レンカの日常







「レンカ、具合はどうだ」

「どうもこうもあるか。少しは加減しろ」

レンカの部屋に見舞いに訪れたユリシャは、レンカの側にルクレツィアがいて、当たり前のようにカウチに寝そべっているのに少し驚いた。
この星のドラゴンは眠るらしい。

今まさに眠っている最中であった。

「あ、起こさないでやってくれよ。眠るの10日ぶりらしいから」

「ああ、分かった」

土産にチョコレートクッキーをレンカにやると、レンカは甘いものが好きなのかすぐに食べ始めた。

「おいしい。ユリシャも食う?」

「いや――」

ユリシャはレンカの顎をとると、突然キスした。舌が絡む。甘い味が口内に広がる。

「食べたいなら普通に食えよ」

「私はお前が食べたいな」

「はい、却下!昨日したばっかだろ!」

「では違う寵姫のところにいくか」

「そうすれば?」

その言葉にユリシャは少し悲しい気分になった。まぁ、男の寵姫であるし、ユリシャが無理矢理寵姫にしたせいもあってか、レンカは別にユリシャが他の者を愛しても何も言わない。
愚痴も文句も。

そもそもこんな後宮を構えている主である皇帝のユリシャにとっては、一人の寵姫にこれほどのめりこむのは得策ではない。政治の問題も絡んでくるのだ。でも、どうしてもレンカを気に入ってしまい、愛してしまった。もう、手放させないだろう。

ビタン!

その時、凄まじい音がして、レンカの部屋の窓ガラスにクローディア姫が張り付いていた。凄い顔になっている。同じく隣の窓にはイヴァル姫が張り付いている。

「ふむ・・・・あんな面白い動物をこの後宮では飼っていただろうか?」

「ああ、あれは昆虫なんだよ。光が漏れてるだろ。それで窓にへばりついてるんだ」

「なるほど」

ユリシャとレンカは爆笑する。

とうのイヴァル姫とクローディア姫は、二人が仲むつまじくしているのに簡便できなくてなんとか、邪魔をしてやりたいと思ったのだけど、部屋に鍵がかけられていて中に入れない。
ならば、せめて何が起きるのかみるために窓にはりついた。

「シルフ〜。あれかわいそうだから、畑に埋めてきて」

(了解した、主よ)

「きゃああああ!」

「あーれー!!」

こうして、二人は酪農施設の隣にある畑に頭から埋まった。

収穫にきた人は、人が生えているのを見てびびって逃げ帰ったそうな。



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