レンカ、いろいろ大変







ユリシャとの夜を拒否し続けて何日経つだろう。

ユリシャは仕方なく、他の寵姫や姫君のところで夜を明かすことが多くなってきたらしい。
ユリシャは無理強いはしない。キスくらいはするけど。

後宮中に、レンカは捨てられたとかいう噂が広まった。
俺にはどうでもいいことだ。

宮殿にいっては、剣を学び、寵姫としてのマナーは一切どんなに頼み込まれても学ばなかった。だって、俺なりたくて寵姫になったんじゃないもーん。

あー。せめてゲーム機があったらなぁ。テレビとか。少しは暇つぶしになるんだけど。

この世界は精霊科学が発達していて、俺の世界に似ているけど、テレビとかゲーム機はない。

家に戻れるならテレビとゲーム機にゲームソフトもってくるんだけど。電気は通っているので、いるものさえ揃えばゲームできる。

「元気でやっとるか〜?」

ぐてーっとベッドにねころがっていると、見たことのある黒猫が部屋に入ってきた。

「アルザ。俺の世界からテレビとゲーム機とゲームソフトもってこい!!」

「そういう思ってた。ちょいまちや。空間つなげるから」

「俺帰れる!?」

「だめだ。生命あるものの行き来はできない。この僕も含めて、な。今は時期を待つしかない」

「はぁ・・・」

ため息をついたものの、アルザはまるでドラエモンのように、小さなTVを取り出すとあらゆるゲーム機にゲームソフトが入ったダンボールを床に取り出した。光の円陣を描いた後にでてきたものだ。

「おおすげー!こんだけあればめっちゃ暇つぶしできる!」

コンセントに繋げて、PS2を始めてみる。ちゃんと機動してる。俺は何ヶ月ぶりかになるかも分からない、ずっと離れていたゲームをやり始めた。

高校に入って、友達と遊び歩くほうが楽しくて途中でやめたゲーム。他にも俺のじゃないゲームがいろいろまじってた。

「これどっからとってきたんだ?」

「どっかのゲーム店」

「そうかそうか・・・って泥棒だろうがああ!!」

アルザの黒猫の首輪を締め上げるけど、まぁ娯楽はあるにこしたことはないので元に戻すとかそんな選択はしないでおいた。

次の日になって、なんでもユリシャの友人が訪ねてくるとかで、いつにも増してびらびらでスカスカな服を着せられて、髪を結い上げられ、花まで飾られ、いくつもの髪飾りなどの宝石で着飾らされた俺は、ユリシャの隣でぼーっとしていた。

「シルメア王国の王子、俺の友人のニアだ」

「どうもはじめまして・・・・」

俺は仏頂面でそのニアとかいう王子に挨拶する。

「ユリシャ、新しい寵姫は美しいが不機嫌そうだな」

「俺帰る!」

俺は剣の稽古がしたくて、宮殿にきたんだから。すると宮殿の帰り道上から何かが降ってきた。

「きゃあいやだ、レンカ姫それ牛糞よ!」

ほっかほかの牛糞があたまの上から降り注いできた。登場してきたイヴァルがいやみったらしく笑う。

あの脅しにも負けないなんて、こいつも強い女だなぁ。

「小汚い存在には牛糞がお似合いよ」

プチン。

俺は切れた。

イヴァルの前に進み出ると、そのドレスをひきさいて、そして地面に残っていた牛糞にイヴァルの顔をこれでもかっていうほどこすりつけた。

「きゃああああ、狼藉者よおお!!」

俺は浄化の魔法で牛糞なんて消してしまった。

集まった兵や侍女が見たのが牛糞まみれの汚い泣きわめくイヴァル姫と、瞳を真紅にしたレンカ。

「この者を打ち首にして!」

イヴァルが命じるが、誰もそれに従おうとしない。

「牛糞アターック!」

牛糞が入っていたオケを、風の魔法でイヴァルの頭の上にゴンと降らせると、イヴァルは気絶した。

 



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