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「あなた・・・・服を脱いだら!?ここのしきたりですってよ」
いやみったらしくいわれて、侍女に無理矢理服を脱がされた。
おおう。
豊満なイヴァルの胸が目の前にあったけど、ときめきもしない。中身の性格を知っているだけに。
「その眼帯は何?おしゃれのつもりなの?ちっとも似合っていないわ。とりなさい」
高飛車に振舞うイヴァルの言葉に、レンカの侍女が従ってレンカの眼帯を取ろうとするけど、レンカが抗った。
「これはいいって!これはとっちゃだめなの!ユリシャからもらったものなんだから!」
その言葉が、寵姫たちに火をつけた。
「何よ、あなたなんて!」
バシャバシャと裸でこちらにくると、二人の寵姫はレンカの髪をつかんで、薔薇風呂の中に顔をつけて沈める。
侍女は遠巻きに見守っているだけ。
「サリア!」
「あ」
「あなたもうっとうしいわ!」
イヴァルは、サリアの髪を掴むと、同じように薔薇風呂に沈めた。
「苦しい!」
二人とも、鬼のような形相だった。でも、そんなことでへこたれるレンカじゃない。逆に、イヴァルの髪を掴んで湯船に沈める。
そして、サリアを助けあげた。
「サリアだっけ?ごめんな、俺のせいで」
「あ、いえ・・・・」
サリア姫は、けれどクローディアにぶたれた。
レンカもぶたれた。
怒る二人の寵姫は、レンカとサリアに暴力を振るうが、やっぱりそれを黙って享受するレンカではない。クローディアを頭の上に抱えると、ぽいっと風呂の中に放り投げてやったし、イヴァルも同じようにしてやった。
「あがろう、サリア」
「あ、はい」
サリアとあがり、そして着替えると、レンカはサリアを連れて自分の部屋にまで来ていた。
サリアは泣き出した。
「私――寵姫に向いていないわ。レンカ姫、あなたのこと嫌いになれない。でも、みんな苛めろって。逆らうと酷い目にあわせられるし」
「帰るとことかないの?」
「あるけれど。でも、寵姫に選ばれたからには帰ってくるなと、お父様が」
レンカの周囲の侍女は、はっきりいってレンカではなくイヴァルやクローディア派である。でも、皇帝の命令で仕方なしにレンカの身の回りの世話をしているかんじだった。
サリアは性格も消極的で、確かに寵姫には向いていないのかもしれない。でも、どの姫君よりも清楚そうで、レンカがもしも皇帝だったらサリアのような女性を皇后に選んだことだろう。男性の心を刺激するような、まだ十代後半、レンカより2、3歳年上の少女だった。
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