「あーれ?」 目が覚めると、ユリシャの寝室だった。しかも裸。やった形跡がある。 「ぬおおおお!覚えてない!確か、宴に呼ばれて・・・・あれ?」 そこからレンカの記憶は抜け落ちていた。とりあえず、先に勝手にシャワーを浴びると、新しいガウンを羽織って、レンカはユリシャが目覚めるのをまとうとしている間に、また眠ってしまった。次に目覚めると、レンカは自分の部屋で寝ていた。 「うーん?」 昨日のことを、ユリシャはレンカに言うつもりはなかった。 そのまま、レンカはゲームをして過ごしたが、昼過ぎになって剣を習うために宮殿にあがった。 「お、レンカ。俺と稽古するか?」 剣の指南をしていたニアと、レンカは剣を振るう。 キン、カキィンと何度も切り結びあう。レンカの剣の腕は確実に上達していた。 「強くなったな」 「でも、ニアに勝てない!」 「そりゃなぁ。俺はも子供の頃から剣を習っていたからな!」 「くっそー。なんか悔しい。シルフ、ニアの剣奪っちまえ!」 シルフが現れて、ニアの手から剣を奪うと遠くへ投げてしまった。 これで、形成は逆転したかと思うと、ニアの手には魔力で作られた透明な剣が現れて、それでレンカの剣を叩き落して、勝者はやはりニアであった。 「くそ。やっぱ負けた」 レンカはシルエドを鞘に収めると、ニアの屋敷でシャワーを借りて汗を流すと、和服をきて後宮に戻った。 後宮に戻ると、部屋の前に猫の生首が置かれてあった。 「ごめんな。俺のせいで。レッドフェニックス」 (承知。再生の炎よ) レンカが召還した炎の精霊ドラゴン、鳳凰の姿をもち、再生の力をもつレッドフェニックスは数千度の炎で猫の首を焼くと、その光はレンカの部屋の近くに宿り、一輪の花となった。 部屋の中に入ると、部屋は荒らされていなかった。ほっとする。 「レンカ様。薔薇風呂の時間でございます」 「えー?もう?」 公共となっている、後宮の薔薇風呂の時間だった。そこに入り、後宮の姫君たちは、打ち解けあうきっかけとなるのだ。 「うー。はいはい、いきますって」 侍女に手をひっぱられて、レンカは薔薇風呂の浴場に入ると、和服のまま風呂に浸かる。いつもはレンカが入る時間には誰も入っていないのだけど、今日はイヴァルとクローディアそれにサリアもいた。 薔薇風呂に入る美しいレンカ以外の寵姫。すぐに、イヴァルとクローディアはレンカの姿を見て眉を顰めた。 「いやだわ。せっかくの楽しい時間なのに」 「はいはい、俺もいやだっつーの」 「侍女、もっと薔薇をいれて頂戴!」 侍女は、命令に従って、レンカにむけて棘のついた薔薇をそのまま投げる。いくつかの棘に肌を傷つけられて、レンカは黙っていたけど、出ようとした。 「ダメです。まだ入浴の時間です」 「あー。かったりいい」 「侍女、あれは何かしら?下賎な者がいるわ」 イヴァルとクローディアは、侍女と嫌味ったらしくレンカの悪口をいいあう。サリアは黙ったままだ。でも、サリアもそれに混じりだす。混じらないと、いじめの方向がサリアにも向くのは確実であった。 NEXT |