番外編「追憶のマナ」







番外編「追憶のマナ」

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2012 夏

夏樹あきら、13歳。
中学2年生。
夏樹マナ、13歳。
同じく、中学2年生。


「マナ・・・・・どこにいくの?」
あきらは、マナがベッドから抜けていくのを不思議そうに見ていた。
「もう一つの部屋あるでしょ!あっちで寝るの。ほっといてよ!!」
「マナ、マナ!!」
あきらは、マナを追いかけようとしたけど、マナはあきらを抱きしめた後、不思議そうに首を傾げるあきらから離れた。
「いい、何があっても絶対にあの部屋にきちゃだめ!あそこには、悪魔がいるから!」
「悪魔?マナはどうなるの」
「あたしは平気。お姐さんだもの。あきらを、守らなくちゃ」
「マナ・・・・・」
もう一度抱き寄せられて、あきらはマナにキスをした。

「いい。絶対に、きちゃだめだからね!」
「うん、分かったよマナ」

マナがいうことは正しい。
マナがいうことは絶対。

そう母親に父親に教え込まれた。
そう育てられた。

「マナ・・・・マナ・・・・」

マナが去っていったベッドで、あきらは眠りにつく。

その部屋に侵入しようとする男を、マナは呼び止めた。

「パパ!もうあきらを抱かないって約束でしょ!あの子、あんたにされた忌わしいこと、もう忘れてるんだから!」
「ああ、そうか。もうあきらは、寝ちゃったか・・・・」
あきらとマナの実父、明人は、残念そうにマナの顔を見た。
ゾクリとした。
マナは、ケダモノと、心の中で父親を蔑む。
「ああ、あきらの肌が懐かしいなぁ。あの子は、俺のものを欲しがって、自分で足を開くのに・・・・」
「知るもんですか!あたしで我慢しなさいよ!」
「マナ・・・・お前は、あきらと同じ顔をしているのに、可愛げがないなぁ。あきらは」
「うるさいわね!それ以上言ったら、ママに言うわよ!パパが、またあきらにいやらしいことしてるって!」
「それは困る。お前で我慢するかぁ。あの女はキーキーうるさいし。まぁ、あきらにしたこと、全部もう忘れてるけどなぁ、あの女は」

「パパもママも、しんじゃえ!」

マナは叫んだ。
そのマナの幼い体を攫って、悪魔はもう一つの空き部屋に入ると、マナを押し倒す。
そして、いつものようにマナを、あきらのかわりに抱くのだ。
「かわいいよ、あきら、あきら・・・・はぁはぁ」
「はやくいけよ・・・・このクズ!」
マナは、涙を零しながら、悪魔がはやくこの体に欲望を注いで去っていくのを待つしかなかった。


・・・・・・・あきら。
あたし、多分、病気なの。
いつか、あきらを置いて死んじゃうかもしれない。
胸のあたりにね、しこりがあるの。そこが、時折とっても痛むの。

あきら。
あたしがいなくなったあと、誰があなたを守ってくれるの?
ママはいかれてるし、パパはあきらをレイプすることしか考えてないし。

一回通報したのに、ママに説得されて警察帰っちゃったよ。
ほんと、大人って最悪。

ママもパパも嫌い。
あきらだけが好き。
あきら、愛してるわ。

だから、私がもしもいなくなっても、強く、生きて。
マナの、お願い。

きっと、いつか大切な人が現れて、あきらを守ってくれるから。
あの悪魔からも。




                        2013冬11月はじめ。
                        夏樹マナ、ガンにより永眠。

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          追憶のマナ the End






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