レンカも、同じ寵姫にならそんな下世話な質問をしても平気かと思った。 「あ、あら、わたくしなんか朝まで寝かせてくれませんわ」 「あたくしもよ!!」 実際、一時期レンカへのイジメをなくすために、他の寵姫と夜を過ごしていたユリシャだったが、抱かれたのは1ヶ月のうちで1回だけ。 夜の話は、姫としてのプライドと威厳に関わるものだ。 「サリアは?」 「私は、レンカ様と仲が良いことを褒めていただきました。抱かれたのは、この1ヶ月で4回でしょうか。レンカ様のことを聞かれるですよ、陛下ったら。自分のことのようで嬉しいですわ。うふふ」 イヴァル姫とクローディア姫は、すでに顔色が悪い。サリア姫にまで出し抜かれている。 他の姫たちの間も渡っているので、多分イヴァル姫とクローディア姫の扱いは寵姫でない他の姫と同じくらいのレベル。 ガッデム。 二人はそう思った。 さて、侍女が紅茶を入れてくれた。そして、イヴァル姫が東方の珍味だというお菓子をぜひにと、レンカにすすめる。 「あ、ごめん。俺、さっきユリシャとサリアとニアの4人でお茶したんだよな。いろいろ料理でてきて食べちゃった」 「ええ。私も、ユリシャ様の笑顔が見れて嬉しかったですわ。レンカ様のレシピを元に作らせたカレーなるもの、お茶をするには本格的なメニューでしたね」 「ああ、あれ俺の国の国民食。食べたかったんだよ〜。うまかったろ、サリア?」 「ええ。でも、もう夕方はフルーツだけにしようかと」 「あ、俺も。だから、二人で食べてくれよ」 だらだらと、イヴァル姫とクローディア姫は汗を大量に流した。 「この、ピンク色の美味しそうだな。食べてみて、クローディア」 「オホホホホ。わたくし、今おなかがいっぱいで」 「じゃあ、ユリシャ呼んでユリシャに食べさせよう」 「食べさせていただきますわ!!」 クローディア姫は、ぶるぶる震える手でピンク色の餅を掴んで、食べた。 「ぎょひーーー!!」 椅子から飛び上がる。 中身は唐辛子そのまんま。涙をたくさん零しながら、それでも食べきったクローディア姫の根性は素晴らしい。 ゴッゴッゴと、侍女を呼んで水を飲み干して、クローディア姫は息をついた。 「こんなはずでは。くそ、レンカめ図ったな」 小声で悪態をつく。 「じゃあ、今度こっちの緑色の、イヴァル食べて見てくれよ。食べないなら、ユリシャ呼んでユリシャに食べてもらう」 「オホホホホホホ!食べますわよ!これ、わたくしの大好物ですの!!」 緑の草餅を掴んでそのまま口にいける。 「ぎょええええーーー!!」 イヴァル姫は、クローディア姫と違った悲鳴をあげて、白目を剥いた。 無論、どれも東方の珍味として売っているものではない。侍女たちに命じて、クローディア姫とイヴァル姫が共同で嫌がらせのために作らせた菓子餅である。 「まだ残ってるぞ?ほら、おいしいんだろ?全部食ってくれよな?」 レンカはとても美しい、女神のような微笑でクローディア姫とイヴァル姫を見る。そして、サリア姫と二人で携帯用通信ゲーム機で格闘ゲームを始めた。 「1時間以内に全部食べなかったら、ユリシャ呼んでユリシャに試食してもらうから!東方の珍味だろ!俺らなんかには勿体ないし!」 「そうですわね」 サリア姫はおっとりと微笑む。 「ぐおおおお」 「ぬおおおお」 イヴァル姫とクローディア姫の企みは、あっけなく終わった。その日、イヴァル姫とクローディア姫は腹を壊して下痢ピーピーになった。 NEXT |