「中間テスト」B







15R
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「あー。あー・・・・・。声、我慢できる?」
「教えてくれれば、やり方・・・」
「もう時間ない。遅刻する」
「ちょ、夜流!?」
あきらがびっくりするのは無理もない。夜流は鞄を閉じた座椅子の上におくと、壁際にあきらを追い立てた。
「んっ・・・・」
びくん。
あきらの全身が震える。
夜流の、他人の手が、あきら自身を扱い出した。
「やー、やー!!」
あきらが目を見開いて、涙をこぼし出した。
はじめて受ける快感という衝撃に、あきらは声をあげていた。
「やっ、だめぇっ」
スボンのチャックから浸入した手は、あきらのボクサーパンツの上からあきらのものを包むと、早急に動かした。この際、下着がぬれてしまっても仕方ない。
テストに遅刻なんてしてられない。追試になってしまう。

「だめぇっ・・・・・」
耳元で艶めかしく喘がれる夜流にとって、それは理性との戦いだった。
あきらの声は、声変わりをしていないせいで、女の子のそれそのものだ。
最近久しくエロビデオとか動画を見ていない夜流の腰に、ズクンとくるあきらの声。
「あきら、顔あげて」
「んく・・・・」
夜流は、あきらの声を封じるために、あきらの唇を自分の唇で塞いだ。
「んーー」
それでも、あきらは声が止まらないようだ。
感じやすい体質なのだろう。というか、はじめて誰かに触られてはじめてイクというのであれば、こんな風にならないほうがおかしい。
はじめてイクのだったら、快感もすさまじいものだろう。
「んんぅ・・・・・」
涙を零すあきら。

ずきんと、夜流の心が痛んだ。

でも、夜流の理性も崩壊直前だ。あきら相手なのに、たってしまった。もうどうしようもない。

やばい。やばい。やばい。

「んっ・・・・」
びくんと全身を痙攣させて、あきらははじめて「イク」ということを、多分経験した。
あまりに遅すぎる、思春期だ。
二次成長もまだなあきらは、全てが一般男子より遅れている。
声変わりもまだ、喉仏も出ていない、男性ホルモンの分泌が少なすぎて華奢なままで、男性としての体作りもできていない、未熟すぎるあきら。

あきらがなぜ、まだ二次成長がきていないのかというのと、ここまで女性的なのは、染色体がXXYのせいだ。
クラインフェルター症候群といわれる。
あきらが自分に二次成長が遅いことを気にして、病院で受けた健康診断の時に判明したものだ。
800人に一人といわれるそれは、あきらが男性となっていく点で大きな障害になるだろう。
成人しても声変わりをせず、華奢な体格の場合が多く、いわゆる、中性的というのだろうか。そんな見た目になりやすい素質をもっているのかもしれない。男性に多いむだ毛というものもほとんど一切ないに近い。射精はできるが、精子の数がとても少なく、精液は白いというより透明で匂いもほとんどないらしい。

「んあっ・・・・」
あきらの口内から舌を抜き差って、余韻でビクビクと震えるあきらを抱きしめる。
夜流もやばくなって、あきらがいったのと同じくらいにいってしまった。
あきらに、性的な興奮を覚えた。確かに、あきらに欲情していた。最悪だ。
あきらは気づかなかったみたいだけど。
「やん・・・」
あきらは、夜流が自分がいったのを隠すためにもぞもぞするのにさえ、びくりと反応する。
「あきら・・・・・」
「んあっ・・・・」
ポタポタと涙の雫が、夜流のブレザーの制服に滴り落ちた。
「あきら、平気?立てる?」
「うん・・・・遅刻、しちゃう・・・はやく、いこ」
あきらの喘ぎ声が、あきらのいく時の切ない顔が、頭に焼き付いて離れない。
それをおかずに自慰できそうなくらい、色っぽかった。

夜流とあきらは手早く処理をすると、ダッシュで電車を乗り継いで学校まで走っていった。
なんとか、遅刻は免れた。

どっと疲れる一日だった。
数学のテストを夜流は頑張ったけれど、はっきりいって頭の中は真っ白だった。
それは、あきらとて同じだった。




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