「旅行」D







「そうそう、うまいうまい」
酪農家の人に褒められるくらい、あきらの乳搾りはうまかった。
「ナイト、こうだってこう!」
夜流に手本を見せるけど、夜流はうまく絞れない。

手の形を微妙にかえたりして悪戦苦闘している。
「あー、牛の匂いだ」
どんな匂いだ。とつっこみたくなるが、まぁ牛舎なのだから動物臭いのは仕方ない。
「あ、小牛だ。かわいー」
「ンモー」
「んもー、んもー」
泣き声を真似するあきらのほうがかわいいですと、夜流は素直に思った。
そのまま、酪農家でしばらく時間を過ごして、3時過ぎになってからホテルに戻った。

ホテルでは時間的にもう1泊できるようになっているのだが、そのままチェックインする。
そして、バスで移動してマリモで有名な阿寒湖の近くにある、阿寒湖温泉を二人は選んでいた。すでに予約していた旅館につくと、二人は日が沈む前から、庭に用意されていた温泉につかる。

「明日は、牧場いって乗馬体験して帰ろうか?」
「うん。きもちいい〜」
「おれは鼻血をふきそうです」
胸の位置まできっちりバスタオルを巻いたあきらの、湯煙の中で見る姿にグッときている夜流はちょっと変態ぽかったけど、自分もきっちり腰までタオルを巻いているのにきづき、ザバッと湯からあがった。
「ん?ナイト、もうあがるの?」
「ほーれほれー」
湯で濡れたバスタオルを広げる。

「キャー!」
真っ裸の夜流の股間部分を見てしまい、あきらは悲鳴をあげた。

「ほーれほれー、お嬢ちゃん、触ってもいいんだよ!」
「いやだー、こっちくんな!」
「ほれほれ〜〜」
夜流は変態モードに突入していた。

「この短小早漏!」
ゴンと、桶を夜流にぶつけると、夜流はそのまま頭をぶつけて湯に沈む。
「おおおお・・・・きいた。ショックすぎる発言だ」
ざぱぁと腰にタオルを巻きなおしてから、湯に浮かび、死体のようにぷかぷか漂う夜流を無視して、あきらは、バレッタで留めた髪をおろして、湯の中に髪を広げた。

「んーはりつくと気持ち悪いけど・・・・でもふわふわ漂って、綺麗かも」
自分の髪が湯の中で漂うさまをみて、あきらはぶくぶくと目の位置まで湯の中に沈んだ。
「!?」
手をひかれて、ザパンと湯の中に沈みこんだ。
「・・・・・・」
言葉もなく、湯の中で夜流はあきらの漂う髪を後ろにおしやり、口付ける。
「ふ・・・・」
温泉の中で、舌を絡ませあうと口の中に湯が流れ込んでくる。

「けほっ」
あきらは湯から顔をあげると、せきこんだ。
「あきら、綺麗」
「ナイト、苦しいよこれ」
二人はそのまま温泉を楽しみ、夕飯を部屋でとって、それからあきらは夜流がうたた寝をしている隙に大浴場にいってしまった。

じろじろと、男性の視線が集中する。
「ねぇちゃん、ここ男湯やで」
「いや、俺兄ちゃんだから」
「ほんまかいな」
関西人らしい客がびっくりする。
でも、やっぱり胸の位置までタオルを巻いて、あきらは庭の湯とは違う大浴場の湯に浸かる。
「兄ちゃん美人さんやな」
おっさんは、話かけるとやっぱり関西圏の人らしく、すごく気さくだった。
ねばつくようなあきらへの男性客の視線をしっしと追い払い、おっさんは先にあがる。
「兄ちゃん、いつまで浸かるンや?ちょっと長すぎやないか?」
「・・・・・・・・・・・ぶくぶく」
あきらは、顔を真っ赤にして湯の中に沈んでいく。
「ちょ、兄ちゃん!」

その頃、大浴場にいくと書きおきを発見した夜流は急いで大浴場にいくと、浴衣のまま中に入ってきた。

「あきら!」
「お、連れさんか?湯あたりしたみたいや、着替えさせて部屋運んだり」
「あ、すみません。ご迷惑おかけしました」

夜流はあきらを温泉からあがらせると、そのまま髪も肌も水分をふきとって、浴衣に着替えさせると背中に負ぶって部屋まで運んだ。
すでに布団はしかれており、布団の上にねかせると、ハンカチを水に濡らして額にのせてやる。
「うひひひ・・・・牛が・・・・モーモーじゃがいもチンコ・・・・」
「どんな夢見てんだ」
夜流は頭を抱え込む。
そのまま、夜がふけていく。

夜流は、浴衣から見える白いあきたの胸やら足を見ては目線をそらしていた。
「ん・・・・ナイト?俺・・・どうしたの」
「湯あたりだよ。ふやけてたとこ、運んできた」
「そう。ごめん」
「いいって」

二人は見つめあった後、唇を重ねる。
パサリと、あきらの額の上のハンカチが布団の上に落ちる。
あきらは下着を着ていなかった。
そのまま、浴衣を乱され、白い太ももが露になる。夜流の手が、その太ももをなで上げる。
「ナ、イト・・・・」
「しよ?明日は牧場やめるから。していい?」
「ん・・・・いいよ。ナイトの、好きに、して」

あきらは、夜流の金色の髪に手を伸ばし、それをさらりと指ですいて、目を閉じた。




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