「中間テスト」C








「学年順位はりだされてるぞー」
「おー」

中間テストが終わって、土日を挟んだ月曜日。
中間テストの結果が張り出されていた。

1位は、やっぱり透だった。
夜流は25位。あきらは・・・・72位。
生徒数1学年300人という中で見ると、あきらの成績は上位だ。
でも、あきらは悔しそうだった。
友人の透や夜流がかなりの上位だけに。一人だけ取り残されていったかんじで。
「俺、もっと勉強がんばらなきゃ・・・・」
「そうそう、数学のテスト帰ってきたぜー。ほら、あきら、透!」
悔しそうに俯くあきらを元気づけようと、話題を変える夜流。
夜流が見せた数学の点数は、92点。
夜流は得意げだったが、ペラリとあきらが自分の答案用紙をみせる。あきらは93点。
そして、透は100点だった。

ずーんと沈みこんだ夜流。

その日、つっついても、叩いても、夜流はため息しかしなかった。

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「マナ、夜流君がきてるわよ」
「は〜い、母さん」
風呂上りのあきらは、ボクサーパンツに大きめのYシャツという、なんともドラマや漫画でありがちな展開の格好で、夜流を出迎えた。
「・・・・・・・・・・・・あきら、俺を悩殺する気だろ?」
ボタボタボタ。
夜流は、秀麗な顔で鼻血を垂れ流していた。

「ぎゃあああああああ!!!!」

あきらは叫んで、ティッシュを夜流の鼻につめる。
廊下はスプラッタな状態になっていた。
「夜流、なんで鼻血!?」
「仕方ねーだろ!お前の生足とそのチラリズムでやられたんだよ!」
「変態!」
「おうよ!」
得意げな夜流を、あきらははいていたスリッパを脱いではたいた。
「アホかーー!!」
「アホで悪いかーーー!!」

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「んで、さぁ。あきら、この前ごめんな」
「ん?いつのこと」
「ほら、あの中間テストの日、痴漢にあってそれで」
あきらは、かぁぁぁぁと頬を紅くして、夜流から視線を外す。
「どうした?」
「ごめん・・・・俺・・・はしたなかっただろ・・・・女みたいな声、出しちゃった」
「かわいいからOK」
グッジョブと手をつきだす夜流を、あきらはもっていたスリッパでまたはたいた。
「アホかーーー!!」
「アホで悪いかーー!ハァハァさせるあきらのせいだーー!!」
「俺のせいにすんなーー!!」
「ハァハァ!!」
「ハァハァすんな!!」
「ゼェゼェ!!」
「普通に呼吸しろ!!」
「っぶ、だ、ちょ、ポカリ鼻にはいった、があああああ」
「自業自得だっての」
「NOOOOOO!!!!」

二人の関係は、まだ、友達のライン上でゆらゆらしていた。

「そうだ」
「んが?」
鼻にはいったポカリをだしつつ、夜流がどうしたのだとばかりに、あきらを見る。

「100点じゃなかったけど・・・・その、いつもは、70点くらいなんだろ、数学?92点って、すっごい頑張ったじゃん・・・・」
「おう、お前のサードキッスを奪うため・・・って、この前奪ってた」
「アホ!」
素手で夜流の頬にビンタするけど、力は篭ってなかった。

「王子様からの、ご褒美あげる」
「え」

とんと、夜流はベッドに押し倒された。
どんどんと、夜流の心拍数があがる。
風呂上りでいつにもまして、扇情的に美しいあきら。色っぽい格好に鼻血を出したばかりだ。
「あき、ら」
「夜流・・・・・」
あきらは、夜流の上によじ登る。
「ん・・・・」
はじめての、あきらからの、キス。
拙い、触れるだけの。
「んんあっ・・・・」
夜流は、あきらの舌を誘いだし、絡めとりながら、あきらの生足をなで上げる。
「ん・・・・・」
くちゅくちゅと、舌が絡み合う音が耳に響く。
「ん・・・・はぁっ」
あきらは目を潤ませて、何度も夜流と舌を絡ませあう。
あきらの手は、夜流のかかとをなで、ふくらはぎをなで、そのままラインに従って上に上にとのぼって、太ももをなで上げる。
「だめっ・・・・・」
ビクンと、あきらの体が震え、あきらは夜流の上からどいた。
「あきら?」
「変・・・・こんなの、変、だよな。俺ら、付き合ってないんだし・・・・お前にふれられると、俺っ、体中が熱くなって・・・おかしく、なりそう」
「ご褒美だろ?」
「でも・・・・」
ちゅっと、夜流は音をたててあきらにキスをすると、そこで切り上げた。

二人は、いつも通りに会話をはじめる。

二人とも、分かってる。
このままじゃ、おかしいってことくらい。
でも、止まらない。

もう、止まらない。





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