あきらの母親と父親は離婚した。 もう一人、外部受験した透も合格した。 あとは、卒業と入学を待つだけ。 春の風が吹き始めていた。 気づけば、あきらと出会って4ヶ月が経とうとしていた。 ************************************** 「夜流、じゃま〜。もっと奥いってよ」 「無理いうなって。だいたい、なんて同じベッドで寝るんだよ。毎度毎度」 「だって、布団ないんだから仕方ないだろ!」 「ソファーでいいって」 「あれソファーベッドじゃねーんだよ!あんなんで寝れるわけねーじゃん」 「寝れる・・・・と思う」 「ぐー」 「寝るの早っ!!」 コチコチコチコチ。 壁にかけられた時計の音がやけにリアルにうるさく聞こえて、夜流は何度も寝返りを打った。 コチコチコチ。 だーうるせー。 「ん〜」 「なぁ、あきら起きてる?」 答えはなかった。 「ん・・・」 ゴロリとあきらが今度は寝返りを打った。 目の前に、あきらの綺麗な顔があった。顔は小さいと思う。全体のパーツが整っていて、寝ていても美人だった。 桜色の唇に、夜流は気づくと指を這わせていた。 ゆっくり全体をなぞるように優しく指を這わせた後、その手をひっこめる。 何やってんだよおれ! 自分の行動に気づいて、夜流は慌てて寝返りをうって、あきらに背を向ける。 コチコチコチコチ。 守るってきめた、確かに守るって決めた。 でも、それって友情だろ? 何やってンだ俺。 コチコチコチコチ。 ボーンボーンボーン。 壁にかけられていた時計が深夜0時を告げる。 ゴロンと、あきらもまた寝返りをうって、夜流に背を向けた。 そして、うっすらと目を開いて、夜流に触れられた唇に手をはわす。 哀しくはなかった。嬉しくもなかった。怖くもなかった。 なんともいえない感情だ。友情と、多分恋愛感情の間。その間をゆらゆら揺れている気持ちに似ている気がした。 夜流のことは好きだ。でも、友達として好きなのであって、恋愛対象としては見ていない。お互い、そのはずだ。・・・・・・断言は、できないけれど。 あきらは、ゆっくりと目を閉じて、また眠りについた。 NEXT |