「最後の夏」A







18R
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夏の最も暑い季節、8月。
あきらと夜流は、昔のように夏祭りに出かけた。
夜流もあきらも浴衣を着て、そしていろんな露店を巡ってから、神社でおまいりした。
「ずっとナイトといれますように」
「あきらが幸せになりますように」
二人はそう口にして、微笑みあう。

「懐かしいな〜。マナって名づけた金魚元気?」
あきらが、花火が一番よく見える土手に夜流に案内されてやってくる。
「ああ、もうエサパクパクくって鯉みたいに大きいぞ」
「へー。一度見てみたいな」
「今度俺の家にこいよ」
「うん」
あきらの声が沈む。
昔は夜流の両親もあきらのことをかわいがってくれたけれど、夜流はあきらのせいで学校を休学してしまったのだ。腫れ物を見るような目と、忌々しいものを見るような瞳で見られたのを覚えている。
それから、夜流の家には一度も遊びにいっていない。

「そろそろ花火があがるぞ」
「うん」

二人は手を繋いで、土手にビニールシートをひくとそこに座る。
残っていたたこ焼きを全部食べ終えた時、ちょうど花火があがりはじめた。

ヒュルルルルパン。
パァン。
いくつもの花火があがって、綺麗な色が二人を照らす。
幻想的な色の色彩の花火たち。
1時間ほど、二人は声もなく花火を見て、それからどちらともなく唇を重ねた。

「はじめてした場所、覚えてる?」
夜流が耳元で尋ねてきた。あきらは覚えていないので首を振った。
「行こうか」
ビニールシートをたたんでリュックの中にいれるとそれを夜流は背負い、あきらの手をとって歩きだす。
土手をぬけて、草原に近い草むらを抜けて、寂れた公園にやってきた。

どこかで見たことのある光景だと、あきらはおもった。
「ここで、はじめてしたんだ。俺たち」
「何を?」
夜流はこけそうになった。
「いや、だからなにを」
水のみ場で、あきらは水を少しだけ飲んで、ベンチに座る。ベンチに夜流は全ての荷物を置いて、それからあきらの手をひっぱった。
「何?」
「昔みたいに、さ」
「え?」
樫の木に押し付けられ、そこでキスされた。
「や」
「なんで?」
「だって、ここ外・・・」
「そんなの別にいいだろ?誰もこないって」
「んう」
あきらの喉がなった。口の中に夜流の舌が入り込んでくる。それにおずおずと舌を絡める。

あきらの浴衣の上をはだけさせ、その白い肌を啄む。
平な胸を撫でて、先端を口に含んで転がした。
「んあ・・・・」
じんと痺れるような感覚があきらを支配する。
「あ・・・・ううう」
「苦しい?」
「苦しい」
少しだけ、苦しい。あきらは呼吸を整える。
その間に、夜流はあきらの下肢に足を割り込ませて、膝であきらのものに刺激を与える。
「あっ」
「してもいい?」
「だめっていっても、するくせに・・・・」
夜流は苦笑する。

あきらのボクサーパンツを脱がせて、そのまま潤滑液を取り出して固く立ち上がった自分のものに塗りこむと、あきらの内部を解しもせずに直接突き入れた。
「うあ、痛いっ」
「・・・・・」
「痛いよ、ナイト!」
そのまま、樫の木にあきらを縫いとめて、腰を進めて背後から犯して揺さぶった。
「あああ、あ、あ」
あきらは乱れる茶色の髪を宙に浮かせながら、激しい動きでガクガクと揺さぶられた。
「いやああ、深いよっ」
「俺のこと、全部覚えて」
「ああああ!」
揺さぶられるたびに、突き上げられる場所が変わる。
あきらは一度だけ、樫の木にしがみつくと、夜流に手を伸ばした。



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