「中間テスト」@







5月半ば。
中間テストの時期がやってきた。

あきらも透も夜流も、三人で一緒に勉強しだす。
学は、違うグループに所属して、最近はあきらに声をかけることも少なくなった。
あっけなく仲直りしてしまったあきらと夜流に、クラスメイトのみんながほっとしたのも束の間の中間テスト。
「学、俺のこと嫌いになったみたい」
「そんなことねーって」
「でも・・・・前みたいに、遊んでくれなくなった」
「ただたんに、馬があわなかっただけだろ?俺と夜流がいるじゃん」
透が、勉強をしながら愚痴を零すあきらを慰める。

「透、この式これであってる?」
「おーあってるあってる。あきらって、もしかして夜流より頭いいんじゃね?」
数学の公式で四苦八苦している夜流を見て、透があきらのできのよさに感心していた。
「んなのことねー・・・・つか、俺文系なんだよ!なんで高校の数学ってこんなむずいの!?」
「むずくねーって・・・・簡単だろ」
「うん、簡単」
透とあきらは、数学の問題集をもう解き終えてしまって、次の古文に入っていた。

「あああ・・・・ (>'A`)>ア゙-ッッ!!」

「なんだよ夜流」
「夜流・・・・頭おかしくなった?」

「なんか、ご褒美くれ!そしたら、俺頑張れるかも!」
ねだって来る夜流に、透は一言。
「バナナジュースおごってやるよ」

「よっしゃああああ・・・・ってんなのでテンションあがるかよ!」

「だってよ、ナイトはああいってるぜー。ここは、王子様が体をはって、キスとか・・・」
ピクリ。
夜流の耳が動いた気がする。
「あ〜?いいぜー、もしも数学のテストで夜流が100点とったら、ご褒美に俺からキスしてやるよ!サードキスだこんちくしょう!」
からかい気味に、あきらは言い放った。
「いったな?約束だぞ、おい。嘘はなしな?」
メモ帳に記録しだす夜流に、透は汗を流した。
夜流って、こんな奴だっけ。そう透は思った。

「お前ら、付き合って・・・・」
「ないから」
「ないない」
夜流もあきらも、二人して首と手を振る。
ちなみに、男子校だけあって、クラスの中にも男子生徒同士で付き合っているカップルが一組いる。他のクラスにはいないらしいけど、上級生には幾人かの同じようなカップルが存在するらしい。
最初はみんな気味悪がったけど、いい奴らなので、みんなすぐに受け入れた。

「だよなぁ。でも、キスとかするのな?」
「あー。うん。スキンシップみたいなやつ?手繋いだり、額にキスとかよくするし」
夜流が頷く。
「してるよなぁ、お前ら」
学校ではしないけど、外で、哲やマサキとたむろしてるときに、二人はよく一緒にいるし、額にキスしてたり、手を繋いでたりもする。大体が、夜流からだが。

「で、まぁ王子様からのキスは100%無理だろうなぁ、この調子じゃあ」
透は、夜流の解いた問題集を見てから、もう一度。
「100%無理だわ」
即答だった。

「うおおおお、なんか100%無理っていわれると燃えてくる!!」

夜流は、でも数学を放り出して古文を始めた。
あきらと分からないところを教えあいっこを始める。
透は古文をやめて、歴史をやりだした。

「あきらは、古文苦手なのな」
「あーうん。古文苦手」
夜流が、間違ったあきらの答えを訂正し、答えの解説をはじめる。

透は、大きな欠伸をした。

あーあ。いっそ付き合っちまえばいいのに。

そう二人の仲のよさに、呆れながら。


 




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