15R ********************* 「あー。あー・・・・・。声、我慢できる?」 「教えてくれれば、やり方・・・」 「もう時間ない。遅刻する」 「ちょ、夜流!?」 あきらがびっくりするのは無理もない。夜流は鞄を閉じた座椅子の上におくと、壁際にあきらを追い立てた。 「んっ・・・・」 びくん。 あきらの全身が震える。 夜流の、他人の手が、あきら自身を扱い出した。 「やー、やー!!」 あきらが目を見開いて、涙をこぼし出した。 はじめて受ける快感という衝撃に、あきらは声をあげていた。 「やっ、だめぇっ」 スボンのチャックから浸入した手は、あきらのボクサーパンツの上からあきらのものを包むと、早急に動かした。この際、下着がぬれてしまっても仕方ない。 テストに遅刻なんてしてられない。追試になってしまう。 「だめぇっ・・・・・」 耳元で艶めかしく喘がれる夜流にとって、それは理性との戦いだった。 あきらの声は、声変わりをしていないせいで、女の子のそれそのものだ。 最近久しくエロビデオとか動画を見ていない夜流の腰に、ズクンとくるあきらの声。 「あきら、顔あげて」 「んく・・・・」 夜流は、あきらの声を封じるために、あきらの唇を自分の唇で塞いだ。 「んーー」 それでも、あきらは声が止まらないようだ。 感じやすい体質なのだろう。というか、はじめて誰かに触られてはじめてイクというのであれば、こんな風にならないほうがおかしい。 はじめてイクのだったら、快感もすさまじいものだろう。 「んんぅ・・・・・」 涙を零すあきら。 ずきんと、夜流の心が痛んだ。 でも、夜流の理性も崩壊直前だ。あきら相手なのに、たってしまった。もうどうしようもない。 やばい。やばい。やばい。 「んっ・・・・」 びくんと全身を痙攣させて、あきらははじめて「イク」ということを、多分経験した。 あまりに遅すぎる、思春期だ。 二次成長もまだなあきらは、全てが一般男子より遅れている。 声変わりもまだ、喉仏も出ていない、男性ホルモンの分泌が少なすぎて華奢なままで、男性としての体作りもできていない、未熟すぎるあきら。 あきらがなぜ、まだ二次成長がきていないのかというのと、ここまで女性的なのは、染色体がXXYのせいだ。 クラインフェルター症候群といわれる。 あきらが自分に二次成長が遅いことを気にして、病院で受けた健康診断の時に判明したものだ。 800人に一人といわれるそれは、あきらが男性となっていく点で大きな障害になるだろう。 成人しても声変わりをせず、華奢な体格の場合が多く、いわゆる、中性的というのだろうか。そんな見た目になりやすい素質をもっているのかもしれない。男性に多いむだ毛というものもほとんど一切ないに近い。射精はできるが、精子の数がとても少なく、精液は白いというより透明で匂いもほとんどないらしい。 「んあっ・・・・」 あきらの口内から舌を抜き差って、余韻でビクビクと震えるあきらを抱きしめる。 夜流もやばくなって、あきらがいったのと同じくらいにいってしまった。 あきらに、性的な興奮を覚えた。確かに、あきらに欲情していた。最悪だ。 あきらは気づかなかったみたいだけど。 「やん・・・」 あきらは、夜流が自分がいったのを隠すためにもぞもぞするのにさえ、びくりと反応する。 「あきら・・・・・」 「んあっ・・・・」 ポタポタと涙の雫が、夜流のブレザーの制服に滴り落ちた。 「あきら、平気?立てる?」 「うん・・・・遅刻、しちゃう・・・はやく、いこ」 あきらの喘ぎ声が、あきらのいく時の切ない顔が、頭に焼き付いて離れない。 それをおかずに自慰できそうなくらい、色っぽかった。 夜流とあきらは手早く処理をすると、ダッシュで電車を乗り継いで学校まで走っていった。 なんとか、遅刻は免れた。 どっと疲れる一日だった。 数学のテストを夜流は頑張ったけれど、はっきりいって頭の中は真っ白だった。 それは、あきらとて同じだった。 NEXT |