レンカ、眠る







「うい〜?」

レンカを抱き上げた皇帝は、レンカに与えた広い部屋に入るとそのままレンカをベッドに横たえた。

「おい、ユリシャ〜!てめぇ生意気なんだぼけー!」

とても寵姫とは思えないような声をあげて、枕を投げてきた。

それを無言で受け取って、同じ広い寝台に入った。

「んだよ」

俺はユリシャを睨んだ。

この世界にきて1週間くらいだろうか。

ユリシャに何度も愛しているといわれた。

でも、実感なんて湧かない。いきなり会った相手に愛しているといわれて、湧くわけがない。

確かにユリシャは男の俺が見ても、美しいと思うし、皇帝としての気品も威厳もある。というか、ユリシャがレンカに寵姫の位を与えたのはレンカが黒き神の一族、藤原の子であるからでもあった。

いくら髪や瞳の色が違うとはいえ、その存在が外に知られてしまえば、最悪誘拐もありうる。それだけ藤原一族はこの世界で貴重なる存在である。

黒髪に黒目であれば他の後宮の姫も、レンカに従っただろうが、レンカはそんなこと望んでいないだろう。

「家に、帰りたい」

天井を見上げていたレンカは、かすかに涙を零して嗚咽をもらした。

「なんでこんな異世界なんだよ。ユリエスもいねーし。300年後とか・・・アルザも元に戻る方法分からないっていうし」

「泣くな、レンカ」

頭を撫でられて、レンカは銀色の瞳で横で寝そべる皇帝をみた。

「お前、変」

「なぜ?」

「いくら俺が藤原だからって、俺男だぞ?」

「そんなことは知っている。最初は女かと思ったが、接しているうちに口調からしても性格からしても男だと分かった」

レンカは、染色体がXXYのクラインフェルター症候群だ。染色体が普通の男性よりも一つ余分にXが多い。それは女性化を意味する。
このXXYもしくはそれ以上のXXXYなどの場合、思春期に男性でも胸ができたり、声変わりがなく、喉仏も出ない、体毛がほぼないなどの中性的に育ってしまう。

現実に、レンカも女顔であったけど、中性的であった。
声は高く、2次成長もまだ途中といったかんじだ。

「うー・・・・」

ごしごしと目を擦っていると、ユリシャがレンカの目を手で覆った。

「なんだよ」

「大丈夫だ、俺がいる」

「なんだよそれ」

「俺頼んでねぇよ」

「それでも。俺がいる。お前のそばに。愛している、レンカ」

ユリシャはレンカにキスをした。

「んう」

びくんとレンカの体がはねる。

「どっこ、さわってんだよ!」

「気を楽にして」

「くそったれ」

一度熱をもってしまったそこは、解放されるしかないだろう。

「んっ」

衣服の上から触られて、それから下着の中にユリシャが手を入れた。

「の、バカ!」

「レンカ。愛している」

それはまるですりこみのように。何度も何度もレンカの耳に囁く。

「んく、ああああ」

ビクン。

レンカの体がはねた。

ユリシャはレンカが放った透明な蜜を指ですくいあげて全部舐めとった。

「エロ親父!」

「まだ私は22だが?」

「うっせ!俺は16だ!!」

「そうだな。レンカはまだ子供だ。だから私が責任をもって大人にする」

「っざけんなー!」

皇帝ユリシャの頭を蹴飛ばして、寝台から落とす。

「はは、レンカ元気出たか?」

「うっせ。知るかよ・・・」

レンカは真っ赤になって、プイと横を向いた。ユリシャはレンカと同じ寝台で、眠った。


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