の地平線を見ながら、バター味の柔らかいじゃがいもを食べて、それから農家の人にお礼をいって分かれると、続いて酪農家ところに向かい、牛の乳絞りを体験させてもらった。





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