「イヴァル姫より、東方の珍味を取り寄せたとのことで、レンカ様へと」 「へ〜」 侍女と一緒にやってきたイヴァル姫は、身分が寵妃になったのか、最近特にご機嫌であった。 「ありがとう。とりあえず、イヴァル姫。俺だけってのもなんだから、お茶していかないか?」 「あら、いいですわね。クローディアとサリアも呼びましょう」 こうして、レンカの部屋の庭先で、4人の寵姫はお茶をすることになった。 レンカの部屋に限らず、寵姫たちの部屋はホテルのスティートルームのようになっていて、複数の部屋が繋がっている。中でもイヴァル姫の部屋は一番広く、それがイヴァル姫にとっては自慢でもあった。 寵姫でない他の姫も、広い部屋を与えられている。後宮は宮殿よりも大きく広い。せいぜい二階建てで、皇帝が足を運んでのそのまま姫君たちの部屋にすぐに入れる設計になってる。 レンカは奥の部屋や、上の部屋は使っていない。上の部屋は侍女に与えている。一番庭に面した部屋を寝室としている。普通は、寝室は皇帝との夜伽のことを考えて奥の部屋になるのだが、そんなことレンカは考えていないしどうでもいい。 レンカの部屋に面する中庭も、それなりに意匠を凝らした作りになっているが、他の姫君たちはたくさんの花を植えているのに対して、レンカが植えているのは薬草だ。ユリシャから知識をもらい、レンカは薬草学の道を歩みたいと思っていた。 「レンカ姫の中庭は、汚いですわね」 まず直球でクローディア姫が投げた。 「ああ、俺薬草を育てているから。ユリシャから種を貰ったのを育てているんだ。ユリシャ、よく育てているなって褒めてくれるんだ。よくここでお茶一緒に飲むんだ」 「あら、そうですの?」 イヴァル姫とクローディア姫は頬を引き攣らせた。イヴァル姫とクローディア姫が、侍女に命じて庭師を雇ったりして、個性溢れる美しい中庭にしても、陛下は一度だけ美しい庭だといっただけで、それきり褒めてくれない。 「こ、こ、小汚い庭が陛下には珍しいでしょう」 クローディア姫は高飛車にオーッホホホホホと笑った。 「この前庭で盛られた。何回したっけ?4回くらい?」 「ホホホ・・・・・・ホ・・・」 どんどんと、クローディア姫の高飛車な笑い声が小さくなっていく。 NEXT |