「学年順位はりだされてるぞー」 「おー」 中間テストが終わって、土日を挟んだ月曜日。 中間テストの結果が張り出されていた。 1位は、やっぱり透だった。 夜流は25位。あきらは・・・・72位。 生徒数1学年300人という中で見ると、あきらの成績は上位だ。 でも、あきらは悔しそうだった。 友人の透や夜流がかなりの上位だけに。一人だけ取り残されていったかんじで。 「俺、もっと勉強がんばらなきゃ・・・・」 「そうそう、数学のテスト帰ってきたぜー。ほら、あきら、透!」 悔しそうに俯くあきらを元気づけようと、話題を変える夜流。 夜流が見せた数学の点数は、92点。 夜流は得意げだったが、ペラリとあきらが自分の答案用紙をみせる。あきらは93点。 そして、透は100点だった。 ずーんと沈みこんだ夜流。 その日、つっついても、叩いても、夜流はため息しかしなかった。 ********************************* 「マナ、夜流君がきてるわよ」 「は〜い、母さん」 風呂上りのあきらは、ボクサーパンツに大きめのYシャツという、なんともドラマや漫画でありがちな展開の格好で、夜流を出迎えた。 「・・・・・・・・・・・・あきら、俺を悩殺する気だろ?」 ボタボタボタ。 夜流は、秀麗な顔で鼻血を垂れ流していた。 「ぎゃあああああああ!!!!」 あきらは叫んで、ティッシュを夜流の鼻につめる。 廊下はスプラッタな状態になっていた。 「夜流、なんで鼻血!?」 「仕方ねーだろ!お前の生足とそのチラリズムでやられたんだよ!」 「変態!」 「おうよ!」 得意げな夜流を、あきらははいていたスリッパを脱いではたいた。 「アホかーー!!」 「アホで悪いかーーー!!」 ****************************** 「んで、さぁ。あきら、この前ごめんな」 「ん?いつのこと」 「ほら、あの中間テストの日、痴漢にあってそれで」 あきらは、かぁぁぁぁと頬を紅くして、夜流から視線を外す。 「どうした?」 「ごめん・・・・俺・・・はしたなかっただろ・・・・女みたいな声、出しちゃった」 「かわいいからOK」 グッジョブと手をつきだす夜流を、あきらはもっていたスリッパでまたはたいた。 「アホかーーー!!」 「アホで悪いかーー!ハァハァさせるあきらのせいだーー!!」 「俺のせいにすんなーー!!」 「ハァハァ!!」 「ハァハァすんな!!」 「ゼェゼェ!!」 「普通に呼吸しろ!!」 「っぶ、だ、ちょ、ポカリ鼻にはいった、があああああ」 「自業自得だっての」 「NOOOOOO!!!!」 二人の関係は、まだ、友達のライン上でゆらゆらしていた。 「そうだ」 「んが?」 鼻にはいったポカリをだしつつ、夜流がどうしたのだとばかりに、あきらを見る。 「100点じゃなかったけど・・・・その、いつもは、70点くらいなんだろ、数学?92点って、すっごい頑張ったじゃん・・・・」 「おう、お前のサードキッスを奪うため・・・って、この前奪ってた」 「アホ!」 素手で夜流の頬にビンタするけど、力は篭ってなかった。 「王子様からの、ご褒美あげる」 「え」 とんと、夜流はベッドに押し倒された。 どんどんと、夜流の心拍数があがる。 風呂上りでいつにもまして、扇情的に美しいあきら。色っぽい格好に鼻血を出したばかりだ。 「あき、ら」 「夜流・・・・・」 あきらは、夜流の上によじ登る。 「ん・・・・」 はじめての、あきらからの、キス。 拙い、触れるだけの。 「んんあっ・・・・」 夜流は、あきらの舌を誘いだし、絡めとりながら、あきらの生足をなで上げる。 「ん・・・・・」 くちゅくちゅと、舌が絡み合う音が耳に響く。 「ん・・・・はぁっ」 あきらは目を潤ませて、何度も夜流と舌を絡ませあう。 あきらの手は、夜流のかかとをなで、ふくらはぎをなで、そのままラインに従って上に上にとのぼって、太ももをなで上げる。 「だめっ・・・・・」 ビクンと、あきらの体が震え、あきらは夜流の上からどいた。 「あきら?」 「変・・・・こんなの、変、だよな。俺ら、付き合ってないんだし・・・・お前にふれられると、俺っ、体中が熱くなって・・・おかしく、なりそう」 「ご褒美だろ?」 「でも・・・・」 ちゅっと、夜流は音をたててあきらにキスをすると、そこで切り上げた。 二人は、いつも通りに会話をはじめる。 二人とも、分かってる。 このままじゃ、おかしいってことくらい。 でも、止まらない。 もう、止まらない。 NEXT |