レンカ、睦言の夜







「あ・・・・くっ」
服の上から、ゆるゆるとたちあがったものを刺激される。何か口移しで飲まされたとたんに、体全体がかっと火照るように熱くなった。
きっと媚薬の類だろう。

「この・・・・卑怯、者・・・・」
熱に潤んだ瞳で睨まれても、ユリシャはニイと意地悪く笑うだけ。
ぐりっと膝で刺激されて、レンカはユリシャの髪をひっぱる。蒼銀の、リトリア王家、今は皇家になるが、銀のメシアの色彩を遺伝子として受け継ぐユリシャの髪はとても美しい。

白という、他の人間にはないレンカの髪も神秘的であるが、ユリシャのもつ美貌は気高い尊さを兼ね備えている。ぶっきらぼうなレンカであるが、見た目だけはどの女より美しいし、銀と真紅のオッドアイの瞳はどんな者の瞳より美しく、最高級の宝石さえも色褪せてしまうだろう。
メッシュのオレンジの色が、レンカの視界を遮る。
自分の前髪をかき上げて、レンカは唇を妖艶に舐めると、ユリシャの服を脱がしにかかった。

「そんなに私が欲しいのか」
「お前が、俺に変なもの飲ませるからだろ、このバカ!」
「ふふふ・・・・」

不敵に笑むユリシャの衣服の前を寛げて、首筋に噛み付いてやった。
思い切り噛み付いたので、血の跡が滲んだがユリシャは全く意に介した様子も見せず、レンカの衣服を脱がせていく。

「あっ、あっ」
レンカのものに指をはわせて先にいかせると、レンカは透明な蜜を零してあっけなく果ててしまった。

「早いな」
「お前の、せいだ、ろっ」

ぐぷりと、指がレンカの蕾のなかに沈む。潤滑液をたっぷりかけた指が、意思をもったようにばらばらに動き、ある一点でぐっと折り曲げられた。

「あーーー!やあっ」
ひくんと痙攣するレンカを見て、ユリシャはすでに猛っていたものを、指を引き抜くと一気に突き入れた。
「うあっ!やああああ!!」
レンカは逃げるように体をずり上がらせるが、ユリシャがそれを許さない。
「あっ・・・・あ!」
激しく突き入れられて、レンカはシーツをぐっとつかんだ。
二人分の体重を受けてベッドがギシギシと、重い音をたてて軋む。
レンカを揺さぶって、何度も何度も突き上げる。

「あ・・・・うあっ」
ユリシャの背中につめをたてて、レンカはまた果てた。
綺麗に弓なりにしなる背中を見つめながら、ユリシャも精をレンカの中に注ぐ。それでも飽き足らず、ユリシャはしつこくレンカを求めた。

「んう・・・・」
ディープキスを何度も繰り返す。
どちらのものかも分からない唾液が、糸となって銀色の光を落とした。

「くく・・・・・」
ユリシャの下で、レンカが真紅に燃え上がった瞳で笑い声をあげた。
「これは面白いことだ。この器は、銀のメシアの血族だった者に寵愛されているのか」
「お前は!」
ばっと、ユリシャが衣服を片手に飛びのくと、そこいたのはレンカではなくカシウスであった。

「はーっはっはっは!!!」
ぶわりと、黒い霧のようなものが立ち込めて、ユリシャが衣服をまとっている間に、レンカも乱れてはいるが衣服をきて立っていた。
そう、ただたっているだけ。
隣には、蒼銀のフェンリル。巨大な3メートルはあろうかという体躯に、ユリシャは寝台の側にたてかけていた神剣レイシャを抜き放つ。

レンカの中から星が生まれ、ルクレツィアが12枚の黒い翼を広げて舞い降りると、ユリシャの隣に星の剣を手に構える。
「ルクレツィア!なんとからないのか、このカシウスというのは!」
「レンカが操られている限り、傷をつければそのダメージがレンカにまでいく」
「なんだと!」

「残念だなぁ、人間の皇帝よ」
カシウスは低く唸った。

「だが、我が王と分離させることは可能!」
ルクレツィアは、ルクレツィア・エル・ルシフェル、星を砕く者となる。黒い巨大な豹となり、なんとレンカに噛み付いたのだ。
「ルクレツィア、何を!」
「食べるのさ。王を、一度我が体に取り入れ復活させる」

ボキボキと骨が折れる音と血が飛び散る光景に、ユリシャはルクレツィアに切りかかる。
「レンカを殺すつもりか!」
ルクレツィアは、爪で神剣をキンと弾くと、レンカを本当に食べてしまった。



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