レンカ、剣を手に







「さぁ、星を砕き集め再び生まれ出でよ、我が王よ!」
ルクレツィアの言葉を中心に、光が集まりそれはレンカと形となってこの世界に再び生れ落ちた。
ゆっくりと、レンカは目を開く。

「レンカ!大丈夫なのか」
「俺は白きメシア。竜の子。カッシーニャの子とはいえ、この世界を弄ぼうというのなら、殺す」
ぞっとするほどに冷たい声。
真紅の両目から、真紅の光が溢れている。

「全てのドラゴンよ我に宿れ」

その一言で、レンカに宿っていた水のウンディーネ、風のシルフ、火のレッドフェニックス、サラマンドラ、イフリエル、大地のティターンの四大属性の精霊ドラゴンがレンカの中で目覚め、大地を劈くような声をあげた。

「宿れ、全てのドラゴンたちよ」

その言葉で、残された緑のグリーンウッド、骨のスカルニアボーン、夜のパンデモニウム、氷のアイスティア、雷のライデンまでもが、そう、かつての最後の銀のメシア、藤原カリンが契約した精霊ドラゴンたちが集結する。

「空よ!海よ!そして光よ!!!」

空に巨大な影が現れる。空の精霊ドラゴン、エアリアル、それに海の精霊ドラゴン、リヴァイアサンであった。太陽と月は空位のため、呼ばれることはない。そして最後にレンカが呼んだ光、つまりはユリシャの神剣レイシャは光の翼をもつフェンリルとなって空に現れ、ユリシャの剣は掻き消えた。

「全ての精霊ドラゴンを集め我は闇となる!きたれ、最終のラグドエルよ!」

闇が全てを飲み込んだ。
究極の精霊兵器、闇のラグドエル。
それは、メシアが体に全ての精霊ドラゴンを宿した時に成す最終形態。

「剣となりて我に力を!」

レンカは、闇でできた剣を手に空裂く。
闇のドラゴン、ラグドエルになるのではなく、ラグドエルを剣として具現化したのである。
そのあまりの圧倒的な力の前に、ユリシャは言葉を失う。

「星のルクレツィア。星を砕く光となれ!」
12枚の翼を広げて、黒豹はレンカと融合した。

空中で12枚の翼を羽ばたかせるレンカは、同じように空中に浮いたカシウスを睨む。

「滅べ」

「小童が!!!」

カシウスは吼えた。
だが、全てのドラゴンの力を集めたレンカの力はあまりに圧倒的であった。

そう、精霊ドラゴンは、精霊たちの神である。カシウスが次代カッシーニャ、神であろうともこれだけの神の力を集めた刃の前ではどうなるであろうか。

「おおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ぐおおおおおおおおおおお!!」

カシウスは、全ての力を出して真紅の瞳を煌かせて、レンカの体を引き裂いた。

「レンカ!!!」
ユリシャの悲鳴。
レンカは大量の鮮血を大地に零しながらも、闇と星の剣を振り上げる。

「滅せよおお!!!!」

闇が全てを包み、そして星が落ちる。


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